【InterBEE 2010 プレ・インタビュー】パナソニック “若い開発スタッフの熱意を結集した『AG-AF105』を中心に展開”
2010.11.16 UP
InterBEE 2010での注目出展製品
パナソニックのプロカメラ開発の系譜
<InterBEE プレインタビュー>
<出展社>
パナソニック株式会社
パナソニック電工 株式会社
パナソニックシステムネットワークス 株式会社
パナソニックシステムソリューションジャパン 株式会社
<インタビュー>
パナソニック株式会社
AVCネットワークス社
システム事業グループ システムAVビジネスユニット
ビジネスユニット長
下水流(しもずる) 正雄 氏
———————————
■AG-AF100シリーズの実機を国内初展示
パナソニックはInterBEE2010において、4月のNAB2010でコンセプト発表して以来、世界中で話題を呼んでいるレンズ交換式のパームタイプのメモリーカードカメラレコーダー、AG-AF100シリーズ(国内での製品型番は『AG-AF105』)の国内初の実機展示を中心に、今夏に発売しすでに世界でその市場を広げている一体型二眼式3Dカメラレコーダー『AG-3DA1』と3D制作周辺機器、またP2HDを中心にした、本格的な放送業務に対応する高速ファイルベースワークフローへの対応などの展示を行う。
■世界が注目するAG-AF105
「『AG-AF105』は今年12月の発売に向けて開発を進めています。NAB2010での発表以来、非常に多くの反響を頂き、IBC2010で正式発表と初の実機展示を行ったときにはWebのカタログダウンロードのサイトがパンク寸前まで行きました。こんなことは前代未聞でしたね」
■「変わるビデオカメラ市場」へ向け、社内から新提案
「このInterBEE2010では初めて国内のユーザー様にご覧頂けます。この『AG-AF105』は最初、2008年の年末頃に起案されたのですが、実はその時点では一度、製品化を却下した経緯があるんです。私自身もまだその時点でこのようなカメラは極めて趣味的な指向のものではないか?と考えており、その市場性にもまだ懐疑的だったのです」
「しかしその後、デジタル一眼レフカメラで撮影する動画市場の拡大やRED ONEなど新しいデジタルシネマカメラが市場に出て来たことで、私自身もこれまでのビデオカメラ市場の常識が変わって行くことを感じました。コンスーマ向け製品も含めて、もっと映像による自己表現が身近になってくるだろうと予見したのです。そこで当社としても新たな提案をしていかねばならないと考え、2009年の春に再度提案があった際に、開発を進める決定を下しました。」
■業務用ビデオにおける市場開拓精神の”遺伝子”
パナソニックは業務用ビデオ制作の分野で、1995年に発売した世界初のパーム型DVカメラ“AG-EZ1”や、2002年に発表した世界初の24pモードを搭載した“AG-DVX100”など、常にイノベーションで新たな市場開拓をしてきた。同社としては、世界初のマクロフォーサーズ・マウント採用のHDカメラレコーダーの開発と製品化は、当然至極の結果だと言える。
「『AG-AF105』の開発・設計は若いスタッフを中心に進めてきました。『AG-DVX100』の時もそうでしたが、開発決定後は様々なモデルを作っては、皆で世界各国のクリエイターにアイディアやご意見を聞きに飛び回っていましたよ」
「そんな開発陣の熱い想いが詰まった製品でもあります。そうはいっても開発期間が短くてスタッフは大変苦労していましたが、この製品開発に関しては上からもあまり口を出さず、好きにやっていいと言ってきた結果、これまでの同社製品はもちろん、他社の製品のどれとも似ていない、非常にオリジナリティあふれる良い製品が出来上がったと自負しています」
「また様々な撮影スタイルのユーザー様にもご意見を頂戴したことが製品に反映されていて、あらゆる撮影現場でユーザー自身のオリジナリティも反映出来る製品になっています。」
■NAB2010の「コンセプト発表」から半年間で周辺各社との連携を構築
またAF-AG100シリーズのコンセプト発表を、NAB2010でいち早く発表したことには理由がある。
「これはP2HDでも推進してきたことですが、今のデジタルビデオカメラの市場はユーザーの使用方法も様々ですし、その多様性を考えると私たち1メーカーだけではどうにもならない部分もあります。このAF-AG100シリーズもレンズメーカーやノンリニアメーカーなど、周辺機器各社と協業して市場を作っていく製品だと考えました」
「NABでコンセプト発表したのも、年末の発売までに周辺各社との機能拡張などのアイディア開拓と市場形成を見込んでのものでした。このInterBEE2010では、このAG-AF100シリーズ向けに制作された、マイクロフォーサーズ・マウントのカールツァイス社のコンパクトプライムレンズなど、交換レンズや周辺機材の展示もしますのでご期待ください。」
パナソニックでは今年になって、DV24pを牽引してきた名機『AG-DVX100』の国内向け生産を終了した。『AG-AF105』は、開発担当者たちの熱い開発マインドを含めて、その正当な継承機として満を持して登場する。
■3D制作分野では総合力を示唆 「3Dを先導する立場で放送・プロ映像業界に発信」
「今回のその他の展示では、今夏に発売を開始した一体型二眼式3Dカメラレコーダー『AG-3DA1』を中心に、3Dを先導する立場で放送・プロ映像業界に強力に発信していきます」
「主な展示では充実してきた3D制作用の周辺機材として、3D対応のデジタルAVミキサーの『AG-HMX100』、3D LCDビデオモニター『BT-3DL2550』などの新製品を紹介しつつ、3Dの収録から編集、放送まで、3D END to ENDのソリューション展開をご提案します」
■ファイルベースでは高速ワークフローを提案
「また放送用機材では、これまで世界中で浸透して来たファイルベースソリューションである、P2HDでの撮影、編集から送出、アーカイブまでを、さらに高速で実現するワークフローのご提案を中心に展示とプレゼンテーションをして参ります」
「こちらの分野の新製品としては、すでに10月より販売を開始している2/3インチCCD搭載+AVC-IntraによるハイスペックP2HDカメラレコーダー『AJ-HPX3100G』と、同じく既発売のSSDへの高速データコピーが可能なP2モバイルストレージユニット『AG-MSU10』などを展示いたします」
■新たな展開に注目
今年は、“Evolving Panasonic AVC World〜Professional 3D ideas〜”というコンセプトのもと、InterBEE2010の展示スペースは、ホール7のメインブースの他、国際会議場でも第2会場の位置づけで誰でも入場できるようになっている。『3D』、『P2HD』、そして『AVCCAM』の新境地、マイクロフォーサーズ採用の『AG-AF105』で新たな展開を見せるパナソニックブースにも、今年は大きな注目が集まりそうだ。
InterBEE 2010での注目出展製品
パナソニックのプロカメラ開発の系譜