【NAB Show 2011】NAB トピックス　＜２＞ RED Digital Cinema やGoProにみるエクストリーム ムービー制作の新潮流

■3年ぶりの本会場出展、RED Digital Cinema
　2008年以来３年ぶりにNAB本会場での出展を行ったRED Digital Cinema社。ブースの印象は以前と変わらないが、今年のブース前面ではTATOO（刺青）を実際に入れる手術ブースを設け、その施術シーンをEPICでライブシューティングするというショーアップで会場の話題となった。この映像は後にショートフィルム化されるようだ。
　またRED社も東日本大震災の影響により、他のメーカー同様にパーツ類等の供給不足などの影響を受けており、NAB期間中には、いくつかのパーツが東北地方での生産をしていることからEPIC-XとSCARLET 8Xの生産が遅れていることが、オーナーのジム・ジャナード氏からユーザーサイト向けにアナウンスされた。NAB期間中もEPICなどすでに数百台の受注があったようだが、受注残は今夏までには消化できる見込みだという。

■5K以上に対応予定の新センサーRED DRAGON、オークリーの3Dグラスも登場　
　その他の発表では新たに現行のRED ONEやEPICのMysterium-Xから、次世代のMonstroセンサーへのアップグレードとして“RED DRAGON（
レッドドラゴン）”と呼ばれる新センサーの存在を発表。5K以上へのフォーマットに対応しているという。またその他にも

iPadでEPICの設定ができるミッションコントロールというiAppの発表や、

4K対応の低価格レーザープロジェクターなど興味深い発表もあった。
　REDブースの裏手では3D映像や4K映像などのスクリーニング（試写）が行われており、同社の母体となったアイウエアメーカー“オークリー”社が新開発した3Dグラスを使用した3D映像がデモされた。今年公開の『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』ではEPIC による3D撮影が行われており、その時使用した実機カメラも展示されていた。

■大人気の超小型HDカメラ「GoPro HD HERO」
　昨年のNAB会場で一躍話題となった超小型の“エクストリーム・カメラ”『GoPro HD HERO』は今年も大人気で、ブースには最終日まで大人数が集まる盛況ぶり。しかも今年は3Dに対応した（２個のGoPro HD HEROを組み合わせて１パッケージ化したもの）ことで、これのデモ機材を会場中でみることが出来、更なる人気を博していることを物語っていた。また３D制作用に２つのカメラで収録したデータをS3D用として編集するソフトウエアを提供するCineform社を最近買収したことで、エクストリームな３D映像制作は今後も発展すると思われる。

　その他会場内には、『GoPro HD HERO』に対応したガジェット類、周辺サポート機器が、たとえばステディカムのブースやグライドカムなど、これまでプロフェッショナルビデオ機器のサポートやってきた一流メーカーでも行われる等、『GoPro HD Hero』の人気ぶりが多くのブースでみられた。

　またこの“GoPro現象”とも受け取れるホビー感覚のカメラ機材の有用性が示されたことで、これまでも存在していたその他のコンパクトカメラ機材にもスポットが当たるようになり、『CONTOUR』などのブースも拡張されていた。こうしたカンタンにHDで撮影できる高画質・高性能のHDカメラ機材が多く台頭して来たことで、いわゆる“エクストリーム・ムービー”といったジャンルが拡張している。特に家庭用3Dテレビなどの普及には、低価格とアフォーダブル（手軽さ）な感覚でこうした映像が得られるようになることで、今後これらのカメラで撮影された素材が大きく活用されてくる可能性もありそうだ。
（DVJ BUZZ TV代表／映像ジャーナリスト　石川 幸宏）