【NEWS】エリクソン 4K衛星ライブ伝送デモでコーデック提供「4:2:2 10ビット 60フレーム/秒も可能」 ブロードキャストアジア/コミュニックアジア報告( 1)

2013.7.26 UP

エリクソンはミアサット社のデモのスキームを公表した
P60 CAPABLE(対応可能)と記されている

P60 CAPABLE(対応可能)と記されている

エリクソンブースのライブデモの様子

エリクソンブースのライブデモの様子

マレーシアのミアサットはウルトラHDの国際伝送デモを行い、注目を浴びた

マレーシアのミアサットはウルトラHDの国際伝送デモを行い、注目を浴びた

 シンガポール政府の情報通信開発局(IDA)とメディア開発局(MDA)が共催した「ブロードキャストアジア2013」(以下、BA2013)と「コミュニックアジア2013」(以下、CA2013)が、6月18-21日の4日間、マリーナ・ベイ・サンズ・コンベンション・センター(以下、サンズ)を会場にして開催された。事務局の発表によれば、世界94の国・地域から2044社・団体が出展。登録入場者数は5万1000人を超えたという。お国柄を反映して、出展者の84%は海外の企業・団体で、インドネシア、韓国、タイなど国別のグループ・パビリオンが目立った。
(神谷直亮/衛星システム総研代表、メディア・ジャーナリスト)

■シンガポール「 e-Governmentで世界第1位」
 初日の朝、恒例の開幕セレモニーにはシンガポール政府を代表してヤーコブ・イブラヒム情報通信大臣が登壇し、「シンガポールは、ICT(情報通信技術)を基盤にしたインテリジェント国家であり、グローバル・シティーである」と宣言した。
 その裏付けとして「早稲田大学のグローバルe-Governmentリポートのランキングで、シンガポールは世界第1位になっている」と発言。さらにこのような地位を維持するために「14人の有識者で構成される情報、通信、メディアのマスタープラン推進委員会を設置して、シンガポールのICT、メディア業界を一層ゆるぎないものにする」と強調した。

■ソニーは4Kワークフローを紹介、パナソニックは4カメ撮影のワイド画面映像で注目
 18回目となる「BA2013」の展示会は、サンズの4、5階を使って開かれた。ひときわ大きなブースを構えたのは、ソニー、パナソニック、エリクソンの3社であった。
 「4Kの行程はソニーからスタート」をキーワードに掲げたソニーは、センターステージでカメラから82型テレビまで、同社が提供可能な4K製品とワークフローを熱心に紹介した。4月のNABショー(米国・ラスベガス)のスケールから見れば非常に小規模ではあるが、一通り最新の機器が並び、来場者の興味の的になった。
 4K以外では、10月からアジア地域で発売するというXDCAM「PMW-300K1」を出展して注目された。ブースの技術者は、「14倍ズーム機能を搭載」と説明していた。
 パナソニックは、2種の超ワイド画面映像のデモに力を入れていた。1種は、短焦点プロジェクター3台を使って、5メートル×1.5メートルの横長スクリーンに、パナソニックのサッカーチームが活躍する動きの早い映像を投射して見せていた。
 解像度は4800×1200ピクセルとのことであった。もう1種は、55型LCDテレビを3台並べたウルトラワイドカメラ・ソリューションのデモで、「映像はカメラ(AW-HE120)4台で撮影した」と説明していた。
 同社のブースにはこのほか、AVCウルトラ、マイクロP2メモリーカード、ワイヤレス・ソリューションなどが出展されていたが、4Kに関しては20型LCDモニターのみであった。

■エリクソン 4Kの国際衛星ライブ伝送デモでJPEG2000コーデックを提供
 エリクソンのブースには、来場者が引きも切らず押し寄せていた。今回の「CA2013」会場で、唯一4Kの国際衛星ライブ伝送デモを実施したミアサット・サテライト社にコーデックを提供したことが知れ渡ったからだ。
 ブースでは、同社のエンコーダー「AVP-2000」2台、同 デコーダー「RX-8200」4台を使ったデモを実施。仕様は「ミアサット・サテライト社のライブデモと同じで、4:2:2 10ビット 30フレーム/秒」とのことであった。
 コンテンツは、動物園のゴリラ、水族館のシャチのショー、風力発電、サーフィンなど、30秒以内の短い映像の繰り返しで、マルチカメラのスイッチング映像は見当たらなかった。ブースの技術者は「特徴を一つ挙げるとすれば、コーデックのサイマルシンク・テクノロジー。フレームレートについては60フレーム/秒も可能」と説明していた。

