【NEWS】ソニー・ピクチャーズとワーナー、シンガポール通信大手とベンチャー企業HOOQを設立 需要急拡大のアジア市場で有料ビデオ配信サービスを展開 ハリウッド、日本、アジアコンテンツ1万本を提供開始
2015.2.1 UP
HOOQ設立のリリースを掲載しているシングテル社のホームページ
シングテルDigital L!fe部門のジョナサン・アウエルバッハ最高経営責任者
HOOQのCEOに就任したピーターGベソス氏
アジア、オセアニア地域最大の携帯電話事業を営む通信企業のシングテルは30日、ソニー・ピクチャーズテレビジョン(SPT)とワーナーブラザーズ・エンターテイメントと共に、アジア市場でOTT(オーバー・ザ・トップ)ビデオサービスを提供する合弁会社「HOOQ」を設立したことを明らかにした。2015年度第一四半期からインドネシア、フィリピン、インド、タイへ先行して導入する。当初からハリウッド、日本、アジアのコンテンツを1万本提供していく。Netflixが今後2年でアジア圏を含めた世界への展開を進める前に、アジアでのプレゼンスを拡充する。(ザッカ・メッカ 山下香欧)
■5億のモバイル通信顧客を抱えるシングテルが市場拡大を主導
オンライン情報のシンガポールビジネスレビューレポートによると、合同会社は約2200万ドル(約25.9億円)の出資を受けており、うち65%(約16.8億円)がシングテル、ソニー・ピクチャーズの子会社AXNとワーナーはそれぞれ同額の17.5%(約4.5億円)を出資する。
シングテルが発表した内容によると、HOOQで始めるOTTサービスでは、ハリウッド映画やテレビ番組シリーズ、日本も含めたアジアの映画やテレビ番組シリーズを1万本ほど揃えて配信する。ユーザーはコンテンツをストリーミングもしくはダウンロードして視聴できる。 視聴者獲得はシングテルが担当する。同社は、アジア、オセアニア地域の通信事業を幅広く展開しており、25カ国に5億人のモバイルユーザー顧客を持つ。同社の課金システムを利用してクレジットカード払いが発展していない地域もカバーしていく。
シングテルDigital L!fe部門のジョナサン・アウエルバッハ最高経営責任者(CEO)は「アジアは高速な広域ネットワーク網とデバイスの低価格化により、OTTサービスの需要が急速に伸びており、今や8億ドル規模(941.6億円)と予測されている。これから更に拡大する市場だ」と述べている。(Digital L!feと表記して「Digital Life」と読む)
■OTT未開拓の地域にいち早くサービス提供へ
HOOQのCEOに就任したピーターGベソス氏は、フィリピンの大手通信事業社グローブテレコムでチーフオペレーティングの顧問を務めていた。アジア市場では、ストリーミング配信のコンテンツライセンスやインフラの問題で、高品質なエンターテインメントのコンテンツを揃えて提供できるサービスが存在しない。ベソスCEOは「HOOQはこれらの問題を修正し、ハリウッドの長所と豊富なアジアコンテンツを組み合わせた、新しい形のエンターテインメントを提供していく」と声明文で伝えている。
現在、サービスを開始する日程や価格設定については未発表だが、2015年の第一四半期中にも開始する予定で、まずはインドネシア、フィリピン、インド、タイに先行導入するとしている。シングテル傘下のテレコム事業者シングテルと Optus(オプタス)が置かれるシンガポールとオーストラリアでは既存のエコシステムで成り立っているため、今回のHOOQのサービスは参入しない見込み。ちなみにNetflixは先日行われた四半期経営報告にて、この第一四半期中にオーストラリアとニュージーランドへサービスを開始することを公言し、さらに2年以内に世界各国へ網羅する意思を明らかにしている。HOOQは、まだNetflixが参入していないアジア市場で独自のノウハウを利用して先にイニシアティブをとる動きとして見られている。
(シングテルのリリース)
http://info.singtel.com/about-us/news-releases/singtel-sony-pictures-television-and-warner-bros-entertainment-establish-star
(シンガポールビジネスレビューレポートのサイト)
http://sbr.com.sg/media-marketing/news/singtel-inks-jv-warner-bros-sony-pictures-distribute-videos-in-asia
HOOQ設立のリリースを掲載しているシングテル社のホームページ
シングテルDigital L!fe部門のジョナサン・アウエルバッハ最高経営責任者
HOOQのCEOに就任したピーターGベソス氏