Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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Special 2023.12.20 UP

【Inter BEE CURATION】映像コンテンツ戦国時代、視聴者の囲い込みには<視聴ジャーニー>活性化が効く~映像視聴の生活者研究シリーズ~

ひと研究所 フェロー 渡辺 庸人 / ひと研究所 主任研究員 吉池 典子 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅映像コンテンツ視聴促進のための施策を検討している方
✅視聴者がどのように映像コンテンツを選び、楽しんでいるか興味がある方

※2023年1月に開催した株式会社ビデオリサーチの「視聴ジャーニー」ウェビナーの前半部分をレポートしています。

生活者の今と未来のインサイトを探求する株式会社ビデオリサーチのシンクタンク「ひと研究所」では、生活者の「映像視聴行動」に着目し、新たな考え方である<視聴ジャーニー>を切り口に調査や研究に取り組んでいます。
今回は、コロナ禍を経た生活者の映像視聴行動から映像コンテンツの付加価値について考え、視聴体験満足度が高まる視聴者行動<視聴ジャーニー>を探っていきます。

*<視聴ジャーニー>の概念

<視聴ジャーニー>とはー
テレビ番組や動画配信サービスなどの映像コンテンツの「視聴前」「視聴中」「視聴後」で起こる、動画視聴にまつわる行動やリアクションのことを指します。
映像コンテンツの視聴前に友人などとコンテンツについて話す、情報収集する、視聴中に感動したり笑ったりする、視聴後に感想をSNSへ投稿するといったことが<視聴ジャーニー>として挙げられます。

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資料ダウンロードはこちら

1.映像コンテンツ戦国時代へ

最初に、当社ACR/exおよびMCR/exデータから、2022年にかけての「映像コンテンツの利用状況」を紹介します。直近(3ヶ月以内)の動画視聴サービスの利用率はYouTube 86%、Amazon Prime Video 40%、TVer 21%,Netflix 19%となっており、2018年から顕著な増加をみせています。また、動画視聴に使用するデバイスについてはスマホ、テレビ、PC、タブレットの順に視聴時間が長いことがわかりました。中でもスマホによる視聴はコロナ禍を経て急上昇しており、他デバイスを大きく上回っています(図1)。

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【図1】映像コンテンツ利用状況

スマホの普及はもとより、YouTubeなどの配信サービスの広まりで、誰でも、いつでも、どこでも映像コンテンツを検索して視聴できることに加え、制作や配信にも一般人を含めた多くの人が参入していることで、今はまさに「映像コンテンツ戦国時代」といえるでしょう。
そのような映像コンテンツが溢れる中で差別化を図り、他のコンテンツに勝てなければ視聴者を取り込むのが難しいことは容易に想像できます。
他のコンテンツに負けず視聴者を取り込むには、映像コンテンツに求められる「需要」について明確にしておく必要があります。

2.映像コンテンツへの「楽しみ」需要の高まり

コロナ禍を経て、生活者のニーズは「空いた時間を埋める」から「『楽しみ』の空白を埋める」ことへと変化しています。
新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックによって外出自粛が呼びかけられた際、多くの生活者は自宅の中で「やることがない」「暇になった」「生活に変化がない」など、日々退屈を感じていました。最初こそ暇つぶしとして「時間」を映像コンテンツで消化していた視聴者も、徐々に映像コンテンツを視聴することで得られる「楽しみ」を求めるようになりました。
単純な暇つぶしとして視聴者の「時間」を埋めるのではなく、「楽しみ」を与えるコンテンツへの需要が急激に高まったのです(図2)。

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【図2】映像コンテンツに対する意識の変化

見ることで体験を積み「楽しい」と感じられるコンテンツであることが、「映像コンテンツ戦国時代」を勝ち抜くためにより一層求められています。

3.「楽しみ」を与える映像コンテンツの付加価値、それは"体験"

映像コンテンツが視聴者に「楽しみ」を与えるためには、内容に何らかの付加価値を与えることが不可欠です。具体的にどのような内容が映像コンテンツの付加価値として考えられるのでしょうか。
一般的に映像コンテンツには「面白かった」「役に立った」「感動した」などの基本的な「コンテンツ価値」があります。ドラマを見て感動したり、情報番組で知識を得たりといったことが挙げられますが、「コンテンツ価値」だけでは競合に勝つことは難しいものです。「コンテンツ価値」に加えて他の価値を付与することができれば、その映像コンテンツには特出した価値があると言えます(図3)。