■HEVC関連製品も
 上記3社以外に注目を浴びた出展者としては、キヤノン、ブラックマジックデザイン、池上通信機、富士フイルム、リーダー電子、エレメンタル・テクノロジーズ、エバーツ、ハーモニック、スネル、ATEME、エンビビオが挙げられる。
 キヤノンは、35ミリメートルフルフレームCMOSセンサーを搭載した「4K EOS-1D C」と7月に発売するENGカメラ「XA-20」を初出展した。
 ブラックマジックデザインは、プロダクション・カメラ4KをNABショーと同様に3995ドルの価格で紹介していた。同社はこのほかに、2.5KシネマカメラとポケットシネマカメラHDを披露した。
 池上通信機は、3CMOS HDTVマルチパーパスカメラ「HDL-4500」を参考出品。「月明かりのもとでもカラー映像の撮影が可能」とPRしていた。
 富士フイルムは、「ZK Light Weight Zoom」と「HK Premier Zoom」の両シリーズを前面に押し出して出展した。中でも35ミリメートルPLマウントカメラ「ZK4.7×19」が注目の的になった。
 リーダー電子は、最新の4K/3G/HD/SDマルチ波形モニター「LV5490」を出展し、「南米のテレビ局が既に4K映像の評価用に使用中」とPRに余念がなかった。
 エレメンタル・テクノロジーズは、「エレメンタル・サーバー」と「エレメンタル・ライブ」の2通りの映像再生をデモした。前者は、H.264の5MbpsとH.265の3.2Mbps映像を比較。後者では、ブースに設置した4Kカメラで撮影した映像を、同社のリアルタイムHEVCコーデックで符号化・復号化し、その映像を25フレーム/秒で再生して見せていた。
 最近「ドリームキャッチャー」で知られるようになったエバーツは、「米国では、NEP/CBSスポーツがスーパーボウルで、モバイルTVグループ/FOXスポーツがインディ500レースで、それぞれ中継に使用して高い評価を受けている」とPRしていた。
 ハーモニックは、現段階で提供できるものと近い将来提供が可能になるものを分けて説明。現在提供できるのは「Pro Media Express」によるソフトウエアベースのHEVCエンコードソリューションと、デコーダー「Broadcom7445」の組み合わせだ。次いで9月にはHEVCエンコーダー「Pro Media Live」でOTT向けのHDTVの提供が可能になるという。Pro Media LiveによるウルトラHD(4K)伝送の実現は、2014年中とのことであった。
 スネルは、スイッチャー「カフーナ360」を出展。「4Kにも対応できるプロダクション・スイッチャー」と盛んに売り込んでいた。特徴は、独自技術の「FormatFusion3」で、「3Gbps/1080pや4Kインプットに対応できている」と強調していた。
 ATEMEは、動きの速いテニスの試合の映像をH.264とH.265で再生し、比較して見せた。技術担当者によれば「フランス・テレビジョンが4Kカメラ2台で撮影した全仏オープンテニスのRAW映像を、ATEMEがHEVC/H.265に基づきトランスコード。これをユーテルサットが同社の衛星で伝送し、ブロードコムのSTBで受信した」と説明していた。
 エンビビオは、同社のエンコーダー「ミューズ」が「年末までにHEVC/H.265に対応し、スマートフォンとタブレットをサポートする」と宣言した。

■中国企業の出展
 中国からは、STBメーカーであるJiangsu Yinheエレクトロニックス社が、HEVCに準拠した型式番号「HDC69103C8」のプロトタイプSTBを出展し脚光を浴びた。チップのメーカーは、アメリカン・マイクロシステムズ社とのことである。
 また、中国のLeyard社がNABショーに続いてウルトラHD LEDビデオウオールを出展した。今回披露したのは、7.2メートル×2.1メートル、解像度3744×1029ピクセルの製品。ピッチについては「1.6ミリメートルの製品もあるが、今回デモに使用したのは1.9ミリメートル」とのことであった。

P60 CAPABLE(対応可能)と記されている

P60 CAPABLE(対応可能)と記されている

エリクソンブースのライブデモの様子

エリクソンブースのライブデモの様子

マレーシアのミアサットはウルトラHDの国際伝送デモを行い、注目を浴びた

マレーシアのミアサットはウルトラHDの国際伝送デモを行い、注目を浴びた

#interbee2019

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