DVB DVB-SHによる新展開に期待

2008.10.24 UP

 放送方式標準化団体であるDigital Video Project(DVB)は、15日午前のセッション「Open Standards, technology and implementation - in associationwith DVB」で携帯機器向け放送方式であるDVB-Hの苦戦が続いていることを認めると同時に、Sバンド(衛星)とUHF(地上波)の双方を扱える携帯向け方式であるDVB-SHに期待していることを明らかにした。
 仏Alcatel-Lucent Mobile Broadcast社の会長であるOliver Coste氏(写真)は講演で、現時点でDVB-Hは150万ユーザー(推定)であり、他方式は4500万ユーザー(同)との見方を示した。ここで同氏は、日本のワンセグ、韓国のT-DMBの成功を挙げ「無料放送での携帯向け方式は順調に進んでいる。一方、有料方式は苦戦している」として、ほとんどのDVB-H事業者が取っている有料放送が受け入れられていないことを示した。同時に「MediaFLOも期待通りには伸びておらず、やはり有料という障壁があるのではないか」との見解を明らかにした。
 DVBは、DVB-Hの将来展開としてSバンドとUHFの双方で利用できる方式「DVB-SH」を開発しており、Coste氏はこの方式での高品質放送が受け入れられることを期待するとした。DVB-SHは、誤り訂正にターボ符号を採用しており、DVB-Hに比べて7dB近い利得があることが実験室レベルで証明されている。この利得を活用することで、より高いデータレートでの放送を行い「有料に足る高品質放送が可能」(Coste氏)とした。
 また、同氏によるとEC(欧州委員会)はSバンドの認可権について各加盟国からの権限移管を受けており、ここにDVB-SHが割り当てられる見込みであるという。汎欧州的周波数管理はSバンドが初めてであるが、ここでDVB-SH方式が採用されればEU各国での展開が可能となる。
 同氏は、衛星によるDVB-SHサービスと地上波によるサービスが全欧で始まることを期待しているとした。

【映像新聞社】

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