【ad:tech tokyo 2009】オムニチュア 「データはビジネスチャンスを生む“金脈”コンバージョンの拡大や売上の向上が可能に」
2009.9.15 UP
9月2、3日に開催された、マーケティングとITテクノロジーに特化したカンファレンス「ad:tech Tokyo 2009」において、オムニチュア社 CEO 兼 共同創業者のジャシュ ジェイムズ氏が登壇し、データを活用したデジタル戦略の最適化について講演した。
オンライン上には膨大なデータが溢れている。それをうまく活用できれば、顧客の趣味や嗜好、購買行動などを導き出し、効果的なターゲットマーケティングが可能になる。これにより、集客とコンバージョンを高め、長期的な顧客維持にも効果がある。
つまり、データは新たなビジネスチャンスを生み出す“金脈”だという。
その金脈を掘り起こすためにはデータの最適化が欠かせない。先進的な企業はすでにデータの最適化に取り組み、大きな成果を上げている。
<<膨大なデータの最適化にはシステムによる自動化が不可欠>>
あらゆる局面において消費者のオンライン活用は進むばかりだ。「それに伴い、モバイル、ビデオ、ソーシャルメディアなどとデジタルマーケティングチャネルそのものも多様化。
企業と消費者が接触する機会が確実に拡大しており、そこから新たなビジネスが生まれる可能性が高まっています」と、ジェイムズ氏は指摘する。そのためには多様かつ膨大な消費者との接触点を網羅し、そこにあるデータを最適化して活用することが重要となる。
とはいえ、オンライン上のデータは天文学的なボリュームに肥大化している。「オムニチュアではオンラインビジネスを支援するためのサービスをSaaSで提供していますが、その中のトランザクション数は四半期あたりで1兆、1秒あたりに換算すると25万に上ります」(ジェイムズ氏)。
しかし、このトランザクションの95%以上は最適化できていないという。
これまでデータの最適化ができなかった最大の理由はデータそのものがなかったから。しかし、現在は必要なデータが溢れており、それらをリアルタイムで収集・分析することが可能だ。
消費者がウェブサイト上のどこをクリックしたか、携帯電話で何のバーコードを読み取ったかといった、オンライン上の行動をすべてデータとして把握できる。
「これらを吸い上げ、リアルタイムで最適化すれば、有効な広告資源になります。これをもとに、パーソナライズ化されたカスタマー・エクスペリエンスを提供することで、消費者の多様なニーズに柔軟かつスピーディに対応できるでしょう」とジェイムズ氏は説明する。
爆発的に増え続けるデータをいかに最適化するか―。それがこれからのビジネスにとって重要なポイントになるという。
例えば、現在は多くの企業が検索エンジンでキーワードを購入し、検索連動型広告を展開しているが、ヒット率を高めるには膨大な数のキーワードが必要。それを人が管理することは非常に困難だ。
「データの最適化を図るには、システムによる自動化が欠かせません」とジェイムズ氏は述べる。
オムニチュアのマーケティングプラットフォーム「SearchCenter(サーチセンター)」は、こうしたニーズに対応したものだ。
これを使えば、Web解析データと広告運用データを統合し、キーワードの分析・運用管理・自動入札を一括で行うことができる。具体的には、キャンペーンの内容に合わせた最適なキーワードを選定し、自動で入札したり、その評価を管理することなどが可能。
結果はデータとして蓄積され、その後の活動にフィードバックしていくことができる。「つまり、リアルタイムな検索連動型広告キャンペーンの最適化を容易に実現できるようになるのです」とジェイムズ氏は語る。
さらにオムニチュアでは、より高い効果を実現するための導入支援サービス、コンサルティングサービス、カスタマーサポート、ユーザー教育なども提供しており、マーケティング活動や販売活動などにおける投資対効果の向上や収益率の向上などを強力に支援している。
<<データの最適化により売上5倍、クリックスルー率7倍のケースも>>
オムニチュアのサービスはワールドワイドで5000社以上の導入実績があり、多くの企業でその成果が実証されているという。
その上でジェイムズ氏はウェブ解析ソリューション「SiteCatalyst(サイトカタリスト)」を活用し成果を上げている企業例を紹介した。
その1つが、世界最大級の家電量販店であるベスト・バイである。同社では顧客維持キャンペーンにおいて、データを分析することでターゲティングの最適化を実現し、数千万ドルの売り上げ向上に成功しているという。
日本での成功事例も数多くある。CD・DVD小売チェーン大手の新星堂では、自社ブログの効果検証にSiteCatalystを活用。これにより、ブログへのアクセス数やECサイトへの誘導数、購入数や金額などを詳細に把握できるようになった。
さらに人気コンテンツやアーティストごとに、そのファン層のプロフィールを分析。それをもとにECサイト上で関連コンテンツを掲載したり、様々な特典企画などを実施している。
ジェイムズ氏は「ターゲット層に合わせた施策を的確かつタイムリーに展開できるようになったため、以前と比べて、オンラインでの売上が5倍も向上しています」とその成果を強調する。
またIT関連の書籍・雑誌などの発行を手がける翔泳社ではWebサイトのユーザーをセグメント化して行動ターゲティング広告メールを配信している。「その結果、セグメント化しない場合に比べてクリックスルー率が最大7倍になる効果を確認しています」とジェイムズ氏は報告する。
デジタルマーケティングチャネルが多様化する中、データの最適活用の必要性はますます高まっている。
データを分析し、ターゲット層を明確にすれば、柔軟な広告投資が可能になり、集客やコンバージョンの拡大、顧客維持にも威力を発揮する。
「その意味で、データは大きな可能性を秘めた“金脈”のようなもの。それを掘り当てるには最適なソリューションの導入とともに、データを最適活用できる人材を育成、確保することも忘れてはならないポイントです」。ジェイムズ氏はこのように述べ、データ最適化の重要性を改めて訴えた。