【ニュース】スタンフォード大学で開催される高性能プロセッサの学会 HotChipsレポート CPUはメニーコアの時代へ
2010.9.9 UP
■最新のプロセッサーが集結
8月に米スタンフォード大学で開催された学会「HotChips22」は、高性能プロセッサに焦点を当てたユニークな会合である。毎年、この地で開催される学会ではペンティアムをはじめとする多くのエポックメーキングなプロセッサが初登場してきた。
■メニーコア時代の到来
今年の明確な傾向は、ついに「メニーコア」時代の到来である。CPUの性能向上を、クロック周波数の向上だけに頼ることは難しくなり、各社とも演算の中心たる「コア」を1チップ内に複数個装備する方法を採用している。これはマルチコアと呼ばれる方法であり、コア数は2個から始まり6から8個にまで至っている。このコア数が10を越えたら「メニーコア」と呼ぶ、と米インテルは主張していたが、ついにメニーコアの定義を満たすプロセッサが登場し始めた。
インテルのウェストメア-EXは10コア、IBMのPowerENネットワークプロセッサは16コアを集積している。また、インテルのXenon-56XXは従来の4コアから6コアに拡張され、IBMのPOWER7は8コアに達するなど、メニーコア直前にまで到達したものもある。これらは、すべて「正常進化」として捉えられており、特段の感激をもって迎えられた訳ではないことに注目したい。
■消費電力削減効果のあるコアの高集積化
コアの集積度が上がれば、それだけ1CPUあたりの処理能力は高まるため、サーバー等が収容すべきCPU数が減る。これは、消費電力削減に効果があり、運用コスト低下に寄与する。一方、ソフトウェアは、一般にコア数が増えても互換性が保たれているばかりか、自動的に処理能力が向上するように作られているため、ユーザーは何もしなくともコア数の増加の恩恵を受けられる。今年の段階では、メニーコアはサーバー用のハイエンドチップのみであったが、間もなくデスクトップ用にもこのようなCPUが現れるだろう
■LSI間の光接続で電力削減へ
もう一つの発展は、LSI間の光接続が現実のものとなり始めたことだ。これまでも、機器間接続で光ファイバーを用いることはあったが、まだ10ギガビットイーサネットなど一部に限られている。
HotChipsで現れたいくつかの提案では、チップ内の光配線、チップ間の光配線であった。しかも、現在のように、専用の半導体チップで電気・光変換を行うのではなく、CPUや通信チップの中に光接続機能を内蔵するということが考えられている。この結果、通信速度が向上するばかりか、通信に関わる電力消費が大幅に抑制できるという。ここでも「電力」がポイントとなっていた。