【NAB SHOW 2011】NAB基調講演 ジェームズ・キャメロン氏が登壇 3Dの新会社設立を宣言
2011.4.12 UP
中央がエディ・フリッツ氏
左がキャメロン氏、右がペース氏
NABショーの開会イベントは,例年通り4月11日朝9時よりラスベガス・ヒルトンにて行われた。登壇したゴードン・スミス会長は、開口一番「技術の融合や新しい配信プラットフォームの登場は、我々にビジネスモデルの再考を強いている」と述べ、業界が難しい時期にあることを率直に認めた。その上で「ここに集うコンテント・コミュニティーのリーダー達へ」と呼びかけ、NABショーが広くコンテンツを扱う業界のためにあることを示した。同時に、放送業界へは政府の規制が大きな影響があるとして「だからこそ、この業界と米国民のためにNABは活動してゆく」と存在意義を再確認した。また、この活動は「メディアビジネスのすべての関係者のためだ」として、放送以外の業界から賛同を集めてゆく意図をにじませた。
★スミス会長 東日本大震災の報道を賞賛 「日本の放送事業者の勇気と貢献に感銘」
今回のNABショーの規模について説明をした後、スミス会長は大災害に見舞われた「日本の友人達」の参加を感謝すると述べた。続いて、日本への見舞いの言葉が述べられると、会場から大きな拍手がわき起こった。スミス会長は「日本の放送事業者は素晴らしい活動をした。彼らの勇気と貢献に感銘を受けた」として、東日本大震災における報道を賞賛した。
今年のスミス会長の講演は、FCCのゲナコウスキー委員長による基調講演を翌日に控えているとあって、手の内を見せない講演となった感が強い。FCCのナショナル・ブロードバンド・プラン(NBP)への対応は、別途明らかにされるとみられる。
★エディー・フリッツ元会長に功労賞
11日の開会行事においてNABは2006年まで会長を務めたエディー・フリッツ氏に功労賞を授与した。フリッツ氏は、1982年から23年間にわたって会長を務めた。記念講演で、フリッツ氏は在任中度々挙げた「国民への奉仕」について語り「これは、放送事業者の中にDNAで組み込まれたもので、免許に規定されているからではない」と、強制ではないことを強調した。地域に根ざしたローカル局を称え、その活動を支持する「フリッツ節」は健在で、スミス会長以下の現執行部を鼓舞していた。
★キャメロン氏、ビンス・ペース氏と3D新会社を設立
基調講演は、「アバター」の監督として知られるジェームズ・キャメロン氏と3D撮影で知られるビンス・ペース氏の2人が対談の形で行った。
テレビの3D撮影にコストが掛かるとされる問題について、ペース氏は「2Dと3Dの2チームを投入するからコストが掛かる。2D担当のチームが3Dも撮っていれば、撮影位置も良くなるしコストも掛からない」とした。両氏は2Dカメラに3D機能を載せる「ピギーバック」方式を開発し、これらの技術の普及のために新会社を設立した。
2Dのカメラオペレータは、3Dの存在を認識する必要が無い。直前まで行われていたマスターズ・トーナメントでは18カメラ中6台のカメラが同方式を採用しているという。
キャメロン監督は「テレビが白黒から、白黒・カラーの混在期間を経て全面カラー化したように、映像もやがて全面3D化される」と将来に強い期待を示した。そして「10年も待たずに、フルHDでメガネ無しに3D視聴できるようになる。その時3Dは一気に普及するだろう」との見通しを示した。「放送業界は、まだ3Dを始める準備が出来ていない。だからプラットフォームを提供する会社を作った。いま、準備すれば勝者となれるだろう」と業界を鼓舞して講演を終えた。
中央がエディ・フリッツ氏
左がキャメロン氏、右がペース氏