【NEWS】テレビ朝日、朝日放送、名古屋テレビ放送の3社 HEVCで4K長距離伝送 FPU1波、系列ネット回線使い成功 「4Kの高精細映像を安定して低コストで伝送」

2014.9.2 UP

 テレビ朝日(東京都港区)は、名古屋テレビ放送(名古屋市中区/メ〜テレ)、朝日放送(大阪市福島区/ABC)と共同で8月10日、次世代圧縮方式「HEVC」を利用し、地上波放送で使用しているマイクロ波回線のFPU(Field Pickup Unit=テレビ放送用無線伝送装置)1波、系列ネット回線、およびIPv6を使った4K映像の長距離伝送実験に成功したと発表した。既存FPUでHEVC圧縮の4K映像を伝送したのは放送局初という。(上写真はABCホールでの4Kモニターへの伝送映像表示)

■現行の中継回線での4K映像伝送を検証
 同実験は、現在放送で使用している中継回線・体制で4K映像の伝送ができることを検証することが目的。
 当日は、岐阜県岐阜市の長良川競技場で実施されたサッカーJリーグ ディビジョン2の公式戦「FC岐阜対愛媛FC」の模様を、ソニーの全面協力を得て4K化したメ〜テレのR131中継車で4カメ態勢で収録。
4K映像をNEC製HEVCエンコーダーでTS信号に変換。メ〜テレまでFPU1波で伝送した後、TS信号のまま、系列ネット回線のデータ線領域を利用して、ABCホールまで伝送した。
 一方のIPv6伝送は、長良川競技場とABCホール間に、NTTフレッツ光ネクストビジネス回線を敷線し、その回線で、Jリーグの4K映像を伝送した。

■180型4Kモニターでモニタリング、試合終了まで安定した映像伝送
 各伝送経路からの4K映像はABCホールに設置された、兵庫ベンダ工業開発の新開発可搬型180型4Kモニターに表示。関係者のモニタリングを実施している。
 実験当日は長良川競技場に台風が接近する中、雨模様での実施となった。テレビ朝日、メ〜テレ、ABCでは、現行の中継伝送体制で、試合開始から終了まで安定した4K映像伝送ができることが確認できたという。
 また、懸念していた動きの速い被写体の画質にも問題はなく、雨粒や水しぶきの鮮明さなども4Kならではの臨場感があったとしている。HEVCの伝送遅延が確認できたことも収穫であった。
 テレビ朝日技術局技術戦略部先進技術担当部長の藤田和義氏は、「次世代放送に取り組む中で、4Kの高精細映像を安定して低コストで伝送することは課題の一つ。現在の中継設備で対応可能な場所であれば、素材伝送はもとより、生中継やパブリックビューイングが実現できる可能性を示せた。機器構成やワークフローの確認もでき、非常に有意義な実験だった」とのコメントを出している。

#interbee2019

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