DVB-T2が発表される BBCは2009年11月より地上波HD放送開始
2008.10.24 UP
デジタル放送方式の標準化団体であるDigital Broadcasting Project(DVB)は12日に記者会見を行い、最新の地上波用放送方式「DVB-T2」の仕様がまとまったことを報告した。同時にこの席で、英BBCは2009年11月より地上波でのHD放送を開始する意向を示した。
DVBの事務局長であるPeter MacAvock氏がT2について説明し、BBC主導で開発されたこと、DVB-Tと共存できる規格であること、伝送容量が30%〜70%向上することなどが説明された。技術的なポイントとしては、
・誤り訂正方式をRS(リード・ソロモン符号)方式から、LDPC+BCH方式に変更した事による30%の容量増加
・256QAMの導入
・搬送波数の拡大
の3つがあげられる。6月27日より実験波を送信し始めたBBCの場合、DVB-Tでは24MbpsであったものがDVB-T2では35.4Mbpsと50%近く増大している。MacAvock氏(写真)は、「この技術は世界各国の技術者の協力で短期間に完成した」と述べ、決して欧州だけの技術ではないことを強調した。
続いて登壇したBBCのシニア・ポリシーアドバイザであるCatherine Smadja氏は、BBCが英国のマルチプレックスの一つをDVB-T2化し、こちらでHD放送を行う意向であることを明らかにした。HD方式は「MPEG-4」としている。画面フォーマットは明らかにされなかった。(なお、DVBのブースでは、BBCはMPEG-4AVC/H.264で11Mbpsで符号化したHD実験放送を公開している)
BBCは、現時点ではBBC HDを衛星またはケーブルにて提供しており、地上波の一般向けサービスが行っていない。また、同氏は現在のBBC HDに加えて、2つのチャンネルをHD化して提供する意向であることを明らかにした。ただし、これらの計画は監督官庁の認可を必要としており、最終決定ではないとしている。
映像新聞社の質問に答えて、MacAvock氏とデモ用の受信装置を開発したSIDSA社(スペイン)は、復調機の回路規模はDVB-T比の約3倍になるとした。ただし、今回から導入されたタイムスライシング方式(DVB-Hで導入済み)により、電力消費は抑えられる、としている。
【映像新聞社】