【IBC 2011】ザイリンクス、放送分野への取り組みを加速〜3G-SDI信号の10GbE伝送を実現するSMPTE2022-5/6用IPを開発〜

2011.9.13 UP

FPGAによるHD over IPをデモ
放送機器にはFPGAが進出している

放送機器にはFPGAが進出している

 米Xilinx(ホール10.D25)は、3G-SDI信号を10G Ethernet(10GbE)で伝送するSMPTE2022規格の最新版(SMPTE2022-5/-6)用IPコア、水晶発振子(VCXO)不要のSDI用クロック技術、28nm製造技術によるFPGA(Kintexシリーズ)、などをブースで公開した。

 半導体技術の微細化が進み、開発費の高額化が進んでいる。主流のプロセスである65nmでは、量産の準備だけで数十億円を要するとされている。また、開発期間も長期化しており、LSIを起こす場合、製品寿命中の生産量が100万個では、製造コストに加えて乗せられる開発費が過大になると言われている。FPGAは、ソフトウェアで記述した回路を即座に動作させられるため、開発期間の大幅な短縮が図れる。また、ソフトウェアでハードウェアを記述するため、開発後の修正や機能向上が容易に行える。このため、放送業界ではカムコーダやビデオレコーダを中心に用いられてきたが、Xilinxは更に幅広い利用を呼びかけている。

 今回公開された28nm技術によるFPGA「Kintex」は、従来品に比べて最大50%の消費電力削減がなされながら、性能は全く犠牲になっていない。今回、このKintexを用いたSDIインターフェイスがデモされた。

 SMPTE2022は、3G-SDI信号をIP化して10GbE上に乗せる技術で、SMPTEで規格化が進められてきた。この技術の実現で、既存の10GbEによるネットワークを用いてSDI信号の伝送が実現する。1対1の利用に限られる同軸ケーブルに比べて、大幅に利便性が高まり、プロダクション、放送局での導入が始まっている。

これまでにIP化は規格化されていたが、このたびFEC(前方誤り訂正)の導入が決まり、信頼性が大幅に向上した。Xilinxは、新規格であるSMPTE2022-5と同-6を実装したIPを開発し、今回展示した。SMPTE2022-5/-6は、規格化の最終段階で、間もなく発行される。一般に、LSI開発は規格化が最終段階に達したところで始まるが、今回のデモはLSI開発に比して短期間に実働機を投入可能なことを示している。

 放送業界では、カメラ、カムコーダ、ビデオの他に、スイッチャーでもFPGAの導入が進んでいる。今回は、XilinxブースにHarmonic製のOmneon VideoDeckが置かれており、FPGAの浸透をアピールしていた。

放送機器にはFPGAが進出している

放送機器にはFPGAが進出している

#interbee2019

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