【INTER BEE CONNECTED セッション報告(5)】「新たなメディア戦略で日本のスポーツシーンを照らす」デジタル活用でスポーツコンテンツの価値は高められるか。最新事例を元に議論

2017.2.6 UP

2016年から2021年まではスポーツのゴールデンイヤーズといわれる

2016年から2021年まではスポーツのゴールデンイヤーズといわれる

リオ オリンピックでは、ライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという

リオ オリンピックでは、ライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという

画像認識技術を駆使した軌道のトラッキングなどデータ収集技術は進化している

画像認識技術を駆使した軌道のトラッキングなどデータ収集技術は進化している

 昨年11月に開催したInter BEEで開催したINTER BEE CONNECTED企画セッション、二日目二つ目のセッションは「新たなメディア戦略で、日本のスポーツシーンを照らす」。今年、スポーツ専門の定額配信サービスが登場し、にわかに映像メディアの中でスポーツが脚光を浴びた。そこでこのセッションでは、これからのスポーツとメディアの関係について議論が行われた。モデレーターはスポーツマーケティングラボラトリーCEOの荒木重雄氏。パネリストにJスポーツ編成部長・亀井宣晃氏、データスタジアム尾関亮一氏、プレゼントキャスト社長・須賀久彌氏を迎え、活発に意見交換が展開された。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■2021年までは「スポーツゴールデンイヤー」
 まずモデレーターの荒木氏から、スポーツとメディアを取り巻く状況について解説された。2016年から2021年までは「スポーツゴールデンイヤー」と呼ばれている。オリンピックだけでなく大きな催しが毎年開催されるため、スポーツ市場の拡大も期待されているという。もともと放送とスポーツは密接な関係でやってきた中、今後はインターネットでの配信が焦点となってくるとのことだ。

■民放オリンピック中継を補完するgorin.jp
 次に須賀氏から、プレゼントキャストによるスポーツの映像配信についてプレゼンテーションがなされた。gorin.jpは民放のオリンピック中継を補完するネット配信のために08年の北京大会からスタートした。ハイライト動画とライブストリーミング、データや記事を配信。今年はとくにライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという。他にレジェンドスタジアムというサッカーのワールドカップの配信も行い、マルチアングルでも試合を見せたことなどを報告した。

■OTTの進出で活性化するスポーツ界
 亀井氏はJスポーツの状況をプレゼン。OTT事業者の進出でスポーツ界は活性化しており、むしろ一緒に価値を生み出すチャンスだと捉えているという。新しいスポーツの編成や、デジタルも含めたCRM、スポーツの新しい魅力を示すコンテンツ施策などを方針として打ち出している。とくにデータ活用ではラグビーの注目選手やチームのデータを集めて見せているそうだ。

■データでスポーツの楽しみ方に広がり
 尾関氏は、先の二者のプレゼンでも重要視されていたデータ活用についての自社の事業を説明した。同社は野球の「一球速報」にはじまり、まさにスポーツデータを提供する会社だ。そのテクノロジーの最新の部分を見せてくれた。画像認識技術を駆使して野球の投球の軌道をトラッキングしたり、サッカーの選手のトラッキングで試合状況を克明に記録することも可能だ。データを駆使することで、スポーツの楽しみ方が広がることがよくわかった。

■放送におけるデジタル活用
 ここで再び須賀氏がマイクを握り、放送におけるデジタルの使い方を3つの軸で説明した。
 1つ目は、短期間での認知向上。例えばハイライトシーンを切り出すことで、拡散されて人びとの目に触れるチャンスが増えるようなことだ。
 2つ目が、放送時間外での関係性強化。夜中でも気になった時に見てもらえるよう、情報をネットに出していくことだ。
 そして3つ目が、放送中の関係性強化。中継と同時にセカンドスクリーンでデータを表示することで、没頭してもらうことが可能になる。デジタルを上手に使えばスポーツ番組が盛り上げられることが整理できた。

■データ重視で変わるスポーツ市場
 最後に荒木氏が、デジタルの活用でスポーツ市場の拡大が期待できると提言した。これまでは中継映像だけがコンテンツだったのでその奪い合いだった。だがデータが重視されるようになって変化がはじまっている。ネットの広告費も1兆円超えてきた中、それをスポーツ界に還元する発想が必要で、その環境も整いはじめている。マーケットを広げるためにスポーツを一緒に盛り上げるよう呼びかけた。

2016年から2021年まではスポーツのゴールデンイヤーズといわれる

2016年から2021年まではスポーツのゴールデンイヤーズといわれる

リオ オリンピックでは、ライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという

リオ オリンピックでは、ライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという

画像認識技術を駆使した軌道のトラッキングなどデータ収集技術は進化している

画像認識技術を駆使した軌道のトラッキングなどデータ収集技術は進化している

#interbee2019

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