【NEWS】NTTドコモ 4K映像のHEVCリアルタイム複合技術を実演 フルHD30fpsを500kbpsでスマホ上にリアルタイムに再生
2013.2.16 UP
写真2:スマートフォンでのフルHD映像リアルタイム再生
写真3:HEVC 4K映像のリアルタイム符号化/復号のデモ
写真4:HEVCハードウェアエンコーダ
写真5:HEVCソフトウェアエンコーダの画質比較
2月14、15日の2日間、NTT武蔵野研究センタで開催された「NTT R&Dフォーラム2013」の展示会場において、NTTドコモなどNTTグループの各社は、HEVC方式に対応した4K映像のPCによるリアルタイム複合技術や、スマートフォンによるフルHD映像のリアルタイム複合技術、およびソフトウェアによるHEVCエンコーダ、ハードウェアによるエンコーダなどを展示実演した。
HEVC(High Efficiency Video Coding、ITU-T H.265、ISO/IEC 23008-2 HEVC)方式は現在、ITUとISO/IECにより標準化が進められている。従来のH.264/MPEG-4 AVCと比較して半分程度のビットレートで同等の画質を実現できるのが特徴だ。4Kなど、高画質の映像コンテンツの伝送や、素材伝送など制作現場での利用価値も高い。
(放送・ITコンサルタント 隅倉正隆)
■ LTE伝送を想定した4K映像のHEVCリアルタイム復号・再生(デコーダ)を実演
NTTドコモのブースでは、4K映像のリアルタイム・ソフトウェア・エンコードを実演。LTEの最大速度の1/6以下のデータ量に圧縮した4K映像を伝送することを想定して10Mbpsで圧縮したフレーム速度が60フレーム秒の4K映像をHEVCソフトウェア・デコーダを搭載したPCでリアルタイムに復号、ディスプレイへ表示した。4K映像のリアルタイム・デコード実演について、「今回開発したソフトウェアデコーダの性能をアピールすることができる(説明員)」と説明した。(写真1)
■ スマートフォンでフルHD映像のHEVCリアルタイム復号・再生(デコーダ)を実演
ドコモのブースではさらに、HEVCで500kbpsで圧縮されたフルHD映像(1920×1080ピクセル、30フレーム秒)をスマートフォンに搭載したソフトウェアデコーダで、リアルタイムに復号・再生する実演も実施した。「フルHD映像は、スマートフォン上で最大3Mbpsまでリアルタイム再生が可能(説明員)」という。NTTドコモでのHEVCの利用については、「ドコモが提供しているdビデオやdアニメストアなどのドコモの動画サービスでの利用を検討している」と説明した。なお、NTTドコモが開発した実時間再生に対応したHEVCソフトウェア・エンコーダは、3月中旬にライセンス提供を予定しており、「多くの企業に使ってもらい、HEVCの導入を促進させることで、動画サービスの高画質化と通信トラフィックの軽減に貢献できる(説明員)」と説明した。(写真2)
■ 並列処理でリアルタイム符号化/復号を実現したHEVCハードウェアコーデック
HEVC/H.265関連では、FPGAによるHEVCハードウェアエンコーダを出展、4K映像をHEVCのイントラ(画面内)予測を用いてリアルタイムの符号化/復号化を行い、4Kディスプレイへ表示する実演を行った。HEVCハードウェアは、フルHD(1080p)をリアルタイムに符号化/復号できるコーデックを4つ並列処理させることで、リアルタイムでの符号化/復号を実現しているという。今後は、「8K映像への対応も研究対象として検討していく予定(説明員)」と説明した。(写真3、写真4)
■ HEVCソフトウェアエンコーダ(符号化)を展示 夏には4Kで実時間の20倍に短縮へ
この他、NTTの研究所が以前から開発を進めているHEVCソフトウェアエンコーダを展示・実演を行った。デモは、1920x1080ピクセル/30フレーム秒のソースをH.264/MPEG-4 AVCで3.5Mbpsに圧縮した映像とHEVC/H.265で同様に3.5Mbpsに圧縮した映像画質の比較紹介を行った。ソフトウェア・エンコーダによるエンコード時間については、「現時点でフルHD映像で実時間の10倍、4K映像は100倍だが、夏以降にはフルHD映像で実時間の5倍、4K映像で実時間の20倍まで短縮することを目標にしている(説明員)」と説明した。(写真5)
写真2:スマートフォンでのフルHD映像リアルタイム再生
写真3:HEVC 4K映像のリアルタイム符号化/復号のデモ
写真4:HEVCハードウェアエンコーダ
写真5:HEVCソフトウェアエンコーダの画質比較