【Inter BEE 2018】基調講演「IPライブ伝送の規格と導入事例」スカパーJSAT、QVC、東海テレビ、三重テレビ、奈良テレビが報告

2018.9.14 UP

昨年のInter BEE FORUM「動き出したIPライブ伝送制作の現状と展望」での様子
今年の「IPライブ伝送の規格と導入事例」へ向けた打合せ風景。放送局のほうか多数のメーカーも参加している

今年の「IPライブ伝送の規格と導入事例」へ向けた打合せ風景。放送局のほうか多数のメーカーも参加している

企画発案者で進行を担当するニューメディア 出版局長の吉井勇氏

企画発案者で進行を担当するニューメディア 出版局長の吉井勇氏

 Inter BEE 2018の最終日、11月16日の15時から17時まで、「IPライブ伝送の規格と導入事例」と題した基調講演 が開催される。NHKの技術陣や各局IPシステム導入担当者が登壇し、IP導入へ向けた経緯や現状について紹介する。

■次世代設備のIP化へ向けた検討
 番組制作の高精細化が進み、また、ネットの動画配信など、コンテンツの多メディア、多デバイス展開が進む中で、放送局が次世代の設備をIP化へ向けた検討が進められている。局内のIP化となれば、映像素材の伝送だけでなく、番組制作の現場やアーカイブ、中継設備などトータルな切り替えが必要になり、変更項目は機材の末端にまで及ぶことになる。データをIP化することで、設備のスリム化だけでなく、映像・音声・メタデータの統一管理が可能になるなど、メリットは大きい。しかし、大規模な変更に伴うリスクもあり、不安材料も多い。
 
■吉井氏「IP化のメリット、デメリットを知ってもらいたい」
  基調講演「IPライブ伝送の規格と導入事例」の企画発案者で進行を担当するニューメディア 出版局長の吉井勇氏は講演のねらいについて次のように話す。
 「放送局はほぼ10年周期で基幹システムの刷新を行う。そうした中で、この時期、システムをIP化するか、あるいはベースバンドでいくか、という判断が今後の10年に大きな影響を与えるだろう。必ずしもIP化を前提としているわけではないが、IP化がもたらすメリットとデメリット、IP化によって何ができて何ができないのかといったことを今、この時期に知っておくことが重要。次の10年後には、周囲の状況が大きく変わることになるため、ベースバンドでいく場合もIPの今の状況について知っておくべきだろう。そうでないと、10年後のシステム更新で苦労するはずだ。IP化によるメリット、デメリットについて、いろいろな議論をしてほしい」(吉井氏)
 
■NHK 6月に実施したIP技術検証を説明
 講演には「NHKの考える今後の放送システム」(仮)と題してNHK技術局長 副技師長の春口篤氏が登壇するほか、NHK 報道技術センター中継部 テクニカルプロデューサーグループ の北島正司氏が、今年6月に開催したIPライブプロダクション技術検証についての技術報告を行う予定。
 NHKでは、新放送センター建て替えを控え、IP化の検証が進められている。6月に開催した技術検証では、IP化への移行の可能性について、技術動向の推移を検討したという。IP化のメリットや課題、導入のバランス、信頼性、安定度、さらにはコストダウンにつながるかどうかの検証を進め、最終的にIP化を含めたロードマップを作成するという。
 
■世界に先駆けて9月にIP化完了するQVCジャパンが導入経緯を紹介
 24時間テレビショッピングチャンネル、QVCがIP化導入事例について講演する。QVCは現在、米、独、仏、イタリア、日本で、24時間365日、ショッピングチャンネルの放送を実施している。QVC ジャパンでは4K HDRによるBS放送の実現を目指し、全世界の設備の共通化も念頭にIP化を進めている。すでに4K HDR向けにカメラの入れ替えを実施し、9月には最新のIP化が完了する予定だ。
 
■東海テレビが回線センターのIP化で4Kにも対応
 さらに、東海テレビのIP化を担当した技術部の加藤伸一氏が登壇し、同局においてIP化を進める経緯について話す。
 東海テレビは当初、メーカーからベースバンドとIPの両方で提案を受け、費用や技術的な担保をはじめ、導入によるメリット、デメリットを検証したという。「IPでしかできないこともある。そういう部分の期待と、IPで大丈夫かという不安と半々。最終的にはチャレンジ精神で決めた」。「いろいろ問題もあったが、回線センターのIP化を終え、4K含めてIPで運用している」と話す。
 
■9月27日(木)に事前登録・事前聴講予約開始
 本基調講演のほか、Inter BEE 2018のセッションは最新動向を知ることができる講演が多数開催される。9月27日(木)には、テーマ、登壇者を含めた全セッションの内容が発表される。セッションはすべて事前申込が必要となるので、必ず事前入場登録・事前聴講予約をしていただきたい。
 
 
【開催概要】
 
■名称 
  Inter BEE 2018
(第54回)2018年国際放送機器展
International Broadcast Equipment Exhibition 2018
 
■会期
 11月14日(水)10:00~17:30
 11月15日(木)10:00~17:30
 11月16日(金)10:00~17:00
 
■会場
 幕張メッセ
 
■入場
 無料(全来場者登録入場制)
 
■後援
 総務省、経済産業省(建制順)
 NHK
 一般社団法人日本民間放送連盟(JBA)
 一般社団法人電波産業会(ARIB)
 一般財団法人デジタルコンテンツ協会(DCAJ)
 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)(順不同)
 
■主催
 一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
 
■運営
 一般社団法人 日本エレクトロニクスショー協会(JESA)

今年の「IPライブ伝送の規格と導入事例」へ向けた打合せ風景。放送局のほうか多数のメーカーも参加している

今年の「IPライブ伝送の規格と導入事例」へ向けた打合せ風景。放送局のほうか多数のメーカーも参加している

企画発案者で進行を担当するニューメディア 出版局長の吉井勇氏

企画発案者で進行を担当するニューメディア 出版局長の吉井勇氏

#interbee2019

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