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Special 2024.05.21 UP

【Inter BEE CURATION】「運用型広告とは?」予約型広告との違いも解説~今さら聞けない!基本の『キ』

デジマ基本の『キ』チーム VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。
今さら聞けない!基本の『キ』の記事一覧はこちら

日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。 このコーナーでは、頻繁に見聞きする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ないデジタルマーケティングに関する「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。今回は「運用型広告」をテーマにお届けします。

この記事はこんな方にオススメ!
✅メディア・広告がらみでデジタルマーケティング業務に従事している  もしくはこれから業務上取り扱う可能性がある
✅デジタルマーケティングのことは、「なんとなく」はわかるけど「詳しく」はわからないかも・・・

運用型広告=広告を表示させるための"5W1H"を都度制御する出稿方法

運用型広告とは、その名の通り"広告の出稿を運用していくタイプの広告"となります。
ここでいう"運用"とは、スマホやPC等でインターネット広告を表示させるために必要な5W1Hの要素を「1回の広告表示ごとに」都度制御し、コントロールしていくことを意味します。

【広告表示に必要な5W1H】
Why=このような理由から
When=いつ
Where =どこで
Who=誰に
What=何を
How=どのような方法で

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ポイントは、「1回の広告表示ごとの制御」という点です。
当然ながら、広告は1回表示してキャンペーン終了、というわけではありません。
1回のキャンペーンで10万回、100万回、1000万回と非常に多くの回数表示されることでより多くの人の目に留まり、そこで宣伝される商品やサービスの認知や興味関心が高まるものです。
その大量に表示される広告が「1回ごとに」細かく、そして精緻に制御されることで、より「1回の広告の表示による効果を高める」ことができるというのが、運用型広告の強みです。

そして、その制御をどのように行うかが、Google広告やYahoo!広告、Facebook(Meta)広告、X(Twitter)広告、TikTok広告などをはじめとする各インターネット広告の配信サービスによる腕の見せ所でもある、と言えます。

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5W1Hはどんな風に制御する?

では、具体的にはどんな風に「制御」しているのでしょうか。

例えば、ショッピングサイト「びでおショッピング」が、売れ筋商品の「環境に配慮した、エコ洗剤の詰め合わせギフト」を売るため、動画広告を作ったとします。この広告をGoogle広告で出稿する場合、一例として以下のようなパターンが考えられます。

Why=詰め合わせギフトの販売促進のため
When=2024年4月1日~4月30日の朝7時~夜10時までの時間帯に
Where=Googleのネットワーク内で
Who=スマホで「エコ洗剤」に関連する動画を見ている35~54歳の女性に
What=3種類の動画広告のうち、適したものを
How=購入数(CV)が最も増えるようなやり方で実行する

それぞれの設定項目について簡単に紹介していきましょう。

Why=キャンペーンの目的・目標を決める

(例)詰め合わせギフトの販売促進のため

広告を出稿するときには、必ず何らかの「目的」や「目標」があります。
「エコ洗剤の詰め合わせギフト」ひとつをとっても、売上を上げたい=販売促進という目的だけでなく、

商品名を知ってほしい=認知を上げたい
詰め合わせギフトの商品紹介ページを見てほしい=ウェブサイトへのアクセス数を増やしたい
ギフトを販売している店舗に来てほしい=来店数を増やしたい

など、いろんな目的が考えられるため、多くの運用型広告提供会社ではキャンペーンの「目的」もしくは「目標」を決める項目がセットされています。

When=キャンペーンの実施日・曜日・時間帯を決める

When=キャンペーンの実施日・曜日・時間帯を決める

(例)2024年4月1日~4月30日の朝7時~夜10時までの時間帯に

キャンペーンの期間を決めることができます。日付だけでなく、時間帯や曜日の指定も可能なため、たとえばBtoBの商材を宣伝するなら「月曜~金曜の9時~17時のみ宣伝」などの設定も可能です。

