KDDI研究所のプロ・アマ動画コンテンツ判定技術
2007.11.20 UP
Inter BEEは音と映像の通信のプロフェッショナル展であり、最先端の技術を展示する場でもあります。今年のKDDI研究所では、符号化、伝送、セキュリティに関するさまざまな新しい技術を展示していますが、そのなかでも注目を浴びそうな技術が「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」です。同社マルチメディア通信の菅野勝研究主査にお話を伺いました。
■著作権侵害コンテンツの検出
「今年もいろんな技術を展示していますが、もっとも注目を浴びそうなのが『プロ・アマ動画コンテンツ判定技術』です。インターネット上の動画共有サイトの利用が拡大する中、テレビ番組をはじめとする著作権侵害コンテンツが不正に投稿されるケースが増大しています。この技術では、動画コンテンツが「プロによって制作されたもの」か「アマチュアによって撮影されたもの」かを自動的に判別することによって、テレビ番組を中心とした著作権侵害コンテンツを検出し、その著作権を保護することができます」。
■コンテンツの事前登録を必要としない画期的な技術
「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」の特長は、プロとアマチュアではそれぞれの撮影機器、撮影技術、制作工程などの違いがあることに着目した点です。
これらの違いが表れる映像特徴や音響特徴を、KDDI研究所独自の技術で高度に解析することにより、動画コンテンツがプロ制作のものか、アマチュア撮影のものかを、98% (実際に動画共有サイトに投稿されていた動画コンテンツを対象とした性能評価実験)という極めて高い精度で自動判別することができます。
「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」は、動画コンテンツそのものの特徴を解析することにより、既存技術の問題を克服します。著作権を侵害している動画コンテンツの事前登録が不要であり、一度も投稿されたことがない新規の動画コンテンツに対しても有効です。
すでにいくつかの動画共有サイトにおいて、動画コンテンツの「指紋(動画コンテンツを識別するための特徴量) 」を利用した方式が採用されています。この技術は、あらかじめ入手した著作権侵害コンテンツの指紋をデータベースに登録し、未知の動画コンテンツの指紋とデータベースに登録された指紋とを照合することにより、比較的高い精度で著作権侵害コンテンツを検出することができます。 しかし、このような指紋方式では次のような問題が指摘されています。
(1)著作権を侵害している動画コンテンツを予め特定し、その指紋をあらかじめデータベースに登録する必要がある
(2)動画コンテンツの改変や編集により、正しい指紋照合ができない場合がある
(3)日々新たに増え続ける動画コンテンツに追随することが困難である
「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」はこれらの課題をクリアしています。
■同技術の応用先
「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」は、ソフトウェアで簡単に実装することができますので、柔軟な運用が可能です。
たとえば、動画共有サイトの運営者様においては、本技術を「動画コンテンツ検閲エンジン」としてサーバーに組み込むことができます。
違法性が高いと判断された動画コンテンツは公開せず、違法性が低いと判断された動画コンテンツのみを公開する、などの対策により、著作権を保護することができます。
この「プロ・アマ動画コンテンツ判定技術」の内容をぜひともInter Bee会場でお確かめください。また、この他にも世界初のデジタルシネマ対応H.264リアルタイムエンコーダソフトなども展示されていますのでご覧ください。
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