【NEWS】映画スタジオ大手 CES基調講演でクラウド型コンテンツ購入認証「ウルトラバイオレット」の普及策を発表 コンテンツ視聴がデバイスフリーに
2013.1.21 UP
ウルトラバイオレットのサイト
ウルトラバイオレット対応を示すステッカー
■映画スタジオ大手がCES基調講演でウルトラバイオレット普及策を発表
1月7日から11日まで開催されたInternational CES 2013(主催:CEA、全米家電協会、以下CES)のCEA会長、ゲイリー・シャピロ氏の基調講演において、ワーナーブラザース、ソニー・ピクチャーズ、ユニバーサル、20thセンチュリーFOXとライオンスゲートの代表者がステージに上がり、シャピロCEOとともにウルトラバイオレットのプロモーションを紹介した。
シャピロ氏とワーナーブラザース代表のロンサンダース氏からは、現在米国におけるウルトラバイオレットの登録者数が900万件を超えていることが語られた。昨年だけで800万件と急増している。
スタジオと提携しているメーカーはソニー、サムスン、LG、パナソニック、フィリップス、東芝とVizio。 スマートTVやブルーレイプレイヤーの大手メーカーが揃う。
スマートTVを購入すると6社(以上のスタジオ5社とパラマウント)のメジャースタジオ配給の10作の映画が無償で視聴でき、またブルーレイプレイヤーを購入すると5作品が無償で視聴できるプロモーションを実施すると発表した。無償配布される作品はウルトラバイオレット仕様で、例えばスマートTVであれば、CinemaNow、Flixster、 Nook やVUDUから作品にアクセスできるようになる。実際にプロモーションが開始されるのは今年後半としている。
ウルトラバイオレット仕様の作品は、BBC、ドリームワークス、Fox、ライオンスゲート、パラマウント、ソニー・ピクチャーズ、Starz Anchor Bay、ユニバーサルとワーナーブラザースより、2月までにリリースされる分を含めて8500タイトル以上が揃う。年内には、米国・カナダ、英国以外に もオーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランドとニュージーランドにも拡大していく予定。
■クラウド型購入認証でデバイスフリーな視聴が可能に
ウルトラバイオレットは、無料で使用できるクラウドベースのデジタル著作権認証技術。これにより、ウルトラバイオレット対応の映画やTV番組などの映像コンテンツ購入者の認証を行うことで、複数のデバイスで場所を問わずに利用できる利便性を提供しようというものだ。
コンテンツの購入証明(ウルトラバイオレット・ライト)が、個別の「ウルトラバイオレット・アカウント」が持つ「ウルトラバイオレット・コレクション」に登録される。これによって、DVDなどのメディアを持っていなかったり、コンテンツを記録していなくても、ネットを通じたストリーミングで 携帯メディアやゲーム・コンソールなどで楽しむことができる点が大きな特徴だ。小型のメディアのために容量が不足して見られないといった問題は解消され、同じコンテンツをデバイスにあわせて最適の解像度で見ることができる。
ウルトラバイオレット・アカウントは1家族6人までが共有できる。コンテンツのコピー制限の条件については、個別に異なり、また、コンテンツの種類やあるいは購入形態によっては、ウルトラバイオレット・ライトは期限付きとなる。利用対象は18歳以上となる。
このシステムを構築したのは、デジタル・コンテンツビジネスに携わる映画会社、デバイスメーカーなどによって、2008年に設立した Digital Entertainment Content Ecosystem, LLC(DECE、LLCは有限責任会社の意味)だ。ディズニーを除いたハリウッドの大手スタジオや、ソニー、東芝、パナソニック、サムスン、フィリップスなどの家電メーカー、HP、マイクロソフト、シスコ、インテルなどのIT企業、ノキア、アルカテル、モトローラなどの通信機器メーカー、さらには、CATV大手のコムキャストやコックス・コミュニケーションズ、ケーブルテレビの規格標準化団体ケーブルラボ、オンラインビデオのネットフリックスが参加している。
DECEの設立以来、 コンテンツ配信のエコシステムを構築するため、仕様書を策定・ライセンスの策定を行い、2011年1月のCESでウルトラバイオレットの仕様を発表し、日本での市場展開についても検討が進められている。米国では2011年10月からタイムワーナーなどがサービスを開始している。
アップルのiTunesとの大きな違いは、オープンな点だ。 DECEは、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスに携わる企業・団体ならば参加できる、国際的かつオープンな団体だ。複数のコンテンツプロバイダー、デバイスメーカーが参加することにより、ユーザーの囲い込みによる利便性の障害をなくすことができる。また、かつてのカセットテープや光ディスクなどのメディア・フォーマットによるメーカー間の争いに、コンテンツプロバイダーやユーザーが巻き込まれることもない。
(ザッカメッカ 山下香欧)
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