【Inter BEE 2010木村太郎氏スペシャル対談】「ホワイトスペース」への期待
2010.11.15 UP
日本の放送界には、まもなく「ビッグバン」が起こると言われています。宇宙のはじまりとなったあの「ビッグバン」のことです。
言うまでもなく、来年7月になるとテレビは「地デジ」に移行して地上波のアナログの放送は無くなります。
そこで、これをきっかけにこれまでにない新しい放送をつくる動きが具体化して、放送界にまったく新しい時代をもたらすと考えられるので「ビッグバン」とも言われるのです。
その新しい放送のひとつは、テレビが「地デジ」に移った後、いま関東ではNHKが使っている1~3チャンネルの電波をつかってデジタル・ラジオを始めることです。また10から12チャンネルの電波は携帯向けの新しい放送に使われます。そしてもうひとつ「地デジ」テレビ放送のすき間を利用する放送が可能になり、これが「ホワイトスペース」の放送と呼ばれます。
「白い場所」という意味で、テレビ放送に使わなかった電波がチャンネル表で白く残っているところを利用しようというものです。
この「ホワイトスペース」をどう使うか、昨年末から総務省の研究会で検討を続けてきましたが、「地域に根ざした放送」を行うのにふさわしいという結論になりました。
地域放送には今もコミュニティ放送がありますが、もっと小さな地域例えば商店街やイベント広場や大学のキャンパスなどを対象にした放送に使うことを前提に考えました。試しにどんなことができるか、アイディアを募集したところ42もの応募があり、その中からワンセグの技術を使った「湘南ベルマーレの試合情報の配信」や「羽田空港内の案内」それに新しい災害放送など11案が「特区」として選ばれ既に放送を始めたか、いま準備中です。
この「ホワイトスペース」放送は、学校放送ていどの施設ですむ一方で受信機はすでに1億台以上あり、今後さまざまな放送ができると期待されています。
いわば放送界の「ビッグバン」の一番手が今回のInter BEE 2010に登場するわけですが、地域で街頭放送や掲示板などに代わるコミュニケーションを検討している方、あるいは総務省の研究会も想像できなかった新しい放送を考えている方にはぜひホール8 / 8208の「総務省 ホワイトスペース推進会議・ホワイトスペース」のブースへお出でいただき「ビッグバン」に関わっていただきたいと思います。
木村太郎
フリーランス・ジャーナリスト。
1938年、合衆国カリフォルニア州バークレイ市生まれ。41年、日米関係悪化とともに帰国。64年、慶応義塾大学法学部卒業、NHKに入社。記者として神戸放送局、報道局社会部に勤務する。74年からベイルート、ジュネーブ、ワシントンの特派員を歴任。82年2月に帰国し、「ニュースセンター9時」のキャスターを6年間務める。88年、「ニュースセンター9時」終了とともにNHKを退社、木村太郎事務所を開設しフリーランス記者として新しいスタートを切る。90年からFNN「ニュースCOM」でキャスターを、94年からFNN「ニュースJAPAN」、2000年からFNN「スーパーニュース」でニュース・アナリストを務める。86年「第12回放送文化基金賞」受賞、88年には、国際報道を通じ、国際理解に貢献したジャーナリストに与えられる「1987 年ボーン上田記念国際記者賞」を受賞。