Where=広告を表示させるウェブサイトやアプリを決める

(例)Googleのネットワーク内で

「Googleのネットワーク」とは、Googleが提携している約300万のサイトとアプリ(24年2月現在)の"どこか"で広告が表示されるという意味です。

Who=広告を見せたいターゲットを設定する

(例)スマホで「エコ洗剤」に関連する動画を見ている35~54歳の女性に

運用型広告が最も重宝されるポイントとなるのが、広告を当てたいターゲットを細かく指定できるという点です。ターゲットを絞ることを「ターゲティング」と呼びます。
ターゲティング設定では、

・デバイス(PCで?スマホで?タブレットで?など)
・コンテンツ(「エコ洗剤」に関連する動画?「SDGs」に関連する動画?など)
・デモグラ(年齢や性別、居住地域など)
・興味関心(洗剤への関心が高い人?SDGsの意識が高い人?など)

など様ざまな設定が用意されており、ターゲティングのラインナップ、そして精度をどれだけ良くできるかが運用型広告事業者の腕の見せどころともいえます。

▶ターゲティングに関するさらに詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
「ターゲティング広告ってどんな種類があるの?主要パターン4つ」今さら聞けない!基本の『キ』

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What=表示させるクリエイティブを用意する

(例)3種類の動画広告のうち、適したものを

運用型広告では、一度に複数のクリエイティブを用意しておき、1回ごとの広告表示時に「今、1番適していると思われる広告」をチョイスするのが一般的です。

このチョイスの基準は事業者ごとに異なり、基本非公開ですが
・これまでの戦績
(そのクリエイティブを表示させた後、広告をクリックした/商品を購入したなどの成果を出した回数)
・その広告を見ようとしているターゲットの特徴
・その広告が表示される場所の大きさ、デバイス
などから総合的に判断されるようです。

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How=広告の入札戦略を決める

(例)購入数(CV)が最も増えるようなやり方で実行する

運用型広告では、1回ごとの広告表示を行う際に「入札」が実施されています。これは、同じ広告表示枠に広告を出したい人が複数いた場合に行われるもので、豊洲市場などで行われている"競り"と同じ考え方です。

その1回の広告表示に何円出せるかをお互いに表示しあい、1番高く値を付けた人が広告を表示させる権利を獲得します。

運用型広告では、1回のキャンペーンで何千~何万回も広告を表示させるため、広告主は1回1回の入札額を設定するのではなく、「何を重視して入札を行うのか」という"戦略"を設定し、実際の入札自体はAIに任せることになります。

このような設定項目を「入札戦略」「入札方法」などと呼びます。

ずいぶん細かいな...と思われた方も多いと思いますが、運用型広告は、このような細かい設定がいくらでもできてしまうところが強みなのです。

いくらでも設定できるゆえに、ちょっとした違いで成果が大きく変わってくるため、そのチューニングはマメに行われることが多く、広告の運用担当者に話を聞くと、運用型広告の設定ができる「管理画面」(広告管理を行うブラウザ上の"マイページ"みたいなものです)を毎日のようにチェックする習慣がついているようです。

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予約型広告との違い

インターネット広告は、運用型広告と予約型広告に分かれます。

予約型広告は、「4月1日~30日までの30日間、YouTubeのトップページの1番上にバナー広告を出し続ける」など、あらかじめ5W1Hを確定させた状態で"予約"するタイプの広告です。
テレビCMや駅や街中にある看板広告、新聞・雑誌に掲載される広告などのオフラインメディアも同じようにあらかじめ5W1Hを指定したうえで広告を出すので、昔からある広告の種類ともいえます。

【代表的なインターネット予約型広告例】 *名称は24年2月時点
―――――――――
・YouTubeトップページの1番上に表示される広告(メニュー名:マストヘッド)
・X(旧Twitter)のトレンド検索おすすめ1番上に表示される広告(トレンドテイクオーバー)
・Yahoo! JAPANトップページの右上や画面枠全体に表示される広告(ブランドパネル)
―――――――――

一方で、運用型広告は、あらかじめカッチリとした"予約"をせずに、1回1回の広告表示ごとに柔軟に対応していくタイプの広告です。

では、予約をする/しないではどのような違いがあるのでしょうか。

1.誰に広告を見せたいか

運用型広告では、『「エコ洗剤」に関連する動画を見ている35~54歳女性』という指定したターゲットに広告を見せに行くのに対し、予約型広告では、『YouTubeのトップページを開いた人』など、特定の表示場所のみに広告を見せます。(*1)

