【NEWS】日本映画テレビ技術協会 優秀制作技術賞にNHK番組制作技術 大和谷氏、IMAGICAウェスト 映像事業部 柴田氏が受賞 優秀執筆賞は撮影監督 会田氏、国立映画アーカイブ映画室 三浦氏が受賞
2018.6.10 UP
日本映画テレビ技術協会 新会長に就任した松竹 迫本社長
(右から)柴田氏、会田氏、三浦氏(大和谷氏は欠席)
オムニバスジャパン コンテンツプロダクションセンターシニアプロデューサー堀内氏
TBSテックス 取締役管理本部長 堤氏
日本映画テレビ技術協会は6月8日、平成30年度 第71回総会を開催し、同協会の新会長に松竹 代表取締役社長の迫本淳一(さこもと・じゅんいち)氏が選任。副会長には、イマジカ・ロボット ホールディングス常務執行役員の北出継哉(きたで・つぐや)氏が選任された。また、優秀制作技術賞、優秀執筆賞が発表された。優秀制作技術賞には、日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 番組制作技術担当の大和谷豪(やまとや・ごう)氏と、IMAGICAウェスト 映像事業部の柴田幹太(しばた・かんた)氏が受賞。優秀執筆賞には、撮影監督の会田正裕氏(あいだ・まさひろ)と国立美術館国立映画アーカイブ映画室研究員の三浦和己(みうら・かずき)氏が受賞。総会後に懇親会を兼ねた表彰式が執り行われた。
■技術とコンテンツの相互関係でビジネスが拡大
迫本新会長は、総会後の懇親会の冒頭、次のように挨拶をした。
「日本映画テレビ技術協会は、71年の長い歴史を持つ協会。映画、テレビのビジネス環境は激変している。それに伴う技術も格段に変革を続けている。いい作品、いい映像で、少しでも多くの方々に、感動、喜び、価値ある情報を伝えることが重要と考えている。そのためには、しっかりした技術が必要だ。これまでにない技術が展開されることによって、新たなビジネスが生まれ、マーケットも拡がりが出てくるという相互関係にあると思っている。協会として、会員に少しでも役に立てるような情報や交流の場を提供していくので、人材育成やビジネスの場に生かしていただきたい」
■優秀制作技術賞に2名が受賞
会長挨拶の後、両賞の贈賞式が行われた。
優秀制作技術賞は、映画、テレビ、科学映像、イベント・プロモーション映像制作の諸技術に従事している技術者で、他の模範になり得る業績をあげた者を対象とする賞で、従来の柴田賞、鈴木賞の主旨を尊重継承し、今年から名称を新たにした。
この優秀制作技術賞には、日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 番組制作技術担当の大和谷豪氏と、IMAGICAウェスト 映像事業部の柴田幹太氏が受賞した。
■NHK 番組制作技術担当 大和谷氏 4K・8K制作の先駆者としてドラマ制作を牽引
大和谷氏は、NHKで情報番組のスタジオ制作およびVロケで番組制作の撮影基礎を学んだ後、大河ドラマ等の現場で照明技術を学ぶ。その後、「芝居をドキュメンタリーとして捉える」独特のドラマ撮影方法を習得。2012年、大河ドラマ「八重の桜」で最年少で撮影チーフを担当し、大河ドラマとして初の「ラージサイズフォーマット・カメラ」を採用するなど、4K・8K制作ドラマの先駆者として、撮影およびアドバイザー役として、NHKのドラマ制作を牽引し、後輩カメラマンへ大きな影響を与えたことが評価された。
■IMAGICA ウェスト 映像事業部柴田氏 20年代の特殊フィルムの復元に成功
柴田氏は、長年にわたり、映画フィルムの修復経験を積み、数多くの劇映画や文化記録映画の復元に携わる。2017年には、東京国立近代美術館フィルムセンターからの依頼を受け、1920年代の特殊フォーマットフィルムや特殊フィルターを使用した白黒フィルムにカラー映像を記録したコダカラーフィルム等の復元にテクニカルコーディネーターとして参加し、復元に成功。特殊フォーマットからのフィルムの複製技術により、映画保存技術における基盤をつくることになった。その実績が高く評価された。
■優秀執筆者賞に2名が受賞
優秀執筆賞も、従来の小倉・佐伯賞の主旨を尊重継承し、今年より名称を改めたもので、当該年度中に協会季刊誌「映画テレビ技術」誌に発表した記事のうち特に卓抜したものを選定し、その執筆者を表彰するもの。受賞者は撮影監督 アップサイド 専務取締役の 会田正裕氏と、国立美術館国立映画アーカイブ映画室研究員の三浦和己氏。
■撮影監督 会田正裕氏 映画「TAP」の制作過程や技術的背景をわかりやすく執筆
会田氏は、日本撮影監督協会(J.S.C)会員。映画、ドラマをメインに撮影監督として活動。ドラマとしては、日本初のファイルベース化や邦画で初めて4K上映した完全4K作品を手掛けるなど、最新技術の導入に積極的に取り組んでいる。代表作に「相棒ー劇場版ーI、II、III、IV」、「HOME 愛しの座敷わらし」「少年H」「王妃の館」「海難1890」「TAP-THE LAST SHOW-」などがある。
「映画テレビ技術」第778号に連載された「映画『TAP-THE LAST SHOW- 』の撮影」は、カメラマンの映像に対するこだわりと、その作品を成立させるために水谷監督と二人三脚で作り上げていった過程や技術的な選択理由が良く書かれており、読む者に分かりやすい記事となっており、本賞に値すると評価された。
■国立美術館国立映画アーカイブ映画室 研究員 三浦氏 日本映画のデジタル化の変遷を忠実に取材・執筆
三浦氏は、映画フィルム機器のメンテナンス等を担当した後、旧作フィルムの画像、音声修復業務に従事し、『東京物語』『地獄門』「幕末太陽傳」『紅葉狩』などのデジタル修復作業を担当。その後、2014年より東京国立近代美術館フィルムセンターで、デジタル映画の保存と活用に関する調査研究事業に従事。
「映画テレビ技術」第782号(協会創立70周年記念号)に掲載された「日本映画のデジタル化の変遷」は、映像技術の進歩を様々な視点から忠実に正確に執筆されており、映像技術変革書としてのマイルストーン的な力作になっている。協会70周年号としてふさわしい内容となっており、本賞に値すると評価された。
■会友に2名が推薦
また、協会の運営に功労のあった人を推薦する会友には、オムニバス・ジャパン コンテンツプロダクションセンター シニアプロデューサーの堀内勉氏と、TBSテックス 取締役 管理本部長の堤康彦氏が推薦された。
日本映画テレビ技術協会 新会長に就任した松竹 迫本社長
(右から)柴田氏、会田氏、三浦氏(大和谷氏は欠席)
オムニバスジャパン コンテンツプロダクションセンターシニアプロデューサー堀内氏
TBSテックス 取締役管理本部長 堤氏