【Inter BEE 2014】Inter BEE Connected 基調講演 「米デジタル視聴率計測の最新事情〜急激に進むマルチデバイスへの対応」 USニールセン社 VP エリック・ソロモン氏講演

2014.11.20 UP

米ニールセン社エリック・ソロモン氏

米ニールセン社エリック・ソロモン氏

会場は満杯となった

会場は満杯となった

ニールセン株式会社・代表取締役会長兼CEO 福徳俊弘氏(左)も参加

ニールセン株式会社・代表取締役会長兼CEO 福徳俊弘氏(左)も参加

放送後の視聴も視聴率計測の対象に

放送後の視聴も視聴率計測の対象に

 InterBEE Connectedで行われるセミナーイベントの中でも目玉が米ニールセン社のヴァイス・プレジデント、エリック・ソロモン氏の講演だ。米国で進む放送コンテンツのデジタル視聴計測の、まさに最新の状況を生々しく語ってくれた。後半では日本のニールセン社CEO福徳俊弘氏も加わり、来場者とのアクティブな質疑応答となった。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■急激に拡大する"ネット視聴"
 セッションは、2時間行われた。ソロモン氏は、前半の講演で、米国での「クロスプラットフォーム視聴率計測」について解説した。
 まず、米国における放送コンテンツの視聴動向について、データをもとに丁寧に説明。
 当然ながらネットを通じた視聴が進んでいるのだが、想像以上の数値に驚いた。例えば、タブレットの普及率はすでに46%に達し、まだ勢いがあるという。何かと話題のNetflixは2014年1月に30%だったのが2014年9月には36%に伸びており、勢いのすさまじさがよくわかった。
 放送コンテンツは6〜7割はライブ視聴だが、タイムシフト視聴が25〜30%、オンデマンド視聴が3〜9%と、複合的な視聴が当たり前になりライブ視聴は急減している。そんな現状認識の中、当然のごとくライブ視聴以外の視聴を計測せねば、となっているのだ。

■新たな視聴計測技術の開発も
 そしてちょうど今年、視聴計測の範囲をテレビとPCだけでなく、タブレットとスマートフォンにまで広げたのだという。ご存知の通り米国ではC3、C7と呼ばれるタイムシフト視聴のデータは当たり前になっているので、ライブ視聴、タイムシフト視聴、オンデマンド視聴のすべてを把握できることになる。
 その際の鍵となるのが音声透かしの技術で、どの番組かだけでなく、どの局で放送されどこでオンデマンド化されたかなどもその“透かし”にすり込まれるのだという。番組コンテンツがどうやって視聴されたのかが把握できるのだ。
 クロスプラットフォームの視聴計測は、放送での広告とは別に、オンデマンド視聴の際のネット型の広告もきちんとビジネス化するために使われる。放送時の広告を「リニア広告」、オンデマンドでの広告を「ダイナミック広告」と呼び分けていた。後者では、ネット広告と同じ仕組みでターゲティングができたりする。放送コンテンツを広告市場で最大限に活用するためには、こうした視聴計測が必要なのだとよくわかった。
 日本でもようやく「見逃し無料視聴サービス」が登場したり議論にのぼったりしているが、実際にビジネス化するためにはこうした計測が求められるようになるだろう。おおいに参考になる話だった。

■放送局、計測会社、出稿企業の間で、合理的かつダイナミックな議論
 後半は、日本のニールセン株式会社・代表取締役会長兼CEOである福徳俊弘氏も加わり、会場からの質問に応えながらさらにディテールの話にも及んでエキサイティングなセッションになった。C3導入時の裏話も出てきて、米国の業界がいかにダイナミックで合理的な議論をするのかが伝わってきた。タイムシフト視聴の把握は日本でも時間の問題で具体化するはずだ。何かを失いかねないと、踏み出さない選択をするより、必要性がそこにあるなら前へ踏み込む考え方をとった方が誰もが得をするのではないか。ソロモン氏の話から伝わってくる米国放送業界の新たな熱気を浴びるにつけても、そう思わざるをえない。ライブ視聴が低減しても、彼らはへこんではいないのだ。そういった意味でも有意義なセッションだった。

米ニールセン社エリック・ソロモン氏

米ニールセン社エリック・ソロモン氏

会場は満杯となった

会場は満杯となった

ニールセン株式会社・代表取締役会長兼CEO 福徳俊弘氏(左)も参加

ニールセン株式会社・代表取締役会長兼CEO 福徳俊弘氏(左)も参加

放送後の視聴も視聴率計測の対象に

放送後の視聴も視聴率計測の対象に

#interbee2019

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