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【図3】映像コンテンツの価値

重要な考え方としておさえておきたいのが「視聴者は映像コンテンツ視聴を"体験"として楽しんでいる」ということです。
例えば、映画館での応援上映では映像コンテンツ視聴と共に声を出したりペンライトを振ったりします。感想・レビュー・考察などをサイトに書き込んだり、動画にコメントしたり、同時視聴を楽しんだりといった付加価値を与えるのは"体験"です。
その映像コンテンツのおかげで視聴者が「良い体験をした」と感じられることこそ、他の映像コンテンツに負けないための重要なポイントであると考えられます。そして、より良い視聴体験を提供するには<視聴ジャーニー>を活性化させれば良いと考えます。
<視聴ジャーニー>が活性化し、視聴体験満足度が向上すれば、それは大きな付加価値として映像コンテンツの評価を底上げしてくれるでしょう。

4.<視聴ジャーニー>の検証~視聴者の行動、視聴体験満足度との関係性~

実際の<視聴ジャーニー>について、ひと研究所では「視聴前」「視聴中」「視聴後」のそれぞれについて視聴者の行動を調査しました。結果、視聴者の行動は映像コンテンツの視聴前から視聴後までどのタイミングにおいても「調べた・検索した」が最も多いことがわかりました(図4)。

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【図4】視聴前・視聴中・視聴後の行動

その他、録画予約や視聴予約、話題にする・盛り上がる、関連番組の視聴などの行動も出現率が高い傾向でした。


さらに、より多くの行動をおこなった視聴者ほど映像コンテンツに対して高い満足度を示すこともわかりました(図5)。

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【図5】行動量と視聴体験満足度の関係

また、行動の起きる時点(視聴前・視聴中・視聴後)で2時点以上の組み合わせで行動があること、つまりは行動数が多いだけでなく時間的にも分散することで番組の視聴体験をより良いものにしていることがわかりました(図6)

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【図6】行動のタイミングと視聴体験満足度の関係

そして、特に視聴満足度が大きく上昇しやすい行動もわかりました。
具体的には、「家族や友人・知人などと話題にしたり盛り上がった」「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」「番組を見ていて一緒に歌ったり踊ったりした」「番組を見ていて声を出して笑ったり、涙を流したりした」など、「映像コンテンツをきっかけに他者と何らかのコミュニケーションが起きること」が高い視聴体験満足度に関係していると考えられます(図7)。

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【図7】視聴体験満足度を上げる行動

5.<視聴ジャーニー>を活性化させて視聴体験満足度を上げるポイント

ここまでみてきたように、<視聴ジャーニー>の活性化は映像コンテンツの視聴満足度に大きく影響しています。ポイントとしてまとめると、

・視聴者に一つでも行動をうながし、それを二つ、三つと活性化する
・視聴前から視聴後まで、<視聴ジャーニー>を活性化する
・コンテンツ起点のコミュニケーションを活性化する

このように、<視聴ジャーニー>活性化と視聴体験満足度を高めるポイントをおさえることで、映像コンテンツの付加価値を高めることができ、他の映像コンテンツとの差別化などにつながると考えられます。
本記事でお伝えしきれなかった更なる<視聴ジャーニー>の解説は、アーカイブ動画でもご視聴いただけます。

ご希望の方は以下リンクよりお申込みください。
https://us06web.zoom.us/rec/share/KWQpuJ8zoGwNjfLbNfcXfbSTtfZeA79YDMWZxcIkl9LCnkQUsJ7zqNz3bj_L_KXU.RBHonPAB1Lt9foGx

今回は、映像コンテンツにまつわる視聴者の行動<視聴ジャーニー>について、視聴体験満足度を高める方法について調査結果を交えて紹介しました。

ひと研究所では、今後も映像コンテンツの視聴体験満足度を高めるための研究を進めてまいります。
視聴ジャーニー案内資料ダウンロード

【本記事で取り上げた調査】
・調査名:ひと研究所「視聴ジャーニー検証調査」
・調査方法:インターネット調査
・調査時期:2022年7月~8月
・対象地区:日本全国
・ターゲット:15~69歳 1556名

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