BBCリサーチ 新地上デジタル放送方式「DVB―T2」のライブデモ 2009年11月に英国で3chの無料HD放送
2008.10.24 UP
BBCリサーチ&イノベーションは、欧州の新地上デジタル放送方式「DVB―T2」(以下、T2)の変復調装置を使ったHDTV放送のライブデモを行った(写真)。同方式のデモは世界初。T2は、欧州の地上デジタル放送(DTT)方式であるDVB―Tを改良したもので、変調パラメーターの変更やLDPC(low density parity check=低密度パリティ検査符号)という強力なエラー訂正符号方式を採用。T2と比較しビットレートを40-80%、伝送効率は30―50%向上できるという。英国ではアナログ放送停波後、T2方式によるHD放送を本格的に実施する予定。
英国におけるDTTのDVB―Tのモードは、64QAM、FFTサイズ2k、 符号化レート2/3、ガードインターバル1/32で、伝送レートが24・13Mbpsとなる。これに対して、T2モードは256QAM、FFTサイズ32k、符号化レート3/5、ガードインターバル1/128、エラーコレクションが3/5LDPC。これにより、伝送ビットレートは36・14Mbps。DVB-Tと比較して46・5%、伝送ビットレートが向上する。ちなみにLDPCは、衛星放送で使用されているエラーコレクション技術で、これだけでT2の伝送キャパシティを30%向上できるという。コーデックはH.264。DVB―Tの受信機では受信できないので、T2用の受信機を新たに開発する。
英国では2009年11月に、BBC、ITV、チャンネル4が、同国の6つのマルチプレックスの一つを使って、無料のマルチチャンネルHD放送を開始する。このチャンネルは現在のDTTのサイマルではなく、独自のHD番組を放送する。
FFTサイズ32k、LDPCといった新技術による受信機については、DVB―Tに対して主にメモリーを拡張することで対応するが、LDPCエラーコレクションへの対応が最も難しい部分だという。
【映像新聞社】