【Inter BEE 2014】招待講演 EMC チャールズ・セヴィア氏 インタビュー「世界で5,000社が採用 事実上、容量・速度に制約のないストレージ環境を提供」
2014.11.18 UP
EMCコーポレーション アイシロン部門 アジアパシフィックジャパンCTO チャールズ・セヴィア氏
EMC Isilon スケールアウトNASのアーキテクチャ概念図
EMC Isilon スケールアウトNASファミリー
EMC Isilon S210 3ノードモデル
幕張メッセで11月19日から21日まで開催されるInter BEEの最終日にあたる21日に開催される招待講演「メディア・放送業界向けオールIPストレージ」。EMCコーポレーション アイシロン部門 アジアパシフィックジャパンCTOのチャールズ・セヴィア氏により、業界の最新動向と、ネットワークを活用した新たな収益モデル、ビッグデータの活用などをテーマに講演が予定されている(午前11時30分から12時20分まで、国際会議場2階、国際会議室)。
■オーストラリアNNAで報道部門のファイルベース化やオリンピックライブ3D放送担当
セヴィア氏は、オーストラリアのネットワーク局Nine Network Australia(NNA)でメディア技術部門の担当者として30年にわたるエンジニアリングの経験を重ねてきた。NNA在任中、報道部門などにおけるファイルベース化に携わった経験を持ち、2010年にオーストラリアで開催されたシドニー・オリンピックでは、プロジェクト・ディレクターを担当し、ライブ放送で3Dを用いたスポーツ中継を実現している。
セヴィア氏に、講演のキーワードでもあり、同社がエンターテインメント、メディア業界向けに提唱するSDS(Software-Defined Storage -ソフトウェア定義型ストレージ)ソリューションについて聞いた。
■ネット時代の製作環境にSDSを提唱
EMCは、世界的にシェアを拡大し続ける情報管理ソフトとストレージの製造会社。大規模データセンターで採用されるストレージエリアネットワークの基盤製品などが主要製品である。90年代から果敢にストレージ、ネットワーク関連の技術を持つ優良企業の買収を展開し、グループ化を進めてきた。仮想化ソフトのVM Wareも2003年に買収し、現在はEMCの傘下として活動している。11年には、スケールアウトNAS分野で急成長をしていたアイシロン(Isilon)を買収し、ビッグデータの分野への布石を打つ。
そうした大きな流れの中で、アイシロンは今、利用者にとっての、ストレージの利便性を高めるSDSソリューションを推進している。
映像制作、コンテンツ制作の業務がファイルベースのシステムに移行していく中で、ストレージの重要性はますます高まる。方や、オープン化に伴って、インハウスも含め、多様なストレージを活用できる状況が生まれつつある。
■大規模アーカイブの構築が可能なSDSソリューション
EMCアイシロンのSDSソリューションは、ネットワーク上のさまざまなストレージに対して、機種の違いや容量、さらには設置場所などを意識することなく、ユーザーがニーズに基づいたアプリの操作、データ管理を行える環境を指す。映像制作、あるいは番組などのコンテンツ製作においても、オープンなインフラの活用が可能になる。最新の業界標準プロトコルをサポートし、リアルタイムの非圧縮4K編集やクラウドベンダのアーキテクチャに依存しない大規模なコンテンツアーカイブ環境を実現できるという。
Inter BEEの招待講演「メディア・放送業界向けオールIPストレージ」では、EMCコーポレーション アイシロン部門 アジアパシフィックジャパンCTOのチャールズ・セヴィア氏により、業界の最新動向と、ネットワークを活用した新たな収益モデル、ビッグデータの活用などをテーマに講演が予定されている(11月21日、午前11時30分から12時20分まで、国際会議場2階、国際会議室)。
■標準化がもたらすオープンな環境
セヴィア氏に、同講演のキーワードともいえるSDSについて、また、同社の提供するサービスについて聞いた。
ーーSDS (Software-Defined Storage -ソフトウェア定義型ストレージ)の市場動向についてご意見を聞かせて下さい。
「ストレージ市場は従来の専用(独自仕様)のインフラに依存したソリューションから、IT業界の標準仕様に基づいた柔軟でさらにオープンなソリューションに移行しつつあると見ています。この新しい動きには、サーバーの仮想化、ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN:Software-Defined Networking)やSDSの技術が採用されています」
「EMC社が開発し市場投入した製品『ViPR』は、IT業界に広く採用され、市場で急速に成長しています。また特にメディア業界向けに最適な製品として、『EMC Isilon(アイシロン)』ストレージがあります」
「『Isilon』はOneFSと呼ばれるソフトウエアベースのファイルシステムに基づいていますが、このファイルシステムはすでに第7世代を数え、オブジェクトストレージのプロトコルやHadoopのファイルシステムなどの新機能を実装しているだけではなく、既存のユーザーは現存データを移行せずとも引き続きパフォーマンスの向上が享受できます」
ーーメディア業界ではネットワークを経由し、多くのサイト間で大量のデジタルデータのやり取りが発生しますが、SDSの利点は何でしょうか。
