【NEWS】「14年4K放送へ」総務省 4K/8K放送ロードマップの基本方針を固める 次世代放送の国際競争で先陣争い

2013.2.8 UP

昨年のCEATECでCEATECアワードを受賞した東芝の84インチ 4Kテレビ

 総務省は、4K/8K放送のロードマップ案について、2014年に4Kの本放送、16年に8Kの実用化試験放送、20年に本放送を実施する方針を固めた。4K/8K放送で世界をリードし、テレビ、電子機器産業の市場を活性化することが狙い。4Kの本放送実施に向けては、放送事業者の負担が大きい。14年は、実施に意欲的なスカパーJSATを中心とした動きになりそうだ。また同省は、4K/8Kだけではテレビの買い替え需要喚起は厳しいとみて、スマートテレビとの融合も推進する。(映像新聞 信井文寿)

■「次世代高臨場感放送で世界のトップ」目指して計画を大幅に前倒し 
 総務省の南俊行・大臣官房審議官(情報流通行政局担当)は、「14年に4K放送でホップ、16年に8K実用化試験放送のステップ、20年に8K本放送で総仕上げのジャンプができれば」と話す。
 これは当初の計画からの大幅な前倒しとなる。その最大の目的は、次世代高臨場感放送において世界のトップの座に就くというものだ。
 すでに韓国が地上波による4Kの試験放送を開始し、英BスカイBや米ディレクTVも衛星を使った4K放送を15、16年あたりに計画している。トップを目指す日本が海外勢の動きに遅れをとるわけにはいかない。そのため、できるだけ前倒す形の本放送開始計画を示していく必要があると判断した。

■3月末のロードマップ確定後、ARIBの運用規格策定、制度審議へ
 4K/8K放送については現在、「放送サービスの高度化に関する検討会」(座長=須藤修・東京大学大学院情報学環教授/以下、検討会)の4K・8Kワーキンググループでロードマップを策定する作業を進めている。
 総務省が4K/8K放送前倒しの方針を固めたことから、検討会の作業にもこれが反映されることになりそうだ。検討会では2月末の親会で中間報告があり、3月末にもロードマップが確定。その後、電波産業会(ARIB)での運用規格策定、情報通信審議会(総務大臣の諮問機関)で放送事業の許認可や必要な技術、制度などについて審議・答申されることになる。

■今年度内にオールジャパンの協会組織発足へ
 同省は、4K/8K放送のテストベッド(試験用プラットフォーム)の運営、同放送の実施・調査・研究、普及推進などを担当するオールジャパンの協会組織を今年度内にも発足する。テストベッドでは、伝送技術の検証はもとより、コンテンツ制作手法の習得の場としても位置付ける。
 南審議官は、「NHK、民放、メーカーなど、関係者のベクトルを合わせたうえで、規格化など必要な作業を進めてほしい」と要望した。

■ 4K放送の早期実現に意欲を示す スカパーJSAT 高田社長 
 検討会では、スカパーJSATが4K放送の「前倒し」に意欲を見せている。スカパーJSATホールディングスの高田真治社長は、1月31日の「2012年度第3四半期決算説明会」において、「当社では14年5月末にSD放送を終了するにあたって東経124/128度CSに空き帯域が生じる。この帯域を活用して、4K放送の早期実現に努めたい」と発言した。
 スカパーは昨年10月に4Kの試験放送を成功させ、本放送に向けて準備を進めている。14年の4K放送実施ではスカパーがメインプレーヤーとなる可能性が高い。検討会では、ジュピターテレコム(J:COM)やNTTも、4K放送が開始された際は、それぞれのCATV網、光ファイバー網で再送信したいとの意向を示している。
 一方で総務省は、8Kのスーパーハイビジョン(SHV)について、16年のリオデジャネイロ五輪に合わせて実用化試験放送、20年に本放送開始というロードマップ案を固めた。

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