【ニュース】NEC、高音質化・小型軽量化を実現した音声中継装置「mobilestudioII」を発売

2012.10.16 UP

ラジオ放送局向け音声中継装置「mobilestudioII」
「mobilestudioII」を肩から掛けているところ

「mobilestudioII」を肩から掛けているところ

従来機との比較(上:「mobilestudioII」、下:「mobilestudio」)

従来機との比較(上:「mobilestudioII」、下:「mobilestudio」)

日本電気株式会社(以下:NEC、本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:遠藤 信博)は、2004年にNTTドコモ、文化放送、NECの3社で共同開発し製品化したラジオ放送局向け音声中継装置「mobilestudio」の新製品として、高音質化による臨場感向上や小型軽量化および中継エリアの拡大を実現した「mobilestudioII」を製品化、2012年9月24日に製品発表・内覧会を開催した。ラジオ局向けに11月1日から販売を開始する。また、製品出荷は2013年3月からの予定である。希望小売価格は94万9千円(税別)、目標販売台数は3年間で500台を見込んでいる。なお、2012年11月14日(水)〜16日(金)まで幕張メッセで開催する国際放送機器展「InterBEE 2012」に出展する。

 「mobilestudioII」は、PCMCIA Type-㈼通信カードタイプのFOMAカードを装着することで、FOMA回線を利用してエリア内であれば、どこからでも、リアルタイムに中継が可能なラジオ放送局向け音声中継装置である。

■ FOMAの回線交換(64bps)を利用
 基本構成は、「mobilestudioII」を中継現場と放送局に各1台。中継回線には帯域保証機能があるFOMA回線の回線交換(64bps)を利用し、ISDN網を経由してラジオ局側につながる。放送局側はISDNルータを介してLANケーブルで放送局側の「mobilestudioII」と接続する。

 LET回線ではなくFOMA回線とした理由について、NTTドコモ 法人事業部第二法人営業部M2M営業・第三営業担当部長の廣瀬克彦氏は、「8年間の『mobilestudio』利用者から、高音質化や軽量化に加えて互換性の要望があり、加えて安定した運用の視点から64bpsの帯域保証のある回線交換方式を今回も利用している」と説明、LET対応について、「LTEのデータ通信は通信速度が速いがベストエフォート型である点が課題。将来的にはQOS等による帯域保証の仕組みなどを検討していきたい」と語った。

■ HE-AACによる高音質化
 音声データの音声符号化方式は、従来機ではMPEG-4 AAC LC方式を利用していたが、本製品ではHE-AAC(High-Efficiency Advanced Audio Coding)方式を採用した。これにより、中継可能な音声の周波数帯域を、従来上限の8KHz(モノラル)から16KHz(モノラル)に拡大した。また、HE-AAC方式にNECの中央研究所が開発した独自高音質符号化制御技術を追加することで、「野鳥のさえずりや競技場のざわめきなど、より臨場感のある高品位な音声中継を実現した(NECキャリアサービス事業本部エグゼクティブエキスパートの榎恒久氏)」という。また、従来のAAC LC方式も搭載しているため、既存の装置との相互接続も可能だ。

■ エリア拡大
 従来の2GHz帯に加え、800MHz帯のFOMAプラスエリアの64kbpsデータ通信カードをサポート。これにより、山間部や都市部ビル近傍などより広いエリアでの利用が可能となった。「災害発生時など被災地から、事件現場など緊急な場面からでも迅速かつ低コストで効率のよい中継ができ、非常に役に立つと考えている」榎恒久氏は説明した。また、「昨年の東日本大震災被災地などのラジオ局からの問い合わせも多い」と語った。

■ 小型軽量化
 本製品の本体の大きさは、230(W)×210(D)×100(H)mmで、従来機に対して容積16%削減。また、重量は本体のみで約2.5kg。従来機に対して重量0.5kg削減し、小型軽量化を図っている。

 マイク入力/ライン入力はXLR×1、ライン出力はXLR×1。その他のI/Fとして、USB2.0×1、LAN×1を搭載。電源は、バッテリー駆動、AC電源駆動(ACアダプタ)、DC電源駆動(XLR 4ピン)に対応する。使用するバッテリーは、業務用ビデオカメラ等に使用するVマウントバッテリーホルダを採用している。なお、従来機では駆動時間約2時間だったが、本製品では1本で約3時間、連結することで約6時間となる。

■ 記者会見会場から生中継を実施
 今回の発表・内覧会会場には、文化放送アナウンサー大田英明氏が参加し、文化放送の「くにまるジャパン」という番組内で、会場から「mobilestudioII」を利用した初めてのラジオ生中継も行われた。

「mobilestudioII」を肩から掛けているところ

「mobilestudioII」を肩から掛けているところ

従来機との比較(上:「mobilestudioII」、下:「mobilestudio」)

従来機との比較(上:「mobilestudioII」、下:「mobilestudio」)

#interbee2019

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