【コラム】SIGGRAPH2010に見る 3D関連技術

2010.8.17 UP

 CGの学会、展示会、そして祭典として知られるSIGGRAPH 2010(主催:米ACM SIGGRAPH)は、2万2549名を集めて7月29日午後に終了した。7月25日からの5日間、米国カリフォルニア州ロスアンジェルスのLAコンベンションセンターで開かれたイベントは、事前予想2万5000名の9割を集め、人数的には及第点が付いたとみてよいだろう。


■意外と少なかった立体視の出展

 SIGGRAPHへの人出は、昨年のニューオーリンズ大会では1万1000名と大幅に落ち込んだが、今回は2007年のサインディエゴ大会並に回復したことになる。なお、LAで直近に開催された2008年大会は2万8432名であった。

 話題の立体視(ステレオスコピック3D(S3D))については、意外なほどセッション、出展が少なく、拍子抜けの感があった。数少ないS3D関連セッションは、映画の制作過程を報告するものであり、新規技術関連のものは見られなかった。

 SIGRAPHの目玉の一つである「エレクトロニック・シアター」は、今年は従来のパターンに戻り厳選された作品の上映となった。上映作品の中には、技術的にも脚本、演出的にも良くできたコマーシャル・フィルムが見られ、ハリウッドを抱えるLA大会らしさを見せていた。なお、今回は2本の3D作品が、RealD社の偏光方式により上映されたが、これは入選作ではなく特別上映であるという。


■多様化が進む3Dスキャナ

 機器展示では、3Dスキャナ(3Dの形状データと、対象物体表面の映像情報を同時に取り込む装置)の多様化が目立った。以前は、3Dデジタイザとして形状データの取得のみの装置が多かったが、今回、展示フロアに見られたのは映像情報も取り込める3Dスキャナだった。また、3Dデータからモデルの造形が行える3Dプリンタも出展が見られた。

 SIGGRAPH2010は、学術分野、商業分野、芸術分野とも質は変わっておらず、CGの世界で最も重要なイベントであることには変わりない。ただ、当日現場に行かなくても多くの情報が集められるようになったことは事実である。今回の参加人数は、このような情報収集の容易さによる結果であると解釈したい。

#interbee2019

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