【Inter BEE 2018】特別講演11「多様なメディア特性を生かした創造的な現場からの提言」多彩な表現を可能にする4K8K映像コンテンツ制作の最新事情紹介 その課題と展望を討論

2018.11.12 UP

ソニーPCL 石川氏「複雑化するワークフロー、クリエイターは明確な意図を」 
NTTラーニングシステムズ 後藤氏「新4K8K衛星放送開始で制作プロセスが熟成していくのを期待したい」

NTTラーニングシステムズ 後藤氏「新4K8K衛星放送開始で制作プロセスが熟成していくのを期待したい」

ソニーPCL 石川氏「ワークフローは今後さらに複雑化していく。クリエイターは明確な意図を持つ必要がある」 

ソニーPCL 石川氏「ワークフローは今後さらに複雑化していく。クリエイターは明確な意図を持つ必要がある」 

イマジカ・ロボット 諸石氏「最先端メディアが新たなエンタテインメントを切り拓く」

イマジカ・ロボット 諸石氏「最先端メディアが新たなエンタテインメントを切り拓く」

國重氏「4K8Kコンテンツ制作の改善・改革すべき事などについて議論を展開したい」

國重氏「4K8Kコンテンツ制作の改善・改革すべき事などについて議論を展開したい」

 11月16日(金) 15:00~17:00(国際会議場2階 国際会議室)で開催する特別講演11「多様なメディア特性を生かした創造的な現場からの提言」。本セッションは、新4K8K衛星放送開始を間近に控え、番組やライブコンサートなど、4K8Kの特性を生かした魅力的なコンテンツ制作の現状を具体的な事例で紹介、課題および将来展望について討論する。

 モデレーターで、セッションの企画を担当した國重静司氏は、1979年からNHKで日本の放送における最初の3DCGシステムインターネットシステム開発など、最新技術を駆使した番組制作とデジタルコンテンツサービスに貢献。NHKアートでは、参加型のプロジェクションマッピングやデジタルサイネージ開発等のアートとテクノロジーを連携・融合させた空間の創生を行い。最近は北斎の8Kリアルタイム3DCGや広色域特性を生かした美術館所蔵品の8K映像コンテンツ制作にもチャレンジしている。

 今回のセッションのねらいについて國重氏は次のように話す。
 「4K8Kは幅広い用途で期待されている。11月16日に開催する特別講演11のセッションでは、4K8Kを生かした番組およびライブにおけるコンテンツ制作に携わる3名およびアーティストも加わり、魅力的な4K8Kコンテンツ制作の具体的な事例を紹介しながら、制作現場で重要と考えて実践していることや苦労していることをプレゼンして頂く。その後のパネル討論では、現場で起きている課題、さらには、今後へ向けて改善・改革すべき事などについて会場のみなさまも含めた議論を展開したい。4K8Kメディアの特性を知り、今後のコンテンツ制作に生かして頂きたい」(國重氏)
 
事前打合せの会合で、セッションに対する各登壇者の思いを聞いた。
 
■NTTラーニングシステムズ 後藤氏「新4K8K衛星放送開始で制作プロセスが熟成」
 NTTラーニングシステムズ コンテンツ事業部 制作技術部門長の後藤 歩氏は、日本ポストプロダクション協会の理事 技術委員会 委員長を務める。VFXプロダクションからビジュアライゼーション、4K映像コンテンツの制作・編集、さらに大手企業のTVCMや、テレビの大型ドラマや映画のVFX制作など、先端技術を取り入れた幅広いデジタル映像制作を手掛けるNTTラーニングシステムズにおいて、プリプロダクション、ポストプロダクションシステム構築を長年にわたり手掛けてきた。
 今回は、日本ポストプロダクションの技術委員会 委員長の立場から、新4K8K衛星放送のキーとなる魅力的な映像コンテンツ制作の課題、今後の展望などについて俯瞰する。
 後藤氏は「パブリックビューイングやデジタルサイネージ、さらにスマホなどモバイルデバイスも含め、高精細映像のアウトプット(出口)は非常に多くなっている。出口が多様化するが、映像制作の基本プロセスは変わらない。新4K8K衛星放送が始まることで、多くの人が4K8Kの映像に親しみ、同時に作り手のための制作環境も整うことで、多彩な出口へ向けての制作プロセスやツールが熟成していく。それぞれが役割を確立していく中で、適確に対応し、表現力、技術を伝えていくということが大事。このチャンスをいかにうまく生かすかが、高品質な映像コンテンツのビジネスを盛り上げていくための鍵になる」と、新4K8K衛星放送開始がきっかけとなり、制作態勢が充実していくことに期待をかける。
 
