【プロダクション】デジタル・ガーデン CGI部のピエント氏がアヌシーで「初監督賞」を受賞 MacBookで制作した短編映像『The People Who Never Stop/動じない』
2012.7.27 UP
(左から)山田氏、ピエント氏
アヌシーでの表彰
デジタル・ガーデン(東京都渋谷区)CGI部のフロリアン・ピエント氏は、第52回アヌシー国際アニメーションフェスティバルで「初監督賞」を受賞した。同賞は出品作の中から初めて演出した作品に与えられる。
受賞作『The People Who Never Stop/動じない』(2010年10月制作)は、多くのキャラクターが交差して歩き続けるもので、ピエント氏の見る『日本人』をテーマとする。「良い時も悪い時も前を見てひたむきに進む。きれいな花を見ると立ち止まり、また歩き出す。そんな日本人像が面白いと思った」という。
キャラクター制作はピエント氏の得意分野である。当初は100体近く作成する予定だったが、計算のうえ実現可能な分量を設定した。自主制作のクリエイターは一般的に、目標と現実のかい離から制作を途中で断念することが多いが、ピエント氏は「作品を完成させる」ことを重視。プロのクリエイターとしての責任感と誠実さを感じさせる。
作品はMacBookで制作。ツールはPhotoshopやアフターエフェクツ、Maya、ファイナルカットプロなど。レンダリングはマックスウェルを使用した。制作期間は約14カ月で、ストーリー作成やアニマティクスに2カ月間を費やした後、CG制作や編集を実施した。
6月の映画祭には、CGIスーパーバイザー山田悠生氏とともに参加。山田氏は「作品上映後は拍手をいただいた。審査員にも作品のメッセージが伝わったようだ」と話している。
—————
ピエント氏は仏リヨンでデザインを学んだ後、2008年に来日。アニメ制作会社を経て、CG制作やプロジェクト全体のディレクションを担当できる環境を求め、デジタル・ガーデンに入社した。
山田氏はピエント氏について「欧州のセンスとバイタリティーを備えている。彼の感性と、デジタル・ガーデンのCM制作との相乗効果を期待しています」と話している。(映像新聞社 吉野和美)
(左から)山田氏、ピエント氏
アヌシーでの表彰