【Inter BEE 2014】InterBEE Connected  ケーブルビジネスの最前線 最新技術を活用し各種地域サービスの統合型端末へ 「地域に貢献するツール目指す」

2014.11.25 UP

左端から、ケーブルテレビ情報センター柳澤氏、なみ衛星通信テレビ宅見氏、東京ケーブルネットワーク遠藤氏

左端から、ケーブルテレビ情報センター柳澤氏、なみ衛星通信テレビ宅見氏、東京ケーブルネットワーク遠藤氏

課題も少なくないがCATVの展開可能性は大きい

課題も少なくないがCATVの展開可能性は大きい

cottioのサービスコンセプト

cottioのサービスコンセプト

地域に根ざした情報インフラと位置づけられれば、スマートタウンとの親和性も高い

地域に根ざした情報インフラと位置づけられれば、スマートタウンとの親和性も高い

 Inter BEEの会期中に開催されたInterBEE Connectedの3日目(11月21日)。最初のセミナーは、ケーブルテレビ業界をテーマにした「どう変わる?こう変わる!!次世代ケーブルビジネスの最前線」が開催された。 Inter BEE Connectedの趣旨である“通信との融合”から一見、遠い位置にあるケーブルテレビだが、実は新しい取組みをはじめようとしていた。その内容は、通信との融合と非常に近い部分がある。セミナーの内容を追って、そうした課題と取組みを見ていこう。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■ケーブルテレビ向けOTTサービス「COTTIO」を紹介
 セッションには、となみ衛星通信テレビ株式会社の常務・宅見公志氏と東京ケーブルネットワーク株式会社執行役員・遠藤晶夫氏がパネラーとして登壇、ケーブルテレビ情報センター柳澤幸雄氏の進行のもと、最前線の現場からの声を届けた。
 まずは宅見氏が、地方のケーブルテレビ局としての取り組みを紹介した。富山県砺波市、南砺市を中心エリアとするとなみ衛星通信は、日本のケーブルテレビ局のひとつの典型と言えるだろう。地方自治体を株主にもつことからしても、メディア事業者というよりも行政とも一体となった地域インフラに近い。新しい取組みも、かなり最先端の技術を使ったものなど多様に行われているが、それを紹介する宅見氏のスライドの多くに「○○○の苦戦」とあり、苦戦している様子が切々と語られた。「タブレットを配ったら、ある家庭では昔の黒電話の感覚で布をかぶせていた」というエピソードも紹介され、高齢者が多い地域で新しいサービスを展開する苦悩が伝わってきた。
 次にプレゼンテーションした遠藤氏は、J.COTT社のCEOでもあり、同社が新たに開発したスマートTVサービスについて説明した。同社のCOTTIOは新しいタイプのSTBで、各ケーブルテレビ事業者に利用してもらう前提で開発されている。遠藤氏はまず、次世代のケーブルテレビサービスが対処すべき課題や近い将来に押し寄せる新しい潮流を整理。放送がますます高度化する中で、ケーブルテレビは課題を乗り越えることで新たに成長できるはずだと論を展開した。

■STBの高機能化で次世代放送の重要なインフラへ
 実際、ケーブルテレビは普及率が50%を越え、2800万世帯が利用しているという。難視聴地域のためのサービスという消極的な価値ではなく、次世代放送の重要なインフラとして存在感を高めていく可能性はある。そういった状況を見据えて開発された、スマートテレビ的なサービスを提供するSTBだ。VODも含めた映像コンテンツを送り届けるサービス端末であるばかりでなく、見守り、ヘルスケアなど地域コミュニティのサポートにも活用できる。これらは宅見氏が、「苦戦」として紹介した取組みとも重なるので、各社が苦労している新しい取組みのソリューションになりうる。メニューは各ケーブル事業者で自在に選んで組み立てられるとのことで、それぞれの地域に根ざした端末にできるかもしれない。
 これを受けた形で再び宅見氏が、今後の可能性を提示した。まだ対処できていない課題が多いがそれを解決することでケーブル局が、高齢者支援や災害対処、さらにはスマートタウン構想でもインフラになれるのではというポジティブで大きなビジョンを示した。
 セッションを通じて感じられたのは、ケーブル業界が今、最新の動向への対応をすることで地域を支える存在となろうとする姿だった。遠藤氏はCOTTIOの開発動機として、「有線は古い」と揶揄されがちだが、だからこそ地域事業者という原点に立ち返る気持ちを挙げた。つまり、最新技術によりそれぞれの地域に貢献するためのツールがCOTTIOだということだろう。
 進行役の柳澤氏は最後に「ケーブルは土管貸しだとよく言われるが、“ピカピカの土管”にすることで、通信と使い分けることは可能なはずだ」と述べてセッションを締めた。

左端から、ケーブルテレビ情報センター柳澤氏、なみ衛星通信テレビ宅見氏、東京ケーブルネットワーク遠藤氏

左端から、ケーブルテレビ情報センター柳澤氏、なみ衛星通信テレビ宅見氏、東京ケーブルネットワーク遠藤氏

課題も少なくないがCATVの展開可能性は大きい

課題も少なくないがCATVの展開可能性は大きい

cottioのサービスコンセプト

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地域に根ざした情報インフラと位置づけられれば、スマートタウンとの親和性も高い

地域に根ざした情報インフラと位置づけられれば、スマートタウンとの親和性も高い

#interbee2019

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