Inter BEE 2023 幕張メッセ:11月15日(水)~17日(金) オンライン:12月15日(金)まで

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Special 2019.12.16 UP

【INTER BEE CONNECTED 2019セッションレポート】「ネットが盛り上がれば何かが起こる?」~戦略的な番組のSNS活用~

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ツイッターの盛り上がりによって、テレビコンテンツの人気を押し上げる事例が増えている。注目すべき話題として、戦略的な番組のSNS活用について「InterBEE CONNECTED2019」2日目のセッションで企画された。ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ)、筋トレ番組『みんなで筋肉体操』(NHK)、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS)を事例に「ネットが盛り上がれば何かが起こるのか?」の答えを探っていった。
(テレビ業界ジャーナリスト/長谷川朋子)

『今日から俺は!!!』も『みんなで筋肉体操』もSNS戦略を最重視

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パネリストに日本テレビ『今日から俺は!!』プロデューサーの高明希氏と、NHK『みんなで筋肉体操』ディレクターの勝目卓氏、TBS宣伝部の宣伝プロデューサー川鍋昌彦氏の3氏を迎えて、まずは「テレビ視聴とSNSの動き」を振り返った。

進行を務めたメディアコンサルタント境治氏はまとめた年表をもとに、「2011年の『バルス祭り』からソーシャルテレビという言葉が生まれ、ツイッターも視聴率に貢献するのではないかと言われ始めた。昨年2018年からはツイッターで盛り上がると、実際にいろいろなことが起こるようになり、例えば『おっさんずラブ』はツイッターで盛り上がったことでグッズや映画、続編に繋がっている」と解説。さらに「単純に価値を示せるものではないが、番組とSNSとの相関性にテレビ局も意識し始めたのではないか」と投げかけた。これに応じて、各パネリストが番組のSNS活用の具体的な取り組みをまずは発表した。

『今日から俺は!!!』のプロデューサー高氏は当初からSNSを強化していく方針であったことを明かし、「放送スタート時には既に全ての撮影を終わらせていたので、出演者のオフショットや動画を意図的に撮り貯めて、準備していた」という。戦略的にSNSを活用した結果、2018年の時点で同局ドラマ公式SNSにおいて歴代1位のフォロワー数を記録した。「ツイッターへの投稿数は同クールのドラマと比べても多かった。その数には発信した投稿数だけでなく、ドラマを楽しんでくれているファンの方のリツート数を含まれる。また思わず誰かに伝えたくなるような内容を意識した投稿によって、番組公式がインフルエンサーとして機能するような運営を意識した」と説明した。さらにSNSの活用を幅広くカバーし、TikTok上の関連動画の再生数はトータル1.4億回超え、YouTube上での宣伝動画はトータル1億回再生となった。

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NHK『みんなで筋肉体操』ディレクターの勝目氏もSNS戦略を当初から最重視していたという。「深夜帯で尺も5分と短く、オリジナルの開発番組で低予算という四重苦の番組は高視聴率を狙いにくい。それでも結果を残すには、ネットで話題を作ることが早道だと考えた。とにかく話題になっている雰囲気を醸し出そうと、フォロワー数213万のNHK広報局にも泣きつき、協力を得た」とSNSを強化した理由から説明した。ネットで話題になるための方法論にも触れ、「NHKから発信する放送、番組HP、SNS、動画サイト、リリースからネタにしたいと思ってもらうことが勝負」と言い切った。その結果、関連記事のヤフトピ(ヤフートピックス)のトップ回数とツイッターのトレンド入りは数え切れず、YouTubeでトータル2000万再生を記録した。「意識したのは話題に取り残された人を作らないこと。最大の目標だったレギュラー化がまだ達成できていないが、視聴率とは別の結果を残すことができた」とまとめた。

TBS日曜劇場のSNS運用体制はLINEグループで効率性アップ

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TBSのSNS運用体制

TBS宣伝プロデューサーの川鍋氏は2013年当時の『半沢直樹』放送時から活用していたSNSの宣伝効果から解説をはじめ、「『半沢直樹』の放送時は今ほどツイッターが浸透しておらず、活用していたフェイスブックで盛り上がりが発生した。7年の時を経て、2020年1月3日に吉沢亮主演の『半沢直樹』スンピオフ版が放送されることを発表し、公式フェイスブックページを復活させたところ、発表から24時間後のリーチが4万強に上った」と具体例を示した。また同じく日曜劇場枠の『ノーサイド・ゲーム』はツイッター上での活用を紹介し、放送日はインプレッション数1日300万達成を目標にコントロール。その結果、放送期間の71日間でトータル約5600万強のインプレッション数を獲得した。現在放送中の『グランメゾン東京』はインスタグラムを活用した番組ブランディングに力を入れているという。「いずれも投稿内容やタイミングについて、関係者間で意見を出し合いながら、最終的に上げている。この関係者間のフラットな情報伝達は効果的なSNS活用のカギになる」と話し、続けてSNS運用のティップスも披露した。「関係者間のコミュニケーションツールとしてLINEグループを活用している。『ノーサイド・ゲーム』のSNS運用チームは16人で構成されていた。ツイッターやインスタで必要な写真をその場で撮影できる人が撮ることを徹底し、写真はすぐさまLINEグループ上で共有。効率の良い仕組みを作った」。社内外の協力を強みにしたSNS運用体制が築かれている。

それぞれの取り組みを踏まえて、SNS活用について登壇者同士が率直な意見を交換する場面も作られ、司会の境氏は「SNS活用によって実際のところ視聴率は上がるのか?」と質問すると、3氏共に「相関性についてはまだわかりにくいが、SNS戦略をプロデュースしていくことは今後、ますます重要になる」と回答した。

最後にSNS上で視聴者とコミュニケーションすることの意義について境氏が尋ねると、『今日から俺は!!』のプロデューサー高氏は「視聴者の意識の変化も感じている。視聴者が感じていることを受け止めながら、いかにうまく発信したいものを誘導できるか。そこを考えるべきだと思う」と答え、NHK『みんなで筋肉体操』ディレクターの勝目氏は「数字だけではわからなかったことがSNSによって伝わるようになってきた」と感想を述べた。そして、TBS川鍋氏は「SNS上のコンテンツはやりようによっては局全体にとって最高のブランディングになる。視聴者とコミュニケーションを図ることによって、局に対する信頼感も醸成される循環も生み出す」とまとめ、締めくくった。

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