【CEATEC2011】ソニー 家庭用 4Kホームシアタープロジェクター「VPL-VW1000ES」を発表
2011.10.26 UP
SXRDの微細化を実現
撮影から視聴までを4Kで網羅
根本氏
長谷川氏
ソニーはCEATEC会期前の10月3日、会場の千葉・幕張メッセ 国際会議場で記者会見を開催し、同社の出展製品で新製品の4Kホームシアタープロジェクター「VPL-VW1000ES」を発表した。ホームシアターでは世界初の約885万画素の4K(4096×2160画素)映像の投影が可能。フルHD(1920×1080画素)の4倍を超える解像度を実現する。ソニーは、同製品をSDからHD、4kという高画質化の流れと位置づけ、さらに今後、家庭で高画質な映像コンテンツを楽しむ環境整備の一環として他の製品との連携を示唆した。
■「プロ向けの技術開発がコンシューマー製品にも生かされる」
発表会の冒頭、ソニー 業務執行役員 SVP プロフェッショナルソリューション事業本部 本部長の根本章二氏は、製品発表に先駆けて「高画質化の追求と実現はソニーの使命」であることをアピールする次のようなコメントからスタートした。
「ソニーの技術を追求する姿勢は、変わることがないことを最初に申し上げたい。ハイエンドの技術はソニーの歴史の中で、厚木から多く創造されてきた。ソニーの使命は、B2Bと半導体領域で育成した最高レベルの技術をもとに、プロフェッショナル向けの製品を生み出していき、さらにそれをコンシューマー領域で世の中に広く展開することにある」
続いて、「コンシューマーとB2Bの技術の融合により、ソニー独自の新しい価値を創出する中で、ソニー独自の新しい価値を生み出すには、コンシューマー、デバイス、業務用機器との一体化した取り組みが必須である」とし、プロ用製品向けの技術開発とコンシューマー製品開発が一体であることを強調した。
コンシューマーと B2Bの技術の融合の事例の一部として根本氏は、一眼レフカメラのEマウント技術と、業務用カメラで採用している35ミリCMOSセンサーの融合による業務用カムコーダーのNXCAMや、業務用マスターモニターなどで用いられている有機ELが、一眼レフカメラのファインダーや、ヘッドマウントディスプレイにも採用されている例を示した。
■「高画質化の追求と実現はソニーの使命」
根本氏は、「B2B領域の中でも重要、かつ成長領域として位置づけているのが、4K」であると述べ、「高画質化の追求と実現はソニーの使命であり、創業以来取り組んできたもの。SDからHD、そして4Kへの流れは必然的」とし、4KをHDの次の来る高画質製品と位置づけた。
続いて、ソニーが業務用4Kデジタルシネマプロジェクターで、技術、シェアともに先行してきた証として、「今年3月には、業界で初めてハリウッドの業界団体が定めた仕様を満たしたデジタルシネマ上映システムとして認証を受けた。9月には4kデジタルシネマプロジェクターの累計出荷台数が10000台を超えた」ことを紹介した。
また、「4k映像を制作できるシネアルタカメラをはじめとした映像製作機器を取り揃えるとともに、業界の映像制作機器メーカー各社と4kフォーマットのオープンプラットフォーム化により、コンテンツが潤沢、スムーズに行き渡るように、制作環境を整えてきた」と述べ、「ソニーは、撮影制作から視聴に至るまで、すべての4Kワークフローを構築している」と業務用4K市場において、同社が優位にあり、コンテンツの提供にも貢献していることを説明した。
根本氏はその上で、「ソニーの総合力の集結による商品が今回発表する、世界初の4kホームシアタープロジェクター。今回、4kシアタープロジェクターを通して、家庭での映像を楽しんでもらえる環境を、創造、整備していきたい。これが、4kに取り組んでいる意義であり、目的である。今後も技術開発を追求し、高品質の製品を生み出す努力を継続していく。」と話した。今後、カメラで撮影した4K静止画をPS3経由で高品位投写が可能となるアプリケーションソフトを開発中で、2012年年初には提供するという。今後、コンシューマーにおいても4Kが画像の基準となり、ゲームや家庭用ビデオなども含めた市場を形成していくことを示した。
■SXRDの微細化を実現
続いて、新製品の紹介に立ったソニー プロフェッショナルソリューション事業本部ビジュアルプレゼンテーション・ソリューション事業部 事業部長の長谷川紀生氏が、新製品の特徴について説明した。
新製品は、下記のような各種最新技術を搭載している。
(1)同社が開発したハイフレームレート対応フルHDパネル「SXRD(Silicon X-tal Reflective Display)」に4K映像投影用の改良を加えた新開発4Kディスプレイデバイス 「SXRD」
画素ピッチを従来の7μmから4μmへと微細化することで、民生機に適したデバイスのコンパクト化を実現した。この新開発4K“SXRD”の搭載により、近距離の映像視聴でもなめらかで奥行き・臨場感のある高精細な4K映像を映し出している。
(2)フルHD解像度の映像を高精細でリアルな4K映像に変換する、新開発「4K映像表示デバイス向けデータベース型超解像処理LSI」
ソニーが十数年培ってきた超解像開発に伴うノウハウに新規技術を加えた新開発「4K映像表示用デバイス向けデータベース型超解像処理LSI」を搭載。これにより、フル HDの映像を高精細でリアルな4K映像に変換する。4Kカメラで撮影された素材や、CGなど4K解像度の映像に対しても、画質や色の再現を4K特性に最適化させ、より高品位な映像に変換する。
(3)新開発 4K解像度専用設計「ARC-F」レンズ
新開発の4K「ARC-F(All Range Crisp Focus Lens)」レンズを搭載。大口径で、画面のすみずみまで高品位な画質が得られる。
(4)光量の自動制御技術「アドバンスドアイリス3」
光量を自動制御する「アドバンスドアイリス3」技術とSXRDとの組み合わせによる1,000,000:1の高コントラスト比を実現し、4K映像再生に適した解像力と表現力を実現している。
長谷川氏は最後に、「ソニーはプロフェッショナルの領域で培ってきた4Kに関する様々な技術を結集して製品化した「VPL-VW1000ES」で、ご家庭へ臨場感ある迫力の4K映像を提供する」と4K映像への自信を示した。
SXRDの微細化を実現
撮影から視聴までを4Kで網羅
根本氏
長谷川氏