【プロダクション】フェアーウェイ 通信・映像の技術を駆使して映像配信の収益性向上をサポート ブラックマジック製品のSDKを利用した独自製品開発も

2013.6.18 UP

六本木本社の地下にある「六本木 i + studio」
全国5カ所にデータセンターを設置。映像の企画制作から配信までトータルにサポートするフェアーウェイの安島社長

全国5カ所にデータセンターを設置。映像の企画制作から配信までトータルにサポートするフェアーウェイの安島社長

 フェアーウェイは、ネットのコンテンツプロバイダー向けに配信技術を提供するCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)を主業務としながら、スタジオ運営やコンテンツとなる番組制作など、配信のための映像制作全般をサポートしている。企業のVPや社内コミュニケーション、コンテンツ映像販売、ネットを用いた番組配信など、ネットにおけるあらゆる映像利用をサポートする企業として注目が集まる。同社はまた、技術開発を積極的に行う会社として複数の企業と連携を進めている。フェアーウェイの安島丈雄社長に、同社の方向性とブラックマジック製品のSDKを利用した製品開発の事例などを聞いた。(映像新聞 小林直樹)

■映像制作と通信技術の両面を得意とし企業サポートに徹する会社
 前職で映像制作に携わってきた社長の安島丈雄氏が、創設者である父の跡を継ぐ形で、当時、テレビ番組の企画・制作を本業としていた同社に移籍。ネット向けの映像制作・映像配信のサポート企業に舵を取り、成長させてきた。
 同社の強みは、IT系の技術と映像系の技術の両方に精通した技術者を育成し、社内に強力なR&D部署を構築してきた点にある。また、映像配信に最適化した周辺機材の開発を行うことで、多様化するデバイスへの対応や、高品質・安全性・信頼性などを強化。 品質面・価格面での競争力を高めてきた。

■データセンターを全国5カ所に設置
 現在、全国5カ所にデータセンターを設置し、365日24時間稼働を実現。多くの企業の映像制作・配信を支えている。さらには、複数の映像機器・通信機器メーカーと共同で研究開発を手がけるなど、同社の経験と技術力を必要とする技術系企業は少なくない。また、電子書籍やデジタルサイネージなど、さまざまな分野・技術において企業との共同研究・開発を展開している。

■R&Dを生かした製品開発も積極的
 自社開発の製品も多数ある。VPN用機材など通信関連の機器から、24時間連続自動番組送出装置(APC)、リアルタイム テロップスーパー出力装置、緊急テロップ挿入装置など、番組制作に欠かせない装置も自社開発している。 大規模広告配信プラットフォーム「AIR DELIVER」や、大容量で低価格、高信頼性の法人向けオンラインファイルサーバー「FAIRWAY extorage」など、データセンターを生かした各種のサービスも開発している。

■六本木に映像配信専用のスタジオ
 本社地下にある「六本木 i + studio」は、USTREAM、YouTubeを始め、あらゆるインターネット配信に対応したスタジオ。グリーンバックによるリアルタイム合成配信も可能。撮影から配信まで、幅広いサポートを実現している。ここにはブラックマジックデザインの製品を始め、映像配信、映像制作の関連機器が揃い、レギュラー配信番組も日々制作されている。同社ではまた、過去のテレビ番組コンテンツを再利用した配信サービスも提案している。フェアーウェイには、知財権についてのサポートを行う部門もあり、委託があればコンテンツのライセンス処理にも対応しているという。

■「収益につながるコンテンツ配信をサポート」
 安島社長は、フェアーウェイの特徴を次のように話す。「フェアーウェイは、企業の制作・配信をサポートすることで、コンテンツ制作に集中していただき、最終的には収益につなげていただきたいと考えている。 また、ネットを利用することで、過去のコンテンツをマネタイズする方法を我々は知っている。そうしたサポートも今後、積極化していく」
 ITと映像の両面に携わるフェアーウェイを率いる安島社長にとって、ブラックマジックデザインは「HD-SDIなど、映像とITとの共通言語を率先して広めてくれた会社」だという。「映像配信のスタジオは、 高度な演出や表現技法よりも、使いやすさと安定性が重要。現実的な費用感でスタジオ設計をする際、ブラックマジックデザイン製品が適している」という。特に「SDKを駆使することで、製品に独自のインタフェースや新たな機能を持たせている。SDKの存在がブラックマジックデザイン製品を選んでいる最大の理由」と述べ、さまざまな製品でSDKを提供するブラックマジックのスタンスを評価している。
 前述の「24時間連続自動番組送出装置(APC)」や、「リアルタイム テロップスーパー出力装置」は、ブラックマジックデザインの製品をベースとしてアプリケーションを付加したものだ。APCは、ブラックマジックデザインのVIDEO HUBをベースに、同製品のSDKを利用して、テロッパーを連動したインターネット向けの放送システムに構築している。また、自社製リアルタイムエンコーダーを組み込み、フルHDの撮影映像をスマートフォン用など、同時に5つの異なる解像度の映像にコンバートし、CDNを通じて配信している。

■LANによる統合コントロールも
 安島社長は、ブラックマジック社の製品について「機能を解析し理解した上で、SDKを利用してカスタマイズしたり、あるいは独自の製品をつくるなりして提供している。SDKの自由度を利用することで、より価値を高めることができる」(安島社長)という。
 今年2月に発表されたATEMのSDKのバージョンアップについても「すでに解析をしている。VIDEO HUB、Hyper Deck、ATEMはいずれもLANでつながるので、RS422を用いずに、それぞれのコントローラーをLANで統合する試みをしている。テスト段階では、ほぼ、動いている」と話す。さらに「カメラや雲台もLANで接続できれば、バーチャルスタジオなど、さまざまな利用ができそう」(安島社長)とイメージが膨らむ。
 安島社長は「ブラックマジックデザインには、これからも期待している」と言う。「我々としては、常に技術を高め、メーカーを限定せずに新しい技術を取り入れて自社開発、あるいは共同研究を重ねることで顧客に最適な製品・制作環境を提供できるようにしていく」(安島社長)

全国5カ所にデータセンターを設置。映像の企画制作から配信までトータルにサポートするフェアーウェイの安島社長

全国5カ所にデータセンターを設置。映像の企画制作から配信までトータルにサポートするフェアーウェイの安島社長

#interbee2019

  • Twetter
  • Facebook
  • Instagram
  • Youtube