【NEWS】日本オーディオ協会創立60周年記念式典を開催　協会大賞にNTTの「残響制御技術」とARIBの「ラウドネス運用規定」が受賞

　一般社団法人日本オーディオ協会（以降、日本オーディオ協会）は、12月6日「音の日」行事として、日本オーディオ協会創立60周年記念式典を都内で開催、第6回日本オーディオ協会賞の表彰式が開催された。日本オーディオ協会はでは、オーディオ・ビジュアル関連の技術開発と実用化、標準化、オーディオ文化振興の業績により産業の発展と生活文化の向上に貢献した企業に「日本オーディオ協会賞」を5年ごとに贈呈している。

■校條会長「次の60年に向けていかにつなげていくかが課題」
　創立60周年を迎える日本オーディオ協会は『健全なるオーディオ市場の再構築を目指す』をスローガンに掲げている。日本オーディオ協会会長の校條（めんじょう）亮治氏は冒頭のあいさつで「今こそ感性価値を磨き上げる必要がある。昨今のオーディオ業界はデジタル化や小型化の波により低迷と言われているが、今年は、CD誕生30周年と日本オーディオ協会設立60周年の記念の年であり、次の60年に向けていかにつなげていくかが課題」と語った。

■協会栄誉賞にCDの父である中村平太郎氏が授与
　日本オーディオ協会創立60周年にあたる今年は、「音響機器およびデジタルオーディオ分野の開発と実用化を先導し、オーディオ文化の向上に貢献」したとして、中島平太郎氏へ協会栄誉賞を授与した。中島平太郎氏は、NHK技術研究所長、ソニー常務取締役・技術研究所所長、日本音響学会会長、アイワ社長、日本オーディオ協会会長を歴任し、デジタル音声技術の草分け的人物として、CDの父とも呼ばれている。

■協会大賞にNTTの「残響制御技術」とARIBの「ラウドネス運用規定」が受賞
　日本オーディオ協会大賞に、「残響制御技術 Revtrinaの開発と実用化」日本電信電話株式会社／NTTラーニングシステム株式会社／NTTエレクトロニクス株式会社と「デジタルテレビ放送におけるラウドネス運用規定の国内標準化」ARIB（一般社団法人電波産業会）スタジオ設備開発部会スタジオ音声作業班が各々受賞した。「残響制御技術 Revtrina(レブトリーナ)」は、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した基盤技術で、音楽CDなどに収録されている2chの音の特徴を分析して、そこから直接音と残響成分を分離し、自在に制御することができる。

　また、デジタルテレビ放送におけるラウドネスは、人が感じる音の大きさを数値で表す新しい規準で、ITU-R(国際電気通信連合・無線通信部門)において国際標準化されており、国内では番組やCMによって音量が違う問題を解消するための基準としてARIBにおいて運用規定が策定されている。なお、デジタル放送におけるラウドネスの運用については、民放テレビ各局が2012年10月1日から、NHKは2013年度から運用を開始する予定になっている。


この他、協会賞を受賞した企業は以下の通り。

★「国内オーディオ文化の夢を創造」
アキュフェース株式会社　代表取締役社長　斎藤重正氏

★「オーディオアクセサリー分野における新たなオーディオ市場の開拓」
株式会社オーディオテクニカ　代表取締役社長　松下和雄氏

★「国内オーディオ市場の活性化」
ラックスマン株式会社　代表取締役社長　土井和幸氏

★「若年層を含めた新たなオーディオ市場の開拓」
株式会社トライオード　代表取締役　山崎順一氏

★「リスニングルーム設計研究と施工の実践活動」
石井オーディオ研究所　代表　石井伸一郎氏

★「サラウンドサウンドにおける、スピーカー配置の検証と、国内ガイドラインの設定」
有限会社沢口音楽工房　代表　沢口真生氏


［写真解説］（上から）
写真１：日本オーディオ協会会長の校條亮治氏
写真２：協会栄誉賞を受賞した中村平太郎氏
写真３：協会大賞を受賞したNTTコミュニケーション科学基礎研究所主幹研究員の中谷智広氏（中央）、NTTエレクトロニクス取締役CIOの笠原久嗣氏（左）、NTTラーニングシステムズ取締役の佐藤和彦氏（右）
写真４：協会大賞を受賞したARIB スタジオ設備開発部会スタジオ音声作業班主任の仁平 成彦氏（株式会社エフエム東京 マルチメディア放送事業本部 副本部長）