【CES08】大型発表続く基調講演
2008.1.11 UP
1月7日に始まったCESでは、大きな発表が続出した。特に、基調講演の最初を飾った松下電器産業の坂本俊弘専務(AVCネットワークス社社長)の発表では、いくつもの「初公開」が続いた。
坂本氏は、世界最大の150型プラズマTVや最厚部で2.47cmの極薄型PDPを発表した他、環境関連ではプラズマパネルの発光効率を倍増させることに成功したことを明らかにした。また、同社の環境「非効率」商品を2009年末までに全廃することも表明した。更に、8日に基調講演を行なう米CATV最大手のComcast社会長兼CEOのブライアン・ロバーツ氏を壇上に招き、パナソニックのプラズマTVがCATV業界の共通方式「tru2way」対応することと、STBボックスからHDDレコーダ兼ビュア部分が取り外せる新型機「AnyPlay」を二人で発表した。加えて、家電装置からテレビへの非圧縮無線伝送「ワイヤレスHD」と、カムコーダからブルー・レイディスク装置へのコンテンツの無線伝送のデモも行った。講演終了間際には、米YouTube社と米Google社のコンテンツを同社のテレビから直接視聴できる機能を搭載することも明らかにした。
★10年は大丈夫
7日午後に講演した米Intel社のポール・オッテリーニ会長兼CEOは、最初にAR(拡張現実)と連続音声認識、自動翻訳といった近い将来の技術をデモし、「予見、生産的、状況認識」といった3つのキーワード必要機能を訴えた。デモにおいては、画像を認識して、認識された標識の言語を入替える、というものが実際に動作していた。
このような機能を携帯デバイスで実現するためには、一層の半導体技術の進展が必要となるが、一時心配された実現上の壁は改称されており「今後5世代、10年間は半導体の進歩は続く」と同会長は予測した。
★米CATV規格統一成る
8日朝に基調講演を行った、米Comcast社のブライアン・ロバーツ会長兼CEOは、米国CATV業界が「tru2way」方式で統一が成ったことを報告した。これまで、CATVでは各オペレータ毎に方式が異なり、オペレータを替える毎に別個のSTBが必要だった。また、この非統一からCATVを指向した家電機器の開発が滞っていた。tru2wayは、このような状況を一掃するとともにJavaの採用でソフトウェアの開発負担を減らしており、新たなアプリケーションを容易に取りこめる。ロバーツ会長は、ソフトウェア開発セッションに多くの参加者があったと述べ、手応えを披露した。
また、同社の取組みとしては、VoDの強化をまっさきに挙げた。今年以降、VoDタイトルを6000に増やし、うち3000以上をHDとする予定という。CATVでインターネット接続サービスを行なっていることを活かして、新サービス「SmartZone」では電子メール、ボイスメールを出先からでも確認できる。また、サービス統合の一環として展開する、ポータルサイト「FANCAST」では、番組の「お薦め」を行う他、録画、DVDの購入、映画チケットの予約なども行なえるようになる。コンテンツに関わるサービスの大統合を行う野心的な取組みであることが示された。また、同会長は、同社が「最も多くのコンテンツを調達している」という立場を生かして、ネットDVR(視聴者の指示でCATV局側のディスクで番組を録画し、再生するもの)の交渉も行なっていることを明らかにした。
★GMは新車両発表
自動車業界から初めて基調講演に招かれた米General Motors社のリッック・ワゴナー会長兼CEOは、同社が展開してきたテレマチックス「OnStar」で電子業界と付き合ったことで、電子業界の変革の速さを知った、と告白した。OnStarは、サービス開始から12年が経つが、装置は既に第8世代に達しているという。
同会長は、エネルギー消費の面から、新エネルギーを使った自動車の重要性を訴え、GMの取組みを紹介した。特に力を入れたのが、複数のエネルギー源を使えるプラットフォーム技術「E-FLEX」である。ハイブリッド車技術であるが、エネルギー源は燃料電池、発電機、家庭用電源などを組合せられる。E-FLEXを基盤にしてエネルギー源が異なる自動車を開発できる。最後に、CES史上初めてとなる「新車公開」が行なわれ、E-FLEX技術を用いた燃料電池ハイブリッド車「Cadillac PROVOQ(キャデラック・プロボック)」を壇上に引き出した。同社は、E-FLEX技術を各ブランドに展開してゆくとのことである。
写真1 ワイヤーを切って「ワイヤレスHD」をデモする松下電器産業の坂本専務
写真2 「半導体技術は、今後5世代10年間は進化を続ける」と将来を保証すIntelのポール・オッテリーニ会長
写真3 全米統合CATV方式「tru2way」やサービスポータル「FANCAST」を発表したComcastのブライアン・ロバーツ会長
写真4 電子技術の活用で、安全、環境指向を強める自動車業界の状況を説明し、新型燃料電池ハイブリット車を発表したGMのリック・ワゴナー会長
【提供元:映像新聞社/CES(2008/1/8)】