Inter BEE 2022 幕張メッセ:11月16日(水)~18日(金) オンライン:12月23日(金)まで

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Special 2023.10.06 UP

【INTER BEE BORDERLESS】企画セッション「配信・放送ボーダーレスの時代~先行するオーディエンスにビジネス、制度は追いつけるのか~」事前レポート

境 治 Inter BEE 編集部

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INTER BEE BORDERLESSが元のCONNECTEDの名称だった頃から恒例の、電通メディアイノベーションラボの奥律哉氏がコーディネートするセッション。今年も初日15日(水)10:30よりBORDERLESSのトップバッターとして開催される。今回は配信・放送ボーダーレスの時代~先行するオーディエンスにビジネス、制度は追いつけるのか~と題して、例年通り電通の森下真理子氏が登壇するとともに、青山学院大学・総合文化政策学部教授の内山隆氏がゲストとして参加。奥氏は総務省の放送関係の有識者会議で構成員を務めているが、内山氏も様々な有識者会議に出席し、座長を務めることもある。このセッションもタイトルに「制度」の文字があり、関連した議論を期待してしまう。打ち合わせの様子を取材した。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

毎年恒例の最新のメディア生活データを今年も披露

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このセッションの大きな見どころは、電通メディアイノベーションラボによる最新データの披露だ。刻々と変化する人々とメディアの関係をわかりやすいグラフや図で解説してくれる。今年もすでにデータが出てきており、森下氏によると「絶賛分析中」だそうだ。いま最も気になるのが、CTVに人々が費やす時間だろう。森下氏は「順調に伸びている」と言っていた。その実際のところは、当日を楽しみにしたい。
また0〜12歳の子どものメディア接触についての調査も披露されるという。おそらくさらに変化していると想像できるが、こちらも楽しみだ。さらに、定番となったビデオリサーチのMCR/exデータをもとにした定点観測が今年も示される。今年6月のデータが出てきたばかりとのことで、当日はそれを見やすい形で披露してくれるだろう。
これらのデータから「先行するオーディエンス」の姿が明らかになる。人々のメディア生活はどんどん先を行き、変化している中で、メディアの側はどう変わるべきか考えたい。

ビジネスと制度に精通するお二人の議論にも期待

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メディア利用の最新トレンドの報告を受けて、さらにオーディエンスの変化にビジネスやコンテンツ、制度はどうすれば追いつけるかを議論していく。メディアにまつわるビジネスと制度に精通している内山氏と奥氏の濃いディスカッションが展開されそうだ。
流れとしては、内山氏から海外の潮流をいくつかの軸で提示していき、それをもとに奥氏と共に議論を掘り下げることになるようだ。打ち合わせの中でまず出たのは、やはりCTVの伸びについてだ。放送に費やす時間が減少し、CTVの視聴時間が伸びていくことに、日本のビジネスモデルは追いついていない。その打開策はどこにあるのか。
内山氏は「電波とネットのクロスメジャメント」が必要になると述べる。実際、米国ではいくつかの調査会社が手法を見出そうと努力しており、来年のアップフロントで実際に使われることを目指しているという。

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内山氏はCQIの概念も重要だという。Contents Quality Indexの略で、質の高い映像コンテンツにはそれに見合った指標が必要との考え方だ。これによりテレビ局は自分達の番組の広告枠を売る際に「プレミアムコンテンツ」として高い値付けを主張し始めているのだという。
打ち合わせでは「プロミネンス」も重要なキーワードとして出てきた。テレビスクリーンの中で放送系とネット系のコンテンツがどう並ぶか。欧州ではNetflixなどやハリウッド・メジャーの作品に対し自国コンテンツを守るために浮上した概念だという。日本でも近いうちに議論になりそうな考え方だ。
放送と通信は今後、どんな姿になっていくか。通信が優勢になり放送は消えていくだけなのだろうか。奥氏は「全てがIP網となり、放送波もその一部であり一翼を担う」ような在り方になるのではないかという。
これに呼応して、内山氏は「電波とネットの二刀流」と表現した。確かにスポーツ中継では放送の強みが発揮されるのを私たちは体感してきた。放送が単純にネットに駆逐されるのではなく、うまく両立させるようなビジネスモデルと制度を議論していくべきかもしれない。
例年のこのセッションは最新データがわかるのが魅力だが、今年はデータを受けてのディスカッションも楽しめるセッションになりそうだ。先行するオーディエンスに追いつくために、ぜひ聴講していただきたい。

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