【ニュース】テレビ埼玉 ハイビジョン中継車「HR01」を導入 「小型中継車の車体に中型中継車並みの機能を装備」
2011.6.24 UP
納車式のもよう
HR01の内部卓
HR01後方に配した発電機
テレ玉 技術局長 河上利文氏
●安全祈願を兼ねた納車式を開催 高校野球で本格稼働へ
テレビ埼玉(テレ玉)は6月20日、新たに導入したハイビジョン中継車「HR01」の安全祈願を兼ねた納車式を、テレ玉本社内中継車庫前スペースで開催した。
新中継車は、7月9日に開幕する「第93回全国高校野球選手権埼玉大会」から本格的に稼働する。同中継車を用いて、県営大宮公園球場で開催する全試合を実況生中継する。
HR01は、シャーシに、三菱ふそう新型キャンターを採用している。世界で最もクリーンなディーゼルエンジンを搭載し、普通免許オートマチック免許で運転が可能。発電機も、「第3時基準値排出ガス」対策型の製品を使用しているなど、環境に配慮した中継車になっている。
●テレ玉技術局が独自に機材選定・設計を実施
車内は、モニター棚に 16台のソースモニターと2台のラインモニターを設置。制作ルームは、前卓にスイッチャー、デレクターなど3名、後卓(サブ卓)にスローオペレーター2名、ビデオエンジニア2名での作業が可能となっている。制作室運用可能人員は7人。カメラは最大8カメまで対応する。
総排気量約3000ccで175馬力。小型中継車の車体に中型中継車並みの機能を装備している。テレ玉技術局が独自に機材の選定、設計を行い、同シャーシへのシステム実装をソニーに、架装を京成自動車に発注したことで実現した。
●機動力向上とコストダウンを目指した設計
技術局の河上利文技術局長は、今回の新中継車導入の経緯とねらいについて、次のように話す。
「大型のスポーツ放送用中継車は通常、2-5億円と高額で、年間の利用数などを考えると回収には5年以上かかり、コスト的には借りたほうが安価になる。しかし、スポーツ中継の回数が増えれば、レンタル費だけで年間数千万円になる。これまで、高校野球以外の高校スポーツ中継については、自社のSD中継車と自社のスタッフで中継をしていたが、カメラの交換時期などを迎え、HD中継車導入の検討を諮った」
河上氏は、今年3月に導入したミニ中継車SR01とともに、このHR01のコンセプトづくり、仕様設計を行った。
2台に共通した発想は、「技術スタッフを伴わずに制作、報道だけで中継ができるように簡単な操作で使える」点と、コストパフォーマンスにある。
ミニ中継車は、情報番組、報道番組を、HR01は、スポーツ中継を想定している。
「HR01の使用機材、配置などもすべてこちらで決定した上で設計図まで作成した。昨年秋、SD中継車の発電機のメンテナンスをした際、そのために車を分解しなければならず、数百万円という多額の工賃がかかったため、今回は発電機を後部に配置している。また、機材を載せた車両のクラッチ運転はプロの運転手でないと厳しいので、オートマチックにすることで、運転によって気疲れしないように配慮している。この2台の中継車の導入によって、機動力をより高め、高品質で新鮮な番組を届けていきたい」(河上氏)
納車式のもよう
HR01の内部卓
HR01後方に配した発電機
テレ玉 技術局長 河上利文氏