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Special 2022.10.27 UP

米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントがピクソモンドを買収

鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター

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米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのメインゲート

10月25日、ハリウッドの各メディアが報じたところによれば、米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、VFX スタジオの ピクソモンド(Pixomondo)の買収を発表した。

ピクソモンドは2001年にドイツで設立されたVFXスタジオで、後にハリウッドに進出。2012年には『ヒューゴの不思議な発明』でアカデミー視覚効果賞を受賞した事でも知られている。

近年では、特にバーチャルプロダクションを駆使したVFX に力を注いでおり、「ゲーム・オブ・スローンズ」、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」などのテレビドラマシリーズで知られている。現在 3 つの LED バーチャルスタジオ、そしてアメリカ、イギリス、ドイツ、カナダを含む 7 つのオフィスを構えている。

今回の発表によると、ソニーは買収契約によってピクソモンドの権利の 100%を取得 。 CEO のジョニー・スロー(Jonny Slow) は続投し、引き続きグローバル TV スタジオのチームを率いる。そしてソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのコーポレート・デベロップメントの会長ラヴィ・アフジャ(Ravi Ahuja)の直属として任務を遂行していくという。また、ピクソモンドのブランド名も、このまま継続される。

今回のピクソモンドの買収は、傘下のソニー・ピクチャーズ・イメージワークスおよびソニー・イノベーション・スタジオと共に、ソニーのバーチャルプロダクションを強化し、テレビやストリーミングおよび映画業界で高まっているVFXニーズに更に貢献できるようにする事が狙いだという。

ソニー・ピクチャーズは先月、カリフォルニア州カルバーシティーのスタジオにある最初の LED ステージをメディアに公開したばかりだが、今回の買収によってバーチャルプロダクション・テクノロジー、関連するソフトウェア、そしてソリューションを駆使し、高品質のVFXとバーチャルプロダクションにおけるソニーのリーダーシップを更に強化していく。

またピクソモンドは、同社の強みであるバーチャルプロダクションによって、ストリーミングおよびネットワーク系列向けに制作していく番組のVFXを、更に優れたクオリティに押し上げていく事を目指す。

今回の買収のニュースは、ハリウッドのVFX業界でも大きな話題を呼んでいる。ソニーの傘下には既にVFX大手のソニー・ピクチャーズ・イメージワークスがあり、そこに「競合相手」とも言えるピクソモンドが加わる事を不思議に思うVFX関係者も少なくない。

しかし「バーチャルプロダクションの強化」という観点では、頷けるものがある。実際、ピクソモンドのバーチャルスタジオはVES(米視覚効果協会)の会員向けマガジンの中でも紹介されるなど業界内でも注目されており、また数々の番組での使用実績が評価を受けているという実績を持つ。

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VESが会員向けに発行するマガジンVFXVOICEの2021年秋号では、「バーチャルプロダクション特集」の中でトロントにあるピクソモンドのバーチャルステージを紹介していた。 ©Visual Effects Society

今回の発表には、「ピクソモンドは早い時期からバーチャルプロダクションに取り組んでおり、その結果、フィルムメイカー達がプロダクション初期の段階から様々なクリエィティブなアイデアを盛り込む事が出来る『表現の可能性』を広げる事に貢献し続けている。ここにソニーのグローバル・サービスとの提携加わる事で、今後ますます高まるハイエンドなコンテンツの需要に応えていく」というコメントが含まれている。

ピクソモンドの今後の動向からますます目が離せない、秋のハリウッドである。

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