映像も立体(3D)の時代へ

2008.11.20 UP

大画面テレビとDVDソフトとの普及により、現在、“音”は5.1chもしくは2.1chの時代になっている。“音”が立体化しているのである。“音”の立体化は、古くからハリウッド映画に4チャンネルや6チャンネルステレオとして普及していたが、1977年にアナログ方式の“ドルビーサラウンド”で「スターウォーズ」が公開されると、爆発的なヒットとなり、1990年代にDTS(デジタル・シアター・システムズ)へと受け継がれていった。それが21世紀入ると、家庭にも浸透していったのである。これが“音の立体化”である。しかし、映像に関しては、映画や特別なシアターでのみ3D(3次元ディスプレイ=立体映像)で見ることができるが、特殊な技術やコストが必要なため、普及することは今までなかった。しかし、今年のInter BEEではその3D映像関係がいくつか展示されている。


■すべての映像が3Dとなるのも時間の問題

 FAエーシステムエンジニアリング株式会社(http://www.fase.co.jp/)のブースで展示されているアスナ社製の立体ハイビジョンディスプレイは、世界に先駆けて発表された。
特徴はX-pol(エックスポール)システムと言われる透明フィルターである。液晶ディスプレイの画素数に合わせて作成されたX-pol を液晶ディスプレイの前面に貼り合わせることで、画面に「偏光ライン」を作り上げるのである。例えば、走査線の奇数を左目、偶数を右目と1本ずつを反転させることにより、偏光メガネをかけると分離された画像を左右分離して同時に見ることができ、その結果、画像が立体になるのである。もちろん、赤と青のレンズで見る画像と違って、画面そのものに色加工をするわけではないので、偏光メガネをはずすと、普通の画像(2D)で楽しめる。

 まだ、BS11など、ごく一部しか3D放送を行っていないが、アスナは市販の2Dのソフトを3Dに変換する装置も開発した。「TriDef DVD player」は、3Dモニターと、市販のDVDデッキの間に繋ぐだけで、間単に3Dの映像を楽しめるのである。このシステムを使えば、ラックに眠っている映画のDVDを、またもう一度楽しむことができる。現在、この3D対応の液晶テレビは46V型が最大だが、日進月歩で大型化する液晶テレビ界において、60型以上が登場するのもそう遠くはないだろう。

 株式会社朋栄(http://www.for-a.co.jp/)で展示しているフィリップス社製のモニターは、偏光メガネを必要としない“裸眼立体ディスプレイ”。フィリップスのシステムは、2D映像に白黒の奥行き情報(Depth Map)を付加することで立体映像を可能としたシステムで、これを同社が開発した42インチWOW3Dディスプレイで表示することにより、メガネなしで立体画像を楽しむことができる。「メガネを必要としない」ところに、フィリップス社の技術力の高さを感じる。このシステムは、大勢の人が集まる公共機関や、アミューズメント施設などを目的としており、映画や一般の家庭などは、もう少し先になりそうだ。

 三友株式会社(http://www.mitomo.co.jp/)のブースでは世界最大の3D液晶モニターを展示している。サイズは65インチでドイツのVisuMotion社が開発した。これはフィリップス社製のモニターと同じく、裸眼で3Dを楽しむことができるタイプである。このディスプレイは、すでに今年の6月から販売されており、今後は屋外使用としてLEDを使って100インチ以上のモニターの製作も可能だという。また3D映像携帯電話の実用化にも成功しており、市場導入も時間の問題だろう。

 一般的に視聴者は2次元(平面)の映像に慣れているため、立体映像ではなくても普段の生活に何の支障もないが、ホームシアターでお気に入りの映画やドキュメンタリーを立体で見ることができたら、しばらくは楽しい“引きこもり”生活になりそうだ。すべての映像が3Dとなるのも時間の問題だと確信した。

【Inter BEEニュースセンター】

◎写真1枚目
FAエーシステムエンジニアリング株式会社のブース

◎写真2枚目
株式会社朋栄で展示されているフィリップス社製の3Dモニター

◎写真3枚目
三友株式会社のブースの3D液晶モニター

#interbee2019

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