【NEWS】ドコモ SA方式を想定した5G特化型クラウド次世代MEC試験環境を提供
株式会社NTTドコモは7月15日、5G技術検証施設「ドコモ5Gオープンラボ Yotsuya」で次世代MEC試験環境「Beyond-MEC」の提供を開始したと発表した。5GやMEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)を活用し、5G時代の新ソリューションの開発をめざす企業・団体に提供していく。
Beyond-MECは、スタンドアローン(SA)方式の5Gでの利用を想定したネットワーク特化型クラウド。通信ネットワーク上の利用者に近い位置にサーバーなどを配備するMEC(Multi-access Edge Computing)の特徴を備え、クラウド上でのネットワークスループットは80Gbps、伝送遅延は10ミリ秒の性能を実現する。
5G(第五世代移動通信システム)はすでに2020年3月からサービスを開始しているが、現状ではまだ本格的な普及に入ったといえる状況ではない。5G基地局は現在、ノンスタンダード(NSA)方式と呼ぶ、既存の4G/LTEの基地局を使用して5Gサービスの立ち上げを進めており、これにより、本来の5Gの主要性能といわれていた、超高速、超低遅延、多数同時接続の3つのうち、超高速のみ実現されているが、残りの2つはまだ実現できていない状況にある。
もともと、5Gで利用する高い周波数の電波は電波の到達距離が短く、直進性が強いため、到達距離は直線で見通しがきく数百メートルの範囲に限られるという特性がある。上記の3つの性能を発揮するには、この、到達距離が短い高い周波数の電波のエリアカバーを進める必要がある。そのためには、SA方式の普及を図ることが必要であり、同時にエッジコンピューティングなどを利用して、ネットワーク全体の低遅延化を進めていかなければならず、そのためには、まだ基地局敷設のためのコスト低減や光ファイバーの価格低下などの課題がある。
さらに、超低遅延、多数同時接続のためには、単にエリアを拡大するだけでなく、同時に、拠点ごとに配信制御などを行う柔軟性が求められる。そのためには、クラウドとAIを活用したネットワークサービスの構築が必須となる。今後の5Gの普及には、こうした技術やノウハウをいち早く導入するための企業間連携が重要になるだろう。
同時に、5Gの本格的な普及には、5Gならではのキラーコンテンツともいえるような、5Gの特徴を生かす具体的なサービスが求められる。米国では、クラウドゲームの拡大に伴い、SA方式の5Gネットワークが進められており、韓国や中国でもSA方式の5Gが進められている。
SA方式の5Gが普及することで、初めて高精細な4K映像の伝送やXRを活用したバーチャル空間でのコミュニケーションなど、5G時代の新たなソリューションが生かされてくる。
今回、ドコモが提供するSA方式の5Gでの利用を想定したネットワーク特化型クラウドのBeyond-MECにより、開発パートナーは、通信ネットワークからクラウドまで一貫した検証を行うことが可能になるという。同社とソニーグループはすでに、2020年の12月から2021年5月まで共同検証を実施し、商用5G端末への低遅延映像の配信に成功しているという。
https://www.docomo-bmec.com/