【NEWS】IBC2017報告(3)顕著になるメディアの多様性 IP&12G-SDI、OVER4K&HDR、そしてARRI100周年
2017.9.26 UP
AWSもHDR対応へ
人だかりの絶えないgoogleブース
ARRIブースは100周年の祝賀ムードで盛り上がった
米国のVARIETY誌ではARRI100周年を祝賀する広告がひしめいた
今年のIBC2017の技術面トピックとしては、このところの潮流でもあるHDR、そしてIPが引き続きキーワードとなっていた。HDRはSDRとの変換互換などの親和性について、またNABに引き続きIBCでも「HDでもHDRを!」というソリューションが多く見受けられた。
■欧州、中国で進む放送システムの完全IP化
IPについては、欧州、中国などでは昨年から放送システムの本格的なIP化が進んできており、主に新設放送局と中継車でのIP化ソリューションを中心に本格的なIP化が進んできた。現況ではスイッチャーもグラスバレー社のGV K-FRAME Xの登場などで、モニター接続以外はすべてIP接続が可能となるなど、完全IP化を目指す方向性とともに、一方でまだIP移行には投資金額も含め時間がかかるとする向きから、ここに来て12G-SDIの需要も大きく増えてきたことも目立った兆候だった。
日本のプロダクションなどの新規設備でも未来的にはIP化が分かっているものの、現行では12G-SDI主流の新設を行うプロダクションも多い現状がある。
■急激なOTT、ネット系映像ソリューションの成長
その一方、OTTの台頭とネット系映像ソリューションの進展は枚挙にいとまがない。AMAZONのAWSソリューションなどに加えて、GoogleやVimeoなどのネット系各社のブースも隆盛だ。具体的な新サービスとなると実運用にはまだ難しい局面もあるが、可能性と言う意味では様々な提案があり、そこに新興ベンチャーなどの新たなアイディアが目立ってきたように感じる。
定義として、映像メディアのゆく末を語る際に重要なことが一つある。それは映像とはすなわち「時間」を束縛してしまうメディアであることだ。元々人間には1日=24時間しかないという普遍的な約束事がある。その中でどれだけの時間を映像メディアに費やして貰えるのか、さらにそこで、いかに映像の多様性を利益として取り入れられるのか、が今後の映像メディアの大きなカギになるだろう。幾つかの展示では、AIとの映像の組み見合わせによる新たな活用など興味深い展示もあった。
■IBC 50周年、ARRI100周年に沸いた会場
今回のもう一つのトピックは、今年9月12日に創立100周年を迎えた、ドイツ・ミュンヘンに本拠地を置く映画用カメラ&照明機材メーカーARRI(Arnold & Richter/アーノルド&リヒター)社の、100周年を祝う行事や告知などが会場の各所で大きく目立ったことだ。特に驚かされたのは、米国の有名映画雑誌“Variety”誌などの数々のメディアで、関係業者からのARRI100周年を讃える祝賀広告が出されていたこと。開催前日には前述記事の通り、ARRI主催の祝賀パーティが開催されたが、開催期間中のブースでも来場者が絶えず、改めて映像業界におけるARRIという会社の存在の大きさを見せつけられた。IBCの開催50周年とも相まって全体的に祝賀ムードに包まれた開催だった。
(HOTSHOT編集長/ビデオジャーナリスト/Inter BEE 2017 ニュースセンター 石川幸宏)
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ARRIブースは100周年の祝賀ムードで盛り上がった
米国のVARIETY誌ではARRI100周年を祝賀する広告がひしめいた