Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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プロオーディオ 2021.06.25 UP

プロオーディオシーンの近未来と出会う場所、Inter BEE 2021

半澤 公一 Inter BEE ニュースセンター

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大規模展示会のメリット、そして愉しみとは何だろう。長い間、毎年11月半ばになると通った幕張メッセ。コートが恋しくなる季節と重なって、どの開催年も記憶が鮮明だ。加えて初めてとなった2020年のオンライン開催もまた印象深い。前者では、まず足を運んだ会場やブースで果たして誰と出会えるのか。旧知のエンジニアやメーカー担当者かもしれず、あるいは新しいコンタクトが実現するかも知れない。さらに見逃せないのは新製品、そして参考出品される製品群。それらを見て、触れて、そして具体的な話を聞いて、その先のプロオーディオシーンが向かうベクトルを自分なりにあれかこれかと考える。これはまさに至福の時間と言える。後者に述べたオンライン開催ではオンラインならでは、と言える企画が目白押しであったことは記憶に新しい。PCやスマートフォンで見る開催にも多くの発見があった。その最たるものは今後、リアル開催とのハイブリッド化であろう。瞬時の会場移動や参加できなかった日の閲覧そしてアーカイヴの視聴と、魅力的な進化を遂げるにちがいない。

これまでにない新ジャンル、ライヴ配信

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2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が出されてから、世の中の様相は一変した。それは、まさにすっかり変わってしまったと言うに相応しい状況だった。むろんプロオーディオシーンにとっても打撃に容赦はなかった。特にライヴサウンドは慘状とも言える制約を受け、正常な業務が行える状況は皆無と言って良かった。
しかし業界に生きる皆々のリカバリもまた早かった「このままで良いはずがない」と早々に立ち上がっている。そして始まったのが「ライヴ配信」という、まったく新しいと位置づけられるジャンルである。小はライヴハウスから大は劇場クラスに至るまで、その後はさらにバリエーションを広げ、アーティストの個人宅や練習スタジオといった、音が出せる空間であれば発信できることに気付いてからは、まさに水が溢れ出るが如く、発信拠点が全国に広がりを見せた。

新しいが故の苦労もまた

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コロナ禍以前のライヴ配信と言えば、ライヴハウスなどが独自で顧客サービスとして、固定カメラで本番をただ流しておくような簡単なものか、あるいは様々な企業や代理店が絡んで会場に音声中継車が横付けされるような大がかりなものか。いずれにしても特別な扱いのものであった、その理由は明白で、客席内で制約なくライヴが楽しめたからであった。
さてそのライヴ配信、筆者が周囲をリサーチした限りでは、開始当初からスムースに軌道に乗せることができたカンパニーはほんの一握りだった。第一にテクニカルスキルを熟知しているスタッフは、配信を始めようとする店舗には不在である。新規に予算をかけて専門スタッフを雇用することは売り上げが落ち込むなか、むろん容易なことではない。となれば既存のスタッフが兼任、もしくは専任として回り込むしかないのが実状。新規に必要となる映像関連の機材は国からの給付金や補助金で賄い、お膳立てだけは格好をつけ、あとは作品を商品にできるまで、手探りで積み上げていくしかなかった。

音響マンのセンスと勘の良さ

しかし、ライヴシーンで鍛えた百戦錬磨の猛者が懸命に取り組むのである、ライヴ配信とはどうあるべきか、といったコンセプトワークから配信スキルやハードウェア条件の見極めはむろん、配信ミックスの要点を掴み取るところまで、自問自答を繰り返しながらも未知の領域を瞬く間に埋め、その成果は「売れる」作品へ急勾配で駆け上がった。
振り返ると彼らの頭を悩ませたのは2点、まずライヴ配信用のミックス手法を手に入れることだった。放送でも、レコーディングでも、むろんPAでもない、今までに存在しなかったミックス手法。それを試行錯誤の末に各々のエンジニアは獲得している。そこには多くのノウハウがありここに割けるスペースはないが、SRミックスとはまったく異なるアプローチであったことだけは知らせておきたい。これまでのSRミックスの手法を覆す技を短期間で身に付けたことは賞賛に値すると言っても過言ではないだろう。
悩みのもう1点は、現在まだ解決していない。それは現場となる、行く先々にあるインターネット回線だ。この回線は、その場所に存在するものを使うしか現状のところ方法がない。つまり現場によって送信性能に揺れが起きる。この点については現場下見の際、真っ先に確認すると担当者は声を揃える。おそらくは今後、ライヴ配信はコロナウイルスが沈静化してもフィールドとしては縮小しないと思われ、こうしたソリューションをぜひInter BEE2021のプロオーディオ部門でも提案が欲しいところ。併せてエントリー者が容易に使えるカメラやスイッチャー、送信ソフトウエアなど、ライヴ配信に関連する映像機器も多くの参加者が興味を示すはずである。
Inter BEEは、プロオーディオに携わる者にとっても国内最大の発見の場だ。今年はリアル開催を目指しているそのInter BEEで、是非とも多くの音響関係各社に出展していただき、この先の新たなプロオーディオシーンへの提案と発見があることを強く期待したい。

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