【ニュース】富山 チューリップテレビが10月1日からデジタル放送対応データ放送で地域情報発信へ
2011.9.30 UP
データ放送のテスト画面
きめ細かい情報を提供する計画だ
チューリップテレビの社屋
富山の地上波放送局、チューリップテレビは、10月1日から、デジタル放送対応のデータ放送において、自治体情報の発信を開始する。地方局では、データ放送用コンテンツは、系列キー局からのデータをそのまま利用するケースが多い。自治体情報の発信を行うケースは、TBS系列局では初となる。
同社企画室室長の藤井淳氏は、今回のデータ放送の自治体情報コンテンツ制作のねらいについて次のように説明する。
「7月24日にアナログ停波が実現し、本格的なデジタル放送の時代が本格化する中で、地域に密着した情報発信こそ、地方局の存在意義を高めるものであると思う。また、インターネットなど新たなメディアが登場する中、放送局としても、クロスメディア展開を意識した多様な情報提供の形態を進めることが求められているが、そうした多様なメディアへのゲートウエイとして、データ放送を活用することができると考えた。データ放送も含めた放送の窓の中で情報を提供していき、それを補足する形でインターネットを活用するという位置づけになる」
チューリップテレビでは、データ放送のコンテンツとして、7月から地域のニュース、傘・洗濯・紫外線・花粉情報を提供し、8月には環境省の提供の暑さ指数を提供している。10月からは、自治体情報や視聴者参加機能も提供していく。地域社会の情報発信メディアとしての役割を充実させていくという。
独自のデータ放送を実施するまでの経緯について、企画室の黒崎亨氏は語る。「当社では、以前からモバイルを活用した双方向の視聴者参加型番組や、当たりつきCMなどの双方向CM企画を実施し、視聴者との双方向コミュニケーションの重要性を認識してきた。データ放送において、地域コンテンツを提供し、双方向を実現することは、小規模局にとっては、投資負担が大きく、専任の技術者もおらず、実現が困難であった。ようやく、昨年から機材が低価格化し、既存のデータ放送設備との連携実験が進み、外部データを自動更新可能なCMS機能による省力化により、弊社でもデータ放送において、地域コンテンツを提供できるようになった。これで、地デジ受信機を購入していただいた視聴者の期待に応えられる本来のデジタル放送局になれる」
チューリップテレビは、TBS系列の中で、平成以降に発足した平成新局で、規模も小さい。データ放送の採算性や運営体制については、社内でも議論を重ねたという。「本来の地方局の役割として、地域の情報を発信することがある。データ放送は、高い普及率を誇る地デジの未開拓の分野。お年寄りにとっては、リモコンで使える身近なIT端末にもなりうる。地域情報の発信メディアとして魅力的であると判断した。また、今後、データ放送に地域の広告を掲載していき、収益性も追求していく」(黒崎氏)
本来、地域の情報発信を行うための機能であるデータ放送。価格と利便性が改善されることで、今後、さらなる導入が増えることと期待される。
データ放送のテスト画面
きめ細かい情報を提供する計画だ
チューリップテレビの社屋