「メディア業界では、消費者側とベンダー側のソリューションの両面において根本的な変革が続いています。「いつでも、どこでも、どんな端末でも」という、『TV Everywhere』型サービスが急速に浸透し、利用者はIPネットワークで接続したさまざまなデバイスでコンテンツにアクセスすることが普通になってきています」
「また、ベンダー側では、ITプラットフォームやクラウド型のプラットフォームにアプリケーションを統合したソリューションを提供する動きが急速に進んでいます」
「こうした両者の動きにより、高品質、高解像度のフォーマットで制作されたコンテンツの増加と、それを管理するための、高容量で高性能なストレージの必要性の重要さが増しています」
「SDSのように、システムサイズや能力に制約されず、自由度の高いソフトウェア定義型ストレージシステムを採用することにより、追加費用を抑えながら急速に増加している市場機会を掴んでいくことは極めて重要だと考えます」
■世界で5,000社が採用の実績
ーー業界向けアイシロンのソリューションをご紹介ください。
「Isilonは、EMC社の先端技術部門に属しており、急速に成長しつつある市場にフォーカスし、各業界特有のニーズに応えています。スケールアウト型のアーキテクチャを採用するIsilonは、ファイルとオブジェクト向けのストレージ市場をリードし、世界のメディア業界で高い知名度を誇っています」
「今日では、5,000社を超えるお客様がIsilonを採用していただいており、そのうち1,000社以上がメディア業界のお客様です。当社の製品がこのメディア業界ならびに他の業界でも広く採用されていること示しています」
■5倍の研究開発費を投入できる理由
「これは、EMCがメディア業界に注力しながらも、より大きなマーケットに対応するために、メディア業界のみにフォーカスするより5倍以上の研究開発費を投資できることを意味します」
ーー競合他社と比べてIsilonのメリットとは何ですか。
「他社のNASソリューションと比べ、Isilonの持つ主要な差別化要因は、データの可用性と永続性を損なうことなく、実用上無制限といえる容量とスループットの向上を可能にする真のスケールアウトNASアーキテクチャであることです」
「Isilonの主要な強みと利点を要約しますと、次のようになります。
・単一ボリュームアーキテクチャによる管理負荷の低減
・優れたストレージ効率により物理容量に対し高い容量効率を実現
・容量の拡張に比例して向上するパフォーマンス
・データの移行を必要としない、システム拡張や更改
・容易な管理性により、システム管理ではなくコンテンツそのものへの注力が可能に
・業界標準のオープンプラットフォームに基づいたソフトウェア定義型ソリューション
・高い耐障害性と堅牢なデータ保護
などが挙げられます」
■シェリダン大学、Jストリームでも採用
ーー日本とグローバル市場におけるIsilon事業の規模(顧客数)、又メディア業界での主要カスタマーのケースを教えていただけますか。
「公にご紹介できる顧客は数多くありますが、ここではその中の二つを紹介させていただきます。まずカナダのトロント市に所在するシェリダン大学と、東京の顧客でJストリームです」
■TCOを大幅に改善した新製品を発表
ーーこれからの製品強化戦略とロードマップを教えてもらえますか。
「今年7月の最新製品の発表では、OneFSファイルシステムの大幅なパフォーマンス強化と、人気のXシリーズとSシリーズのストレージノード向けにTCO(総保有コスト)を改善し、パフォーマンスを強化した新しいハードウェアプラットフォームを発表しました。さらに、製品強化の戦略的な方向性としては、ストレージ容量の強化、性能の向上、TCOの改善、クラウド技術の統合、モバイルデバイスによるデータアクセス機能、最新のプロトコルのサポートなどが挙げられます」
■業界の豊富な知識を持つ専属メンバーが対応
ーーこの機会に何か他にコメントがありましたらお願いします。
「EMCおよび、そのパートナーが提供する主要なメリットは、アイシロンチームがメディアとエンターテイメント業界で豊富な知識と経験持ち業界のニーズを熟知していることです。弊社にはM&E業界にソリューションを提供している殆どのリーディングベンダーと共同作業が出来る専属チームもあります。さらにリファレンス・アーキテクチャ、ホワイトペーパ、認証済みソリューションを提供することで、新しいテクノロジーへの移行で生じるリスクを排除しています」
【チャールズ・セヴィア氏プロフィール】
EMCコーポレーション アイシロン部門 アジアパシフィックジャパンCTO。アジア・パシフィックおよび日本市場を担当。メディア、エンターテインメントの業界で豊富な経験を持つと同時に生命科学、ヘルスケアなどのソリューションにも詳しい。
オーストラリアのネットワーク局Nine Network Australia(NNA)でメディア技術部門の担当者として、30年にわたるエンジニアリングの経験を重ねてきた。NNAに在任中、報道部門などにおけるファイルベース化に携わり、経営的な視点と技術の視点の両方から、現場の多様な要求に応じつつ実現してきた経験が生かされている。2010年にオーストラリアで開催されたシドニー・オリンピックでは、プロジェクト・ディレクターを担当し、ライブ放送で3Dを用いたスポーツ中継を実現している。
EMCコーポレーション アイシロン部門 アジアパシフィックジャパンCTO チャールズ・セヴィア氏
EMC Isilon スケールアウトNASのアーキテクチャ概念図
EMC Isilon スケールアウトNASファミリー
EMC Isilon S210 3ノードモデル