【SIGGRAPH2009】基調講演 元EAのウィル・ライト氏が登壇

2009.8.5 UP

新時代ゲーム「Spore」を披露 学ぶ要素を重視してヒット
「エンターテインメントは脳の奥で感じる」

 8月4日の基調講演は、シミュレーションゲーム「SimCity」を開発したウィル・ライト氏(=写真)が登壇した。ライト氏は2009年4月までエレクロニック・アーツ(EA)社に所属しており、その後、Stupid Fun Clubを設立。EAが発売し、世界的にヒットしたリアルタイムシミュレーションゲーム「Spore」(2008年9月発売)の開発に携わる。ライト氏は、「SimCity」に代表されるライト氏が開発するゲームが、暴力や勝ち負けというコンセプトは取り入れず、学ぶ要素を重視していたことで世界中で大ヒットしたことを強調。
 犯罪を引き起こす引き金になるなどと批判されているゲーム産業は、暴力を使わないゲーム開発にシフトしていき、ゲームにも価値が見いだされるようになってきていると述べた。また同氏はゲーム開発にはさまざま要素が含まれており、芸術的要素、機能的要素、商業デザイン要素、精神学的要素、ストーリーテリング要素などがあると説明した。

 以下は、ライト氏の講演概要。
 人々の心に働きかけるエンターテインメントは、認識や視覚だけにとらわれず、脳の奥深くで感じることことができるものだという。例えば大スクリーン上でみてもらわないと映画の価値がないと制作者が訴えても、人々はiPodのような小さな画面でも映画を十分楽しめることに喜びを感じる。消費者は映画鑑賞の方法にいくつかオプションがあることに価値を感じるのである。
 また視覚だけでなく、音がエンターテインメントに与える効果も高い。
映画でも従来の長編映画は視覚に働きかけることを重視するが、3Dで観るコンサート映画は、視覚と聴覚の両方に働きかける。
 エンターテインメントにコミュニティの要素が強くなってきているのも最近の傾向である。例えばテレビ番組の「LOST」は番組をみた視聴者が、ネット上で番組について話したり、翌日の仕事の合間に同僚と番組について話したりするのは、コミュニティ一例である。
 ゲームに関しては、消費者がゲーム上でキャラクターを制作し、オンラインで他消費者とキャラクターを共有するというのも最近の強い傾向だ。ライト氏が開発した「Spore」は消費者が自分のキャラクターを制作してゲームに取り込むことができるという特徴をもっている。ゲーム販売開始に先駆けてキャラクター制作ツールを発表したが、当初の予想は2ヶ月で10万体のキャラクターだったが、
結果は当初の予想をはるかに上回る4千500万体のキャラクターがわずか63日間、2ヶ月で制作された。
 以上のように、今後のエンターテインメントはいろいろ要素が絡み合い、消費者は脳の奥で楽しむようになるだろう。

#interbee2019

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