【ニュース】NTT、NHKがSHV映像のライブ中継で実験
2011.3.4 UP
NTTとNHKは2月18日、比較的安価だが安全面や遅延のばらつきのある共用のグローバルIP網を使いながら、300Mbpsのスループットでスーパーハイビジョン(SHV)映像をライブ中継する実験を成功させた。今後は、高解像度映像を効果的に活用できるパブリックビューイングなどでの活用を目指す。
伝送には、NTTが開発したIP伝送終端装置を導入した。この装置(UNIX OSのPC)は送信時に付加したタイムスタンプを受信時にリタイミングしながら、デコーダー出力のズレをPCの制御限界といえる8ミリ秒に抑制する。高速駆動が可能なLDGM誤り訂正技術や128ビットのAES暗号技術も搭載し、これらのソフトウエアを連携して動作させている。
実験では、東京・砧のNHK放送技術研究所から220MbpsのH.264(60p)形式にエンコードした映像を送信。米国と欧州を経て、SHVの伝送実験で協力関係にある英国・ロンドンのBBCで折り返した後、NTT武蔵野研究開発センタで受信再生した。
ネットワークは家庭への配信を想定し、NTTや欧米の10Gbpsテストベッドと、BBC内の1Gbps回線など複数回線を経由。平均遅延は300ミリ秒で、ジッターは最大50ミリ秒。パケットロスは0.07%だった。映像を2ストリームで伝送したのは、エンコーダーの出力仕様に合わせたことによる。
22日には、NTTとNHKが共同記者会見を実施し、NTTの宇治則孝副社長が「NHKの放送技術とNTTの通信技術の連携で、次世代に向けた連携サービスを実現した」とあいさつした。
NHKの永井研二専務理事・技師長はSHVの概要を説明した後、「2011年春にSHVフル解像度のフラットパネルディスプレーを公開する」と展望を話した。