【InterBEE 2009出展者情報】KDDI研究所、携帯型高画質ビデオ伝送システム「VistaFinder」を展示
2009.11.19 UP
KDDI研究所ブースの様子
<< HD映像配信に対応した携帯型高画質ビデオ伝送システム「VistaFinder」>>
株式会社KDDI研究所は、ノートPCを利用した携帯型取材映像伝送システム「VistaFinder」を展示・紹介した。インタ-ネット回線で映像を伝送するソフトを搭載したPC、伝送装置からなるシステム。SD映像は、非圧縮リアルタイムで伝送。新たに、HD映像をH.264ファイルとして圧縮・伝送できる機能が加わっている。
伝送には、UQ WiMAXや無線LANなどのIPブロードバンド環境やauデータ通信カードを使ったモバイルデータ通信回線、KDDIインマルサット衛星回線(BGAN)などに対応。同装置があれば、海外の取材現場から直接、インターネットにアクセスして映像を伝送できる。
従来は、SDでの速報性を目的とした「ライブ中継モード」と効率伝送を目的とした「蓄積伝送モード」を持っていたが、今回新たにHDに対応。HD映像については、H.264で2Mbps〜8Mbpsに圧縮したファイルでの蓄積伝送となる。
研究員の豊田陽介氏は、「一般に販売されているノートPCを利用することを前提としているため、スペック的にHD映像のライブ配信には対応していない」と説明した。
<<映像ビットレートの自動制御機能を搭載>>
このほか、放送向け用途として、現場対応スタッフが簡単に利用できるように、蓄積伝送モードに「自動ネットワーク帯域測定機能」と「パラメータ全自動測定機能」、SDのライブ中継モードにネットワーク帯域の変動に対応した「映像ビットレート自動制御機能」を追加した。
自動ネットワーク帯域測定機能は、取材先のネットワーク回線で利用可能な帯域を、テストデータの送受信により測定することで、最適な伝送ビットレートを設定することができる。
パラメータ全自動設定機能は、蓄積伝送時に伝送完了時刻を設定するだけで、ネットワーク帯域や伝送時間などの条件に合わせた最適な圧縮・伝送パラメータを自動設定する。
豊田氏は、「PCのパフォーマンスにより異なるH.264への圧縮性能を一部のパターンを計測することで全体性能を推測する独自技術を利用しており、エンコードパラメータなど、ぎりぎりの使えるところを見極めて設定している」と説明した。
また、映像ビットレート自動制御機能は、ライブ中継で利用するネットワークの帯域が保証されていない場合、帯域の変動にあわせてビデオの圧縮ビットレートを自動で調整する。また、無線通信でのパケットロス対応として誤り訂正機能(FEC)を追加した。
KDDIインマルサットBGANサービスを利用する場合は、「BGANの384kbpsの最低帯域保障サービスにより、2台のBGANを利用したバルク伝送機能により、約800kbpsでの高品質ライブ映像伝送が可能」(豊田氏)という。
本システムはオープンプライスであり、販売代理店の株式会社デジタルハンズで販売している。利用するハードウェア構成により価格は変わるが、参考価格として、ハードウェア込みのSDタイプ一式が約150万円、HD-SDI入力からI-Linkへのコンバータが付いたハードウェア込みのHDタイプ一式が約250万円という。
KDDI研究所ブースの様子