【NAB Show 2012】Technology Summit on Cinema報告(1)デジタルシネマ、世界の半数を突破−フィルム需要は急落 世界で7万スクリーン、全スクリーンの57%に
2012.4.21 UP
MKPEのKaragosian氏
■世界で拡大するデジタルシネマ市場
映画界の先端技術について報告、討議を行う『Technology Summit on Cinema』が、NAB Showの併催セッションとして、4月14日、15日の2日間にわたってS222会議室にて開催された。昨年まで「Digital Cinema Summit」との名称であったが、映画のディジタル化に限らず、より広範な技術を追求するとの意図で名称変更がなされた。サミットは、NABとSMPTEが共催しており、これに変化は無い。S222会議室には、約600名の専門家が集まり、活発な意見交換がなされた。
最初のセッションである「Digital Cinema Deployment(デジタルシネマの展開)」では、調査会社MKPEの代表であるMichael Karagosian氏が司会を務めると同時に、概況を解説した。デジタルシネマのスクリーン数は、全世界で7万(2011年末)に達し、これは全世界のスクリーン数(12万3000)の57%に相当する。北米(米国・カナダ)の数字は、Chuck Goldwater氏(Goldwater Partners)から発表があり、2万7000スクリーンとのことである。
■2009、2010年は3Dブームが、2011年はVPFが拡大・普及を後押し
Karagosian氏の分析では、2009年、2010年の世界的なスクリーン数の伸びは3Dのブームのよるものであり、2011年はVPF(Virtual Print Fee:ディジタル化のための設備投資費用の一部をスタジオが肩代わりする制度)の海外普及が原因という。また、Goldwater氏は、米国におけるディジタルスクリーン普及率とフィルム使用量を描いたグラフを示し、普及率が20%を越えた2010年以降フィルムの使用量が急落していることを示した。2006年に50億feetに達したフィルム使用量は、2009年でも45億フィートと10%程度の低下に過ぎなかったが、2010年より急落が始まり2011年には20億feetの消費に止まったという。
ディジタル化が今後進展する地域としては、中南米、アフリカがある。市場規模として見ると1万スクリーン程度の潜在市場がある中南米が有望とKaragosian氏は指摘した。
MKPEのKaragosian氏