■ソニーPCL 石川氏「複雑化するワークフロー、クリエイターは明確な意図を」 
 ソニーPCL株式会社 技術部門 チーフテクニカルスーパーバイザーの 石川 智太郎 氏も、本セッションにパネリストとして登壇する。石川氏は、NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングタイトルや、NHKスペシャル「人類誕生」のCGシーンなどでテクニカルディレクターとして参加するなど、最新技術を駆使した映像の制作に数多く携わっている。ソニーPCLでは、4K技術戦略室のスーパーバイザーとして、4K映像制作のワークフロー構築等を手掛ける。
 石川氏は「もともと映像制作は、完成までに多くの人が関わるものだが、高精細映像を扱うことで、表現の幅が広く、自由度が高くなる。決めなければならないことも格段に多いが、同時にクリエイティビティに関わる部分がより多くなる。多くの人が関わる協働作業のワークフローに参加するスタッフの全てが、クリエイターでかつ、技術者であることが求められるようになる」と4K8Kコンテンツ制作の課題を述べた。また、「これからはその中で、どのポジションで何をしたいかということを明確にして参加することで、プロのクリエイターとして成長できるということを若い人に伝えていきたい」とクリエイター育成への思いも語った。
 
■イマジカ・ロボット 諸石氏「MEDIA × ENTERTAINMENT~最先端メディアが新たなエンタテインメントを切り拓く~」
 パネリストの一人、株式会社イマジカ・ロボット ホールディングス / 株式会社ロボット ビジネスディベロップメント部 事業開発 / コミュニケーション開発本部 コミュニケーション・プロデュース部の諸石治之氏は、これまで、新しいテクノロジーとクリエイティブを融合したコンテンツ及び事業開発、クリエイティブ戦略を担当し、4K8K超高精細メディアの演出やプロデュースを行う。番組制作に留まらず、プロジェクションマッピングやドームなどの大型映像やAR、VRのコンテンツ制作を手掛けるなど、幅広いエンタテインメント映像の制作に関わる。
 最近では、今年3月に開催した東京ガールズコレクションで、複数の4Kカメラで会場を撮影した映像を継ぎ目のない12Kピクセル、約12mのパノラマ映像によるリアルタイムライブ配信によるパブリックビューイング「未来型ライブビューイング[VISIONS]」でプロデューサーを担当。「パブリックビューイングの新しい形」として高く評価され、2018年のグッドデザイン賞を受賞している。
 諸石氏は「高精細映像は、まだワークフローが手探り状態でもあり、大変なこともたくさんあるが、いいこともいっぱいある。表現できるキャンバスが大きくなることで、描ける絵も色彩豊かで表現がより自由になることはいいことだ。映像が高精細になることで、アウトプットも多様な選択肢が可能になり、演出の枠においても、"視聴"から、"体験"の演出へと、広がりつつある。たとえば映像が室内と融合し、視聴者がいる空間自体がメディアになるということも可能だと思う」と述べた。
 
 
【概要】 特別講演11「多様なメディア特性を生かした創造的な現場からの提言」
■開催場所:国際会議場2階 国際会議室
■開催日時:11月16日(金) 15:00~17:00
 
■モデレーター
○國重 静司 氏
女子美術大学 非常勤講師
 
■パネリスト
○後藤 歩 氏
NTTラーニングシステムズ株式会社 コンテンツ事業部 制作技術部門長
一般社団法人 日本ポストプロダクション協会 理事 技術委員会 委員長
○石川 智太郎 氏
ソニーPCL株式会社 技術部門 チーフテクニカルスーパーバイザー
○諸石 治之 氏
株式会社IMAGICA GROUP ビジネスディベロップメント部 事業開発 ゼネラルプロデューサー
○Satellite Young
 
 

NTTラーニングシステムズ 後藤氏「新4K8K衛星放送開始で制作プロセスが熟成していくのを期待したい」

NTTラーニングシステムズ 後藤氏「新4K8K衛星放送開始で制作プロセスが熟成していくのを期待したい」

ソニーPCL 石川氏「ワークフローは今後さらに複雑化していく。クリエイターは明確な意図を持つ必要がある」 

ソニーPCL 石川氏「ワークフローは今後さらに複雑化していく。クリエイターは明確な意図を持つ必要がある」 

イマジカ・ロボット 諸石氏「最先端メディアが新たなエンタテインメントを切り拓く」

イマジカ・ロボット 諸石氏「最先端メディアが新たなエンタテインメントを切り拓く」

國重氏「4K8Kコンテンツ制作の改善・改革すべき事などについて議論を展開したい」

國重氏「4K8Kコンテンツ制作の改善・改革すべき事などについて議論を展開したい」

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