Inter BEE 2021

キャプション
Special 2024.05.29 UP

【Inter BEE CURATION】α世代はテレビゲームや外で遊ぶより「動画視聴」が好き ーネット利用実態から紐解く

若狭谷 笑未 VRダイジェスト+

IMG

※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

この記事はこんな方にオススメ!
✅α世代のインターネット事情に興味がある方
✅α世代のマーケティングに関心がある方
✅α世代の実態について知りたい方

1.α(アルファ)世代とは?

最近注目されはじめている「α(アルファ)世代」をご存じでしょうか。「α世代」とはZ世代よりも下の、およそ2010年~2020年代中盤までに生まれた世代を指しており、数年後のマーケティングターゲットとして重要になると言われています。生まれた時からスマートフォンやタブレットが日常的に存在し、AIやメタバースなどをはじめとしたテクノロジーが普及している時代に育つため、Z世代よりも一層デジタルネイティブな世代です。そんなα世代のインターネットの利用実態はどのようなものなのでしょうか。当社が保有する子どもをターゲットとしたマーケティングデータ「Kids/ex」からみていきます。

なお、本記事では、α世代を2023年時点において「男女3~12才(小学生以下)」と定義づけて分析しています。
Kids/exの詳細はこちら

2.10~12才のネット利用率は9割超、Z世代に迫る

まず、α世代のネット利用状況を年齢別に確認していきます【図1】。α世代の中でも最年少である3~6才の利用率(週1回以上のネット利用)は5割程度で、この5年で大きな変化はみられません。
それに対して、7~9才の利用率は、2019年~2022年にかけて急激に伸びており、2021年以降は8割を超え、Z世代の利用率(グレーの点線)に迫る勢いで推移しています。コロナ禍における在宅時間の増加で動画視聴などの利用が増えたことが要因の一つだと推察されます。
一方、10~12才は2021年をピークにここ5年、ほぼ全員(9割前後)が週1回以上ネットを利用していることがみて取れます。Z世代に匹敵し、2021年にはわずかにZ世代を上回りました。

IMG

次に、α世代はどのデバイスでネットを利用しているのかを確認します【図2】。最も多いのはタブレットで52.5%、次いでスマートフォン50.3%、テレビ(CTV)46.0%となっており、α世代の半数程度がこれらの3つのデバイスでネットを利用していることがわかります。

IMG

3.α世代のネット利用はコロナ禍に大きく増加

では、α世代のネット利用はここ数年でどのように推移したのか、デバイス別にその変化をみてみます【図3】。「パソコン」「タブレット」「テレビ(CTV)」によるネット利用は、2019年から2022年にかけて増加しています。コロナ禍で在宅時間が増え、これらのデバイスでのネット利用も増加したと考えられます。

IMG

コロナ禍にてα世代のネット利用伸びたことが分かりましたが、コロナ明けによる変化はあるのでしょうか。「スマートフォン」の保有率の変化を年齢別に確認すると、
2021年から2023年にかけて「3~6才」「7~9才」はほとんど変化はみられませんが、「10~12才」の高学年層では2023年に大きく増加しているのがわかります【図4】。

IMG

この変化の背景には様ざまな要因が考えられます。例えば、コロナ禍が落ち着いて外出機会が増えたことも相まって、習い事など単独での外出が増える高学年層に携帯電話(=スマートフォン)を持たせる、そういった機会が増えたことが推察されます。また、親が子どもに「本人専用」のスマートフォンを与える年齢が10~12才の高学年までに下がってきているということも考えられます。以前は"中学生でスマホデビュー"といった話が聞かれましたが、それがさらに早まって低年齢化してきている可能性がありそうです。いずれにしても、α世代のスマホ保有率は今後も着実に増加していくとみられます。

