【ニュース】ソニーイーエムシーエス 数々の「世界初」を世に送り出す「湖西サイト」4Kシネマプロジェクター累計出荷台数12500台突破を支える拠点サイト

2012.6.4 UP

湖西サイト全景
F65用のセル生産エリア

F65用のセル生産エリア

感度調整工程

感度調整工程

家庭用4Kプロジェクター「VPL-VW1000」の製造エリア

家庭用4Kプロジェクター「VPL-VW1000」の製造エリア

■オーディオ、映像機器の製造を担う湖西サイト

 ソニーは5月18日、プレス関係者を対象に、同社のグループ企業、ソニーイーエムシーエスの湖西サイト見学会を開催した。ソニーイーエムシーエスは、ソニーの商品設計、試作、資材調達、製造、修理を行う。社名のイーエムシーエスは、E(エンジニアリング=商品開発・設計)、M(マニュファクチュアリング=製造)、CS(カスターマーサービス)を意味している。 湖西サイトを含め6つのサイトを抱える。
 湖西サイトは静岡県浜松市にあり、業務用放送機器、デジタルシネマ、ホームプロジェクターなどを担当している。 69年にソニーオーディオとして設立され、その後、放送機器を製造するソニー・ブロードキャスト・プロダクツとして映像機器を含めた製造を担い、2001年からソニーイーエムシーエス湖西サイトとして、B2B商品、多品種変量生産を生かした製造を展開している。
 数々のソニーのオーディオ機器、放送用機器が作り出されてきた同サイトは、数度にわたる拡張により現在では敷地面積約8万6000平米、延べ床面積約5万平米と広大な敷地を誇る。


■69年から数多くの「世界初」を世に送り出す
 80年代の民生用CDプレイヤー「CDP-101」や業務用LDプレイヤ「LDP-1000」から、90年代のデジタルVTR「DVW-500」、HDカムコーダー「HDW-700」、2000年以降のXDCAMシリーズや、4K「SXRD」デジタルシネマプロジェクターなど、いずれも「世界初」の製品として注目を集めた。最近では2011年の12月に発売された世界初の家庭用4K「SXRD」プロジェクター「VPL-VW1000ES」が現在も同サイトで製造されている。
 こうして長年にわたり同サイトから世界初の製品が生み出されてきた背景には、同サイトが明確な運営理念・運営方針を掲げ、常に最高レベルの品質管理を行ってきたことにある。同サイトでは、運営理念として、次のような言葉を掲げている。「遵法を活動の根幹とし、プロフェッショナルビジネスの高度な技術力、生産力に磨きを掛けて、お客様に新しいソリューションを提供すると供に、環境と人に優しく、地域社会に貢献できるサイトとして躍進し続ける」運営方針としては「基幹事業所として自らの強みを更に伸ばし、「実行力」・「責任力」・「チームワーク力」・「リーダーシップ力」を持って、PSGビジネスの拡大を支える」とある。こうした運営理念・運営方針による、社員の高い意識レベルの維持している。


■プロの高水準な要望に対応する多品種・変量生産態勢

 また、湖西サイトは「多品種・変量生産」を得意としている。プロ用機器の高度な品質水準を保持しながら、多くの製品群における生産量の変動にも柔軟に対応する態勢を整えている。
 見学会では、セル方式による製造工程において、徹底的に電子化されたマニュアルによって、効率的で間違いのないワークフローが紹介された。ソニーのプロ用機器は、20年を超えるサービス期間を持つ製品が多い。1インチVTR「BVH-2000」は利用者からのサービス延長要求に応え、生産開始から実に30年にわたるサービス期間(12年12月まで)となっている。こうした長期にわたる利用が可能なのも、現場の高い意識に基づく徹底した品質管理の賜物といえるだろう。


■追随を許さぬ4K製品を支える高度な組立技術

 湖西サイトでは現在、ソニーの4K製品の製造を受け持っている。「VPL-VW1000」に加え、CineAltaカメラ「F65」、デジタルシネマプロジェクタ「SRX-R320」などのプロ用4K機器も同サイトが担当している。
 12年2月には、「4K規格の可能性にいち早く着目し、独自の4K SXRDを開発、映画館用4Kプロジェクター製品に展開し、技術課題を克服して量産化を実現し、普及させた」ことが高く評価され、 財団法人大河内記念会から「第58回(平成23年度)大河内記念生産賞」を受賞した。同賞は、生産工学、高度生産方式などの研究により得られた発明、考案に基づく顕著な業績をあげた事業体に贈られるものだ。
 ソニーは2007年に“4K”映像が投影可能なデジタルシネマプロジェクターシステムを発売し、本年9月にその累計出荷台数が1万台に達している。

 4K解像度の製品化を実現した主な技術には、「ディスプレイデバイス技術」と「投影機組立技術」の2つがある。後者の、投影機の組立技術においては、精密なプリズムシステムの研磨、洗浄、組立、検査技術といった、精度の高い製造工程の確立が大きな役割を担っていることが評価されている。

 4Kは家庭用にも波及している。11年12月から発売の家庭用4K”SXRD”プロジェクター「VPL-VW1000」が日米を中心に発売を伸ばし、さらに今後、日米以外の地域へと販売を拡大していくという。
 (小林直樹)

F65用のセル生産エリア

F65用のセル生産エリア

感度調整工程

感度調整工程

家庭用4Kプロジェクター「VPL-VW1000」の製造エリア

家庭用4Kプロジェクター「VPL-VW1000」の製造エリア

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