YouTubeのトップページの1番上という、多くの人が目にしやすい場所に広告を配置するといろんな人に広告・そして商品を知ってもらうことができそうですよね。
こういった背景から、予約型広告は運用型広告よりも料金が高めに設定されていることが多いです。

また、ターゲットがものすごくニッチな場合も予約型広告が活用されるケースがあります。
たとえば「福祉施設で働いている人」や「企業で人事担当をしている人」「大学でテニスサークルに所属している人」などの条件では、多くの場合運用型広告でも明確なターゲティング設定を行うことができません。

この場合、
「福祉施設で働いている人向けの情報サイト」など、ニッチなテーマのみを扱った専門メディアに広告を出すことで必然的にターゲットを絞ることができます。

(*1)「YouTubeのトップページを開いた人」に加えて、年齢や性別などさらに細かい条件を指定することも可能です。詳しくは各事業者にお問合せください。

2.どんな効果を期待したいか

前章で記載した通り、運用型広告では販売促進やウェブサイトへのアクセス数増加、認知獲得などキャンペーンの目的・目標の設定を細かく行うことができますが、予約型広告は広告主が「この場所に自社の広告を出したら効果が高いだろう」とあらかじめ決めた場所のみで広告を表示させるので認知・ブランディング目的で利用されることが多いです。

3.広告の出稿結果をどの程度保証したいか

運用型広告では、文字通り広告の出し方を自分で"運用"するので、その成果は運用方法次第で大きく変わってきます。
一方で、予約型広告は、「広告の表示場所」や「一定の広告効果(例:100万回以上表示させる/1000回以上クリックさせる)」などがあらかじめ確約されていることが多いです。

「自分が意図していなかったようなサイトやアプリでは広告を表示させたくない」場合や、「広告を出すからには効果があらかじめ確約されていたほうが安心」という方は、自分の希望に合う予約型広告を選ぶとよいでしょう。

【参考】
「自分が意図していなかったようなサイトやアプリでは広告を表示させたくない」といった、広告出稿による自社ブランドの価値毀損を防止する考え方や取り組みは「ブランドセーフティ」と表現されます。
ブランドセーフティに関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
「ブランドセーフティとは?」今さら聞けない!基本の『キ』

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【参考】予約型広告は、広告を出すメディアの"安定収入"でもある
運用型広告は、1回1回の広告表示ごとに表示されるメディアが変わったり、入札額が変化しますが、予約型広告は「今月、A社が●●広告で100万円出稿する」といったことがあらかじめ決まっています。
これはメディア側から見ると、自社の売上を見通せたり、広告枠の価値を担保できるともいえます。

運用型広告がインターネット広告内で占める比率は8割(※2)を超えていますが、自メディアの価値を上げ、予約型広告を出してくれる広告主を増やすことはメディア側のメリットも大きいようです。

(※2)「電通 2022年 日本の広告費」より

議論が続く"制御"のあり方

これまでに解説した通り、運用型広告はかなり細かい設定を行い、5W1Hをコントロールすることでキャンペーンを成功に導く広告手法です。

一方で、細かく制御することで、広告を見る一般生活者側からすると「どのサイトを見ても自分に関連する広告が表示される」ことに不快感や嫌悪感を持ったり、「なぜ自分の趣味嗜好が業者側にばれてるんだろう」と疑念を抱く人がいるのも事実です。

近年では、「自分が見たい広告は自分で決める」という生活者主語での考え方が広まっており、広告事業者ごとに生活者自身が広告の表示設定を行える管理ページを設けたり、法的なプライバシー保護規制が整備されるなど、その"制御"のあり方が変わりつつあります。

もちろん、運用型広告が便利で使いやすい手法であることは変わりありませんので、最新の業界動向をチェックしつつ、自社の最適なキャンペーン運用に活用してみてください。

【参考】
運用型広告の"制御"が"制御される"?
「ITPとは? Cookieが活用できなくなるかもしれない世界の動きを知る」今さら聞けない!基本の『キ』

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