【INTER BEE CINEMA】 「沈黙の艦隊」吉野耕平監督インタビュー
制作費、撮影環境など、ハリウッド映画と比べて比較的、制約の多い中で、撮影・照明、美術など、
知識に裏付けされた、優れた技術を発揮するスタッフと、演出・キャストのプロ意識と高い経験値が調和して作り出される日本の映画に対する注目度は世界的にも高い。
近年では、アカデミー賞や欧州の映画祭等でも高く評価されており、低予算での映画制作を余儀なくされている他国の制作者からも、日本的な映画制作手法として「Japanese Production Style」が注目されている。
今年11月に開催されるInter BEE2024では、その「Japanese Production Style」を実践・活躍するアーチストたちの姿、そして、撮影現場の秘密を見ることができる、INTER BEE CINEMAが開催される。
これから11月の開催に向け、日本での映画制作の撮影現場で、クリエイティビティを発揮する人々をシリーズで紹介していく。
第一回目は、吉野耕平監督。世界的な人気コミックを見事に実写化し、2023年9月29日に劇場公開された映画『沈黙の艦隊』(現在ドラマ版(全8話)が、Prime Videoで配信中)のメインの演出家として起用された。映画「沈黙の艦隊」は、同名のコミック作品がマンガ雑誌で大ヒット。多くの熱狂的なファンがいる「沈黙の艦隊」(かわぐちかいじ作、講談社「モーニング」)が原作の実写作品だ。
多くのシーンが、狭く暗い潜水艦内である本作品では、実物と思えるほど精巧につくられた美術セットや、重厚な演技を見せつつも、明るさが制限された空間内を見事に表現した照明によって完璧な舞台がつくられた。
吉野監督は、映画『ハケンアニメ!』(2022年)で第46回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。また映画『君の名は。』(新海誠監督/2016年)では、CGアーティストとして参加もしており、CGの知識や経験も評価されての起用となった。
大学生のときに「沈黙の艦隊」の原作を「夢中になって読んでいた」という吉野監督。奇抜で壮大な世界観とストーリー、潜水艦という制約の多い空間での人間ドラマという難しい条件である上に、「実写化は不可能」といわれていた作品であり、さらには、幅広い多くのファンに支持されている人気コミック作品の実写化というチャレンジングな仕事だったという。
吉野監督に、映画「沈黙の艦隊」における撮影や演出の苦労や工夫した点、また、これからの日本の映画制作の思いについて聞いた。