4.α世代の親は、子どものネット利用を積極的にとらえるように

α世代のネット利用はここ数年で増加してきていることがわかりましたが、α世代の親はこの状況をどのようにとらえているのでしょうか。
子供のネット利用に対する現在の親の意識を2019年と比較してみました【図5】。「子供がインターネットでいろいろなものを見るのはいいこと」や「スマートフォンやタブレットを子供に使わせても良いと思う」などの項目が、2019年と比べ増加しています。このことから、親も子供のネット利用を肯定的に捉えるにとどまらず、むしろ積極姿勢になってきていることがうかがえます。
また、「子供がインターネットをする際には有害サイト対策を施している」も増加しています。つまりこれは親側にもリテラシーが備わってきていると言えるのではないでしょうか。親の変化もα世代のネット利用が増加している一因であると考えられます。

IMG

5.テレビゲームや外で遊ぶことよりも「動画視聴」を好む

では、α世代はどのような利用の仕方をしているのでしょうか。サービスやプラットフォームの利用経験から、具体的なネット利用の中身を紐解いていきます【図6】。デバイス別に利用経験を確認すると、α世代すべての年齢において、デバイスにかかわらず「YouTube」をはじめとした「動画配信サービス」の利用が目立ちます。いずれも同一のサービスやプラットフォーム名が並んでいることから、年齢やデバイスによる利用サービスの違いはほとんどなさそうです。つまり、α世代のネット利用の中身は「動画配信サービス」の利用が中心であることがわかります。

IMG

では、α世代にとって動画配信サービスはどのような位置づけなのでしょうか。α世代が好きなことランキング【図7】で確認すると、「7~9才」「10~12才」では「インターネットでの動画視聴」がトップとなっており、「3~6才」でも「公園で遊ぶ」に次いで2番目に多いことが分かります。α世代はテレビゲームや外で遊ぶことよりも「動画視聴」が好きなようです。

IMG

6.α世代は既に「レビュー動画」を見て商品情報を入手している!?

併せて、α世代はどのような動画を見ているのでしょうか。α世代が好きな動画ジャンルを確認してみます【図8】。「3~6才」は「幼児・子ども向け番組」や「おもちゃ紹介」などが上位となっており、「7~9才」「10~12才」は「ゲーム実況」「おもしろ動画」「音楽」などが上位にあがっています。前述のα世代が好きなことランキング【図7】においてテレビゲーム・携帯ゲームなどはそれほど高い順位ではありませんでしたが、ゲームへの興味・関心が低いというわけではなく、動画配信サービスで「ゲーム実況」を見ることで、ゲームを楽しんでいるようです。また、「3~6才」にて2位、「7~9才」にて5位、「10~12才」でも10位に「おもちゃ紹介」がランクインしているのも興味深い結果です。もちろん、おもちゃへの興味から動画を視聴しているということもありますが、人気のキッズYouTuberが投稿しているコンテンツにはおもちゃに関するものが非常に目立ち、好んで視聴している傾向がうかがえます。結果的にα世代はレビュー動画から商品情報を得るという行動を既に行っているともいえます。

IMG

このように、α世代にとって「動画配信サービス」は、単に映像コンテンツを消費するためのものではなく、ゲームなどの疑似体験や音楽鑑賞、商品情報の入手など幅広い役割を果たしているようです。今後α世代において動画配信サービスの存在はより重要になると思われます。昨今、Z世代を中心に様ざまな情報を「テキスト」ではなく「動画」で入手する傾向があると言われています。商品の取り扱い説明や料理レシピなどが分かりやすい例と言えるでしょう(これはZ世代に限った話でもないかもしれませんが)。幼少期から商品情報を動画で取得しているα世代においては、その傾向がより一層強くなっていくように感じられます。

今回は「α世代のネット事情」について紹介しました。
ひと研究所では引き続き、次のマーケティングターゲットとなる「α世代」について研究を進めていきます。

ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちら

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「Kids/ex
・調査時期:2019年/2020年/2021年/2022年/2023年 4 ~6 月
・対象地区:関東
・ターゲット:3~12才

  1. 記事一覧へ