【NEWS】キヤノン ハリウッドで大規模な発表イベント開催し映画業界に本格参入を表明 映画撮影用カメラ“CINEMA EOS SYSTEM”を発表!
2011.11.12 UP
マーチン・スコセッシ監督。ハリウッドもキヤノンを歓迎している
注目を浴びたCINEMA EOS
会場はハリウッドの映画関係者でいっぱいだった
ハリウッドのキヤノンT&Sセンター
米国ハリウッドで現地時間11月3日(日本時間4日)、キヤノンが世界に向けて発表した、新世代のデジタルシネマカメラシステム、“CINEMA EOS SYSTEM”EOS C300/C300PL。
これは、この3年間EOS 5D markⅡ等で世界で好評を博してきたDSLR動画撮影機能“EOS MOVIE”をさらに進化させ、PLマウントレンズなどに対応する、新開発スーパー35mmサイズの大型単板CMOSセンサーを搭載、さらに業務用ビデオカメラのXシリーズの長所である4:2:2 50Mbpsでのファイルベーステクノロジー、そして今回の最大のポイントである伝統のレンズテクノロジーを組み合わせた、映画、TV、CMなどの制作系コンテンツのための画期的なカメラシステムだ。
キヤノン70年の歴史と伝統あるEFレンズ群、B4マウントレンズ群に加えて、今回新たに映画用のシネマEFレンズとPLマウントレンズシリーズをラインナップ。さらにはEOSシリーズとほぼ同サイズのコンパクトな筐体と、12ストップオーバーという広いダイナミックレンジを活かすCanon-LOGを新開発。ここに全く新しいデジタルシネマカメラ・ラインナップが登場してきた。
■盛大な発表イベントにハリウッドVIPが集結 御手洗名誉会長が登壇するCANONの注力ぶり
11月3日 3:00pm、アメリカ/カリフォルニア州ハリウッドの大手メジャースタジオ、パラマウント・スタジオ内において、CINEMA EOS SYSTEMの大々的な発表イベントが開催された。
パラマウント・スタジオ内最大規模のメインシアターである、パラマウントシアターでは3:00pmから、オープニングセレモニーがスタート。キヤノン株式会社の会長である御手洗冨士夫CEO(前 経団連会長、現 名誉会長)によるメインスピーチとして、CINEMA EOS SYSTEMの発表と、新しいカメラによって撮影されたデモ映像作品のスクリーニング、そしてスペシャルゲストによるスピーチなどが行われ、その後1時間ほどのプレスカンファレンスでいよいよCINEMA EOSの詳細な機能紹介、また今回の作られた4つのデモ映像の監督たちも参加しての、技術的な詳細な情報が明らかになった。
この他、敷地内のスタジオ“Stage 1,2”では、新製品「CINEMA EOS」の実機C300/C300PLと、10月末に発表されたEOSの最新フラッグシップカメラ“EOS 1D-X”、そして新しいPLシネマレンズ、EFシネマレンズなどが一堂に展示された“Exhibit Showcase”が同時開催。この催しは翌日の4日と5日にも開催され、招待制による多くのハリウッド関係者やプレスが招待され、会場ではデモ映像監督や、関係者による各種テクニカルセッションが行われるなど、地元ハリウッド関係者の間でも“1社がこれのほどまでの大規模な発表をメジャースタジオを借り切って行うことは近年無かったこと!”と驚きと歓喜、賞賛のコメントが数多く集まった。
3日はその後、カクテルレセプションやディナーパーティーが催され、全7時間以上に及ぶ一大イベントとなった。
■マーチン・スコセッシ監督がキヤノンの映画産業参入を賞賛
今回の発表はC300の発表に伴って、キヤノンがこれを機に本格的に映画産業に参画することを表明した一大イベントでもある。そのためレセプションに招待されていたのは、主にハリウッドのVIPたち。そしてオープニングセレモニーでゲストスピーチの壇上に立ったのは、マーティン・スコセッシ監督だった。
スコセッシ監督は、キヤノンが過去にレンズで72年と77年に2回オスカー受賞(アカデミー科学技術部門賞)を受賞していることからも、ハリウッドに再び戻って来たことを賞賛、CINEMA EOSによって再び本格的なハリウッド映画産業への参入となる今回の発表を讃えた。
また多くの撮影監督やプロダクション関係者など、ハリウッドの映画産業に関わるVIPが列席、J.J.エイブラムス(「M:i:Ⅲ」「スタートレック」「スーパー8」)、ロン・ハワード(「コクーン」「アポロ13」)などの有名監督達も会場に訪れており、まさにメーカーの製品発表としては異例とも言える豪華なイベントになった。加えて世界中から集められた各国のプレス関係者など、初日に招待されたゲストは約600名、3日間で約2,000人を超える規模の、世界の映画関係者が参加したと思われる。
■真のデジタルシネマカメラの登場
C300は、これまでとは全く違う素性を持っているカメラである。ある意味、デジタルビデオカメラでは無くなった、真の“デジタルシネマカメラ”の誕生と言えそうなポテンシャルを秘めている未知のカメラだ。
日本の映像制作者は現在、ほぼビデオベースで仕事をしているため、そのカタログスペックだけで判断すると8bit 4:2:2 50Mbpsといった、業界では2年前のカメラトレンドのように見える。実際にRGBのMPEGベースで撮ってもあまり面白くない、単に高価なだけのカメラに思えてしまう。
しかしこのC300/C300PLは、Canon-LOGという優秀なデータフォーマットによるLOGデータでの収録を標準搭載したことで、ここに大きな変革をもたらそうとしている。その秘めたポテンシャルもすでにその方法が10年以上前からマストになっているハリウッドでは、このC300と、CINEMA EOS SYSTEMが目指す指向性が、大いに歓迎されていたようだ。
日本では残念ながら、一部の映画以外、CINEONを使った処理フローは確立されていないので、ここを習得、理解されるまでは、かなり難しく時間がかかると思われるが、このLOGデータ収録によるダイナミックレンジを活かした撮影収録が基本となれば、どの映像分野でも、そのクオリティは格段に上がると思われる。
3日の発表に先立って、ハリウッドにCINEMA EOS専門のテクニカル&サポートセンターを開設するなど、映画産業へいよいよ本格参入を表明したキヤノン。C300/C300PLは、ムービー撮影に必要充分な機能が高いレベルでチューニングされ、最高のデザインに詰め込んだ画期的なデジタルシネマカメラである。
16日から開催されるInterBEE2011では、過去最大のブース面積を確保し、このCINEMA EOS SYSTEMを中心にした、実機展示、各種セミナーなどが開催される予定だ。
(取材・写真:石川幸宏/DVJ BUZZ TV)
マーチン・スコセッシ監督。ハリウッドもキヤノンを歓迎している
注目を浴びたCINEMA EOS
会場はハリウッドの映画関係者でいっぱいだった
ハリウッドのキヤノンT